『信長の忍び』16巻(重野なおき・白泉社)の感想
四コマ漫画『信長の忍び』16巻(重野なおき・白泉社)の感想を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。
毎回ながらも、その内容と急展開のストーリーに驚かされてしまいました。
あらすじとしては、まず、信長不在の織田軍VS上杉謙信軍が激突する、手取川の戦いの始まりと結末。何と、柴田勝家と羽柴秀吉が口論し、秀吉が戦線離脱。そんな統率の乱れた織田軍に対し、軍神と言われた上杉謙信との戦いは、今までにない、すさまじいものでした。次は、ついに謀反を起こした松永久秀・久通との信貴山城の戦いです。松永討伐に向かったのは、織田信忠、細川藤孝、明智光秀、筒井順慶と千鳥という錚々たる面々でしたが、苦戦を強いられたものの、ついに……。さらに、17巻につながる、荒木村重の動揺。そして、謙信急死による、上杉家内の後継者争いの結果、といったところ。
謙信の死亡は、運命のいたずらといいましょうか、織田軍にとって幸運だったでしょう。手取川の戦いは、上杉軍の武将や軒猿など、もっと知りたくなってしまいましたね。
16巻のメインは、VS上杉のエピソードでしょうが、私は、レギュラーキャラ化していた松永久秀との信貴山城の戦いの方が、インパクトを感じました。理由としては、まず、わが郷土人気の筒井順慶が、ばっちり登場してくれていたことですね。なかなか、いい味を出していましたし。
理由その2は、スケベで謀反好きの松永久秀よりも、その息子の久通の個性が強烈すぎることです。彼の父に寄せる尊敬と執着は、途方もないといいましょうか、父子系ボーイズラブを連想させるほどです。腐女子の方々には、うけるかもしれませぬ。
(上記表現がさっぱりわからない方、どうぞスルーしてくださいませ。コメント欄での質問も、今回はご遠慮ください)
それから、私は、追い詰められた松永久秀が、千鳥と心を割って会話する場面に、胸が熱くなりました。松永はただのスケベオヤジでも謀反人でも、『信長の忍び』の狂言回しでもなく、千鳥と心を通わせる、戦国大名だったのだなあと、思いましたね。このあたり、史実でなくても、『信長の忍び』という作品の登場人物同士が、最期に、互いを強く思っていることを表明したものでした。さようなら、松永久秀。
それでは、また17巻の感想にて。
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