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2020年10月に作成された記事

2020年10月25日 (日)

『魔法おしえます』(奥田継夫・作 米倉斉加年・絵 偕成社)の感想

 絵本『魔法おしえます』(奥田継夫・作 米倉斉加年・絵 偕成社)の感想を申します。いくつかのネタバレが含まれていますので、ご注意ください。

 こちらは、ボローニア国際児童図書展グラフィック賞大賞を受けた、名作童話だそうです。
 読後感は、『はらべこあおむし』を読んだ時と、似ていましたね。最初は、「え、これだけ? オチは、あった?」と、思っていたのですが、しばらくして、お話や絵の良さや魅力が、じわじわ来ましたね。
 ゆえに、お勧めしたい、ところですが、ハードルは、米倉斉加年の独特の絵ですかね。絵本だからか、あのエロさと不気味さは封印されていますが、あごがしゃくれていて、もじゃもじゃの長髪で、面長で痩せた、あのレギュラーキャラ的な、不可解おじいさん(このお話では、魔法使い)は、ちゃんと登場しています。一方、子供達はとても愛らしいですし、魚の絵は、図鑑に転用できるのではないかと思うほどリアル。
 本当に、読めば読むほど、味のある絵本ですわ。

 あらすじとしては、小学生であろう伸一は、魔法使いと名乗るおじいさんと知り合い、不思議な現象を見聞します。てる美ちゃん他の友達も加え、皆は魚の魔法に夢中になります。魔法使いは、「大人に魔法のことを言うな」とだけ約束させて、子供達に魔法を教えるのですが、伸一の父さんや母さんに知られてしまい、魔法は消えてしまいます。と、思いきや、不思議な別の魔法が現われたのでした。
 ほのぼのと、心が温かくなります。伸一の両親や大人達は、意地悪なだけでなく、ちゃんと子供達のことを思っていました。
 ならば、魔法使いの目的は何だったのでしょう? 彼はこうなることを、すべて見越していたのでしょうか。それとも、ほんの気まぐれで魔法を教えたのかも。うーん……。
 できれば、手元に置いて、何度でも読み返したくなる内容です。それでは。

 

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2020年10月 9日 (金)

『象は死刑』(別役実 挿画:米倉斉加年)の感想

 書籍『象は死刑』(別役実 挿画:米倉斉加年)の感想を申します。いくつかのネタバレが含まれていますので、ご注意ください。

 この本には、表題作他、「電車も病気あなたも病気」「地下鉄」の2編が収められています。1973年9月第刷発行で、こちらは1977年9月の新装版第1刷です。まあ、古いっちゃ古いのですが、私が米倉斉加年ファンなので、ミーハー的に購入して読みました。
 それで、あらすじをご紹介したいところですが、今回はパス。すみませんが、手抜きではありませぬ。多大の語彙とイメージの波に押し寄せられ、脳内がアップアップです。ここで、無理にあらすじを書いたら、誤解を招いてしまうでしょう。
 それでも、私は、わからないなりに、不思議と楽しく読了できました。それが、この作品集の魅力と申しましょうか。
 少なくとも、起承転結がはっきりして、謎解きがパーフェクトに出来ている、というタイプの作品ではないようです。
 ジャンル的には、エロ・グロ系ダークファンタジーでしょうね。表紙絵もそうですが、米倉斉加年の緻密にして不気味な(加えて、エロい。子供向けではありませぬ)イラストが、ドンピシャに合っていて、ムードを盛り上げてくれます。
「象は死刑」で、いきなり、戦争犠牲者というか、病気の人を揶揄するような場面が出てきて、ギョッとしました。1970年代は、大らかだったということでしょうか。今なら、たぶん、この表現は無理だと思います。
 そう、流血や下品っぽい場面の多いダークファンタジーですが、現代(厳密には1970年代ですが)を痛烈に風刺しているらしき表現が多いです。「そうだよね、こんなことってあるよなあ」と、苦笑していたら、自分もまた、そのうちの一人ではないかと気づいて、思わず身震いしてしまいました。
 断片的なイメージはあっても、全体像がつかみにくい。これは、私の頭が悪いだけなのかもしれませぬ(何人かの人は、大きくうなずくでしょうね)。
 グロテスク、でも何か心惹かれる。こういうファンタジー、小説における表現方法もありなのだなあと、感心しました。いつか再読したら、また印象が変わるかもしれませぬ。すべての方にお勧めはできませんが、風変わりな作品をお好みの方にお勧めです。それでは。

 

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