『魔法おしえます』(奥田継夫・作 米倉斉加年・絵 偕成社)の感想
絵本『魔法おしえます』(奥田継夫・作 米倉斉加年・絵 偕成社)の感想を申します。いくつかのネタバレが含まれていますので、ご注意ください。
こちらは、ボローニア国際児童図書展グラフィック賞大賞を受けた、名作童話だそうです。
読後感は、『はらべこあおむし』を読んだ時と、似ていましたね。最初は、「え、これだけ? オチは、あった?」と、思っていたのですが、しばらくして、お話や絵の良さや魅力が、じわじわ来ましたね。
ゆえに、お勧めしたい、ところですが、ハードルは、米倉斉加年の独特の絵ですかね。絵本だからか、あのエロさと不気味さは封印されていますが、あごがしゃくれていて、もじゃもじゃの長髪で、面長で痩せた、あのレギュラーキャラ的な、不可解おじいさん(このお話では、魔法使い)は、ちゃんと登場しています。一方、子供達はとても愛らしいですし、魚の絵は、図鑑に転用できるのではないかと思うほどリアル。
本当に、読めば読むほど、味のある絵本ですわ。
あらすじとしては、小学生であろう伸一は、魔法使いと名乗るおじいさんと知り合い、不思議な現象を見聞します。てる美ちゃん他の友達も加え、皆は魚の魔法に夢中になります。魔法使いは、「大人に魔法のことを言うな」とだけ約束させて、子供達に魔法を教えるのですが、伸一の父さんや母さんに知られてしまい、魔法は消えてしまいます。と、思いきや、不思議な別の魔法が現われたのでした。
ほのぼのと、心が温かくなります。伸一の両親や大人達は、意地悪なだけでなく、ちゃんと子供達のことを思っていました。
ならば、魔法使いの目的は何だったのでしょう? 彼はこうなることを、すべて見越していたのでしょうか。それとも、ほんの気まぐれで魔法を教えたのかも。うーん……。
できれば、手元に置いて、何度でも読み返したくなる内容です。それでは。
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