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2021年6月15日 (火)

『岡っ引き 天牛 巻之壱』(ジョージ秋山・リイド社)の感想


 コミック「岡っ引き 天牛 巻之壱」(ジョージ秋山・リイド社)の感想を申します。いくつかのネタバレが含まれていますので、ご注意ください。
 こちらは巻之壱となっていますが、二巻は見つけられませんでした。何らかの事情で、今回で終わり、なのでしょうかね? 残念だなあ。
 一見したところ、ジョージ秋山が原作で、別の漫画家様が描いているのかと思いましたが、ご本人でしたので、驚きました。なかなか、劇画調のタッチです。
 収録されている作品は、すべて短編で、次のとおり。

  第一話 ごんぶと十手と朧月
  第二話 舌切り雀阿鼻叫喚
  第三話 赤い夜 地獄の花が咲く
  第四話 医療仏・十手地獄
  第五話 悪霊・油地獄
  第六話 恋慕地獄変
  第七話 怒りのごんぶと十手
 あらすじや設定は、前回ご紹介した、『独眼目明かし』と、ほぼ同じです。
 異なるのは、隣家の落語家の名前が猫っ八であること。上司の鈴木の妻が、天牛と関係どころか、わずか十九歳の処女のままであること、など。
 他にも、天牛の娘の絵美の髪型が変わっていますが、彼女、前回の方がかわいかったなあ。劇画っぽいのに、三等身なのは、私的に、ちょっと残念です。
 しかし、ストーリー自体は、なかなかおもしろいです。掲載誌のカラーに合わせたのか、雰囲気がかなりアダルトで、艶かしくもなっています。
 鈴木は、今夜こそ、妻と共寝したいと、悶々としていますが、さらりと、拒否されてばかりなのが切なくも笑えます。
 どうしても、私は前回と比較してしまってくださいね申しわけないのですが……天牛のダークさが薄まっているので、惜しまれてなりませぬ。
 それから、これは前回と共通しますが、お話の展開として、事件の謎や推理は、割とシンプルです。謎が謎を呼ぶとか、あっと驚くどんでん返し、重要な伏線がいくつもあるとか、そのようなことはなかったです。
 ただ、時代物として、こういう演出や盛り上げの方法もあるのだなあと、創作面において感心させられました。
 当分、この作家様から目が離せないでしょう。それでは。

 

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