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2021年6月 8日 (火)

『独眼目明かし 天牛』(ジョージ秋山・朝日ソノラマ文庫)の感想

 コミック「独眼目明かし 天牛」(ジョージ秋山・朝日ソノラマ文庫)の感想を申します。いくつかのネタバレが含まれていますので、ご注意ください。
 さて、こちらの漫画文庫のタイトルが、ただの「天牛」で、「独眼目明かし(中略)」となっているのは、中表紙なのです。どうして、こんなことが起こったのでしょうね?
 収録されている作品は、すべて短編で、次のとおり。
 第一話 錆びた十手とひより傘
 第二話 友情無情
 第三話 狂乱地獄
 第四話 柔肌不浄  第五話 お仙恋しや  第六話 釘屋辰五郎  第七話 水清ければ…  第八話 悲しきものは…  第九話 三日月小僧
 

 あらすじというか、全作品に共通する大前提としては、江戸を舞台に、小太りで独眼の中年町医者、天牛は、幼い一人娘の絵美を、存分に甘やかせて育て、貧乏な人々には治療や薬代を安くして慕われる一方、闇で堕胎を行ない、十手持ちという、二つの裏の顔を持っているのでした。
 こう書くと、江戸のブラック・ジャックのようですが、天牛は下手人やその筋の娘、女房、果ては、行きずりっぽい夜鷹まで、やたらと寝ていますし、強請も行ないますから、悪人に近いと、私は思います。
 第五話では、天牛の元妻で絵美の母にあたる、お仙(何と、女盗人!)のエピソードを除けば、彼の過去は、あまり定かではありません。
 他には、天牛の上司で、若い妻(彼女とも、天牛は関係しています)を持つ、鈴木長十郎。小心者で、出世したいと、天牛にプレッシャーをかけてきます。
 もう一人の準レギュラーは、隣家に住む、駆け出しの落語家で、天牛からよく絵美の世話を頼まれる、イッパチ。彼の小唄のような台詞回しは、なかなか、楽しおもしろいです。
 そのようなわけで、天牛はあまり好きになれそうにないキャラクターですが、読んでいるうちに、こんなに善悪混在した人物像もありかなと、不思議と感じられてしまいます。天牛は、なんやかんや言っても、下手人を捕まえて、事件の謎を解いているのですから。
 私は、第一話、第四話も好きですが、第三話が一番のお気に入りです。セックス依存症になった狂女の、なまめかしい半裸。しかし、正気は失っているらしい表情の、異様さというか、よく表現されていると、思います。
 ちょっと風変わりな時代劇をお好きな方に、お勧めいたします。それでは。

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