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2021年8月に作成された記事

2021年8月23日 (月)

『旅立ち 亜美・終章』『マイ・ソング 亜美それから』(倉田悠子・星海社)の感想

『旅立ち 亜美・終章』『マイ・ソング 亜美それから』(倉田悠子・星海社)の感想を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意下さ

 なぜ、一度に2冊分の感想を述べるのか。理由は、表現的には、エロチックな場面はあっても、上品かつきれいであるのは結構なのですが、ストーリー的に、私の好みではありませんでしたから。
 簡単に、あらすじを書きますと、『旅立ち』は、血のつながらない兄、宏とヒロインの女子高生亜美が愛し合いますが、その秘密の関係が、義母の康子に発覚します。宏はロンドンに行き、寂しさに耐えられない亜美は、友人に誘われたディスコで、怪しげな青年、河野と出会い、また、カメラマンの若宮によって芸能界に足を踏み入れるなどするのですが、父との話し合いをきっかけに、宏と再会するため、ロンドンへ旅立つのでした。
『マイ・ソング』は、ロンドンで、亜美は宏の言動に不自然さを感じましたが、帰国後、歌手となるべく、レッスンに励みます。ところが、宏がジャクリーンという女性と婚約したことを知るのでした。動転する亜美に、芸能プロ社長となった河野が、もしやの最接近。失意と悲しみが癒されない亜美は、マネージャーや河野とも、関係してしまいます。亜美は帰宅を禁じられ、ホテルの一室に閉じこめられて、コンサート成功に向けた、厳しい日を送ることになります。そんな折しも、亜美と河野のことを知った宏が、急遽、帰国して、コンサート会場へ行くのでした。

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2021年8月16日 (月)

『エスカレーション』(倉田悠子・星海社)の感想

『エスカレーション』(倉田悠子・星海社)の感想を申します。いくつかのネタバレが含まれていますので、ご注意下さい。
 前回の『黒猫館』と同じく、くりいむレモンのノベライズ作品です。
 ところで、本の内容の感想とは別ですが、装丁が少し残念の方に向かっています。
『黒猫館』は「黒猫館」「続 黒猫館」と、2種類の艶麗な扉絵があったのに、『エスカレーション』、いえ、『エスカレーション』以降の、同じ出版社から発行されている復刻作品はすべて、それがありません。イラストは表紙だけで、私的にがっかり。
 価格が150円安くなったせい?
 だったら、『マイソング』は『黒猫館』と同価格なのに、なぜ扉絵がないのでしょうか?
 大昔の、高額で出回っている、レアなノベライズ本の方が、イラスト付きという意味で勝ち、なのですかね?
 うーん、納得できませぬ。

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2021年8月13日 (金)

『黒猫館・続 黒猫館』(倉田悠子・星海社)の感想(追記)

 すみません。『黒猫館・続 黒猫館』(倉田悠子・星海社)の感想を追記いたします。

 巻末に、「私が“覆面作家”だったころ」という、稲葉真弓の告白エッセイが載っております。
 創作秘話みたいなものですね。
 初出は、新潮2014年6月号。
 稲葉真弓さんが、倉田悠子として、くりいむレモンのノベライズを行なうようになったか、経緯が説明されています。
 さらに、この仕事がきっかけになったのか、本格的に書きたい小説ネタが見つかったことなど、興味深い内容です。
 しばらく、私はノベライズの方を読んでいきますが、稲葉真弓作品も出会ってみたくなりました。それでは。

 

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2021年8月10日 (火)

『黒猫館・続 黒猫館』(倉田悠子・星海社)の感想

『黒猫館・続 黒猫館』(倉田悠子・星海社)の感想を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意下さい。

 この小説は、稲葉真弓という覆面作家による、「くりいむレモン」なる美少女アニメシリーズのノベライズ作品なのです。
 くりいむレモンについては、お調べになってください。
 私が検索したところ、かわいいし、好きな方は萌えるでしょうが、今、わざわざ取り寄せるほどでもないかな、という感じでした。いわゆる、男性向けの愛らしさ、ご都合主義ゆえでしょうね。
 それなのに、私はTwitterでこの作家様のことを知り、現在、ノベライズ作品が高額であることを知って、半ばあきらめていたのですが、復刊されて、ラッキーでした。
 読後感もまた、悪くなかった、どころか、うっとりしてしまいました。
 あらすじとしては、『黒猫館』は、昭和十六年、書生の募集に応じて、大学生の村上正樹が訪ねた所には、豪奢な洋館があり、妖艶な女主人、鮎川冴子、その娘の有砂(ありさ)、少女のようなメイドのあやに迎え入れられます。そして、毎夜、地獄とも天国ともつかない、淫夢のような交わりを強要され、正樹自身も溺れていき、徐々に健康を害していきます。やがて、正樹は、ただならない鮎川家の悲劇と謎を知るのでした。
『続 黒猫館』は、昭和四十五年、弁護士となり、家庭を持つ身となった正樹ですが、なおも黒猫館の幻影に悩まされているのでした。終戦間もない頃、有砂そっくりの踊り子ミミに惹かれ、一時的に溺れたけれども死別して、いっそう法律の勉強に励むようになったこともありました。しかし、武蔵野に黒猫館によく似た洋館を見つけ、入った時、あり得ないことに、当時と同じ冴子と有砂が待っていました。ただし、メイドは、あやでなく、ふみという娘になって。再び、肉欲の宴が始まる、のか?

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2021年8月 6日 (金)

『月岡芳年 魁題百撰相』(二玄社)の感想

『月岡芳年 魁題百撰相』(二玄社)の感想を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。

 こちらは、「謎解き 浮世絵叢書」というシリーズで、描かれたポーズや表現等の不可解なポイントを、ていねいに説明してくださる、画集であると同時に解説書でもある、親切仕様です。しかも、それぞれの絵に添えられた詞書のみならず、その主文の現代語訳まで載せられていますから、とてもわかりやすいです。
 監修は町田市立国際版画美術館、解説は小池満紀子・大内瑞恵。よい構成内容にしてくださって、大いに感謝いたします。

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