『旅立ち 亜美・終章』『マイ・ソング 亜美それから』(倉田悠子・星海社)の感想
『旅立ち 亜美・終章』『マイ・ソング 亜美それから』(倉田悠子・星海社)の感想を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意下さ
なぜ、一度に2冊分の感想を述べるのか。理由は、表現的には、エロチックな場面はあっても、上品かつきれいであるのは結構なのですが、ストーリー的に、私の好みではありませんでしたから。
簡単に、あらすじを書きますと、『旅立ち』は、血のつながらない兄、宏とヒロインの女子高生亜美が愛し合いますが、その秘密の関係が、義母の康子に発覚します。宏はロンドンに行き、寂しさに耐えられない亜美は、友人に誘われたディスコで、怪しげな青年、河野と出会い、また、カメラマンの若宮によって芸能界に足を踏み入れるなどするのですが、父との話し合いをきっかけに、宏と再会するため、ロンドンへ旅立つのでした。
『マイ・ソング』は、ロンドンで、亜美は宏の言動に不自然さを感じましたが、帰国後、歌手となるべく、レッスンに励みます。ところが、宏がジャクリーンという女性と婚約したことを知るのでした。動転する亜美に、芸能プロ社長となった河野が、もしやの最接近。失意と悲しみが癒されない亜美は、マネージャーや河野とも、関係してしまいます。亜美は帰宅を禁じられ、ホテルの一室に閉じこめられて、コンサート成功に向けた、厳しい日を送ることになります。そんな折しも、亜美と河野のことを知った宏が、急遽、帰国して、コンサート会場へ行くのでした。
こうやって書いていると、宏のクズっぷりに、ムカついてきますね。
亜美を捨てたり、イギリスの女の子と婚約したりするのなら、とにかく早く報告して同意してもらうべきでしょうに。
逆に、ただのチャラいガールハンターみたいだった河野が、大幅に変貌しましたね。
一応、エロいことはしますが、あくまで亜美の成功を願い、がんばれるように根回しするあたり、彼は完全に恋しているのでしょう。
タイトルが、『終章』が先で、『マイ・ソング』が後という、ややこしさですが、当時のくりいむレモンの事情に寄るのですかね?
ストーリー全体の流れとしては、おとなしく、恋に恋する、かわいいだけの少女が、自分の能力に気づいて、自立するという感じです。
出番は少なかったですが、私はチャラそうでいて、なかなか思いやりのある、若宮も好きでした。
うう、だけど、私に妹萌え感覚がないせいか、今一歩、のめりこめませんでしたね。
「どんなことがあっても、亜美はお兄ちゃんが好き。
お兄ちゃんがお兄ちゃんじゃなくなっても、亜美の心は変わらないと思います」
こういう言い回し、フレーズに乗れる、萌える方には、お勧めの作品ですね。それでは。
| 固定リンク | 0
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 『オプス・ピストルム ’30年代パリの性的自画像』(ヘンリー・ミラー 田村隆一/訳 富士見ロマン文庫 No.89)の感想(2023.12.02)
- 『戦争は女の顔をしていない』(スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ 三浦みどり/訳 岩波現代文庫)の感想・その4(2023.11.28)
- 『戦争は女の顔をしていない』(スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ 三浦みどり/訳 岩波現代文庫)の感想・その3(2023.11.25)
- 『戦争は女の顔をしていない』(スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ 三浦みどり/訳 岩波現代文庫)の感想・その2(2023.11.19)
- 『戦争は女の顔をしていない』(スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ 三浦みどり/訳 岩波現代文庫)の感想・その1(2023.11.18)
コメント