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2021年10月に作成された記事

2021年10月31日 (日)

『アンネの日記 増補新訂版』(アンネ・フランク 深町眞理子=訳 文春文庫)の感想(追記)

 前回の『アンネの日記 増補新訂版』(アンネ・フランク 深町眞理子=訳 文春文庫)の感想の追記分です。こちらもネタバレが含まれていますので、ご注意ください。

 訂正箇所は、私のイニシャルです。「K・K」ではなく、「M・K」でした。ごめんなさい。最近、わけあって、昔のペンネームを名乗っておりましたので。
 もう一つ、私が驚いた部分は、日記の割と初期の方で、アンネ自身が後日に加筆している箇所です。やはり、単なる辛辣な批判屋ではなくて、自主批判というか、完璧を求めていたような気がします。
 他に、翻訳者様の工夫かもしれませんが、初めのうちは、パパ、ママと書いていたのが、中盤以降は、おとうさん、おかあさんになっています。同時に、アンネ自身の内面について語る場面も多くなり、最終章では、自らの二人に分裂しているかのような内面にも気づき、そのような自分とどうやって向き合っていくべきかと、重要な問題を掲げたところで、残念ながら、終わりました。

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2021年10月30日 (土)

『アンネの日記 増補新訂版』(アンネ・フランク 深町眞理子=訳 文春文庫)の感想

 書籍『アンネの日記 増補新訂版』(アンネ・フランク 深町眞理子=訳 文春文庫)の感想を申します。いくつかのネタバレが含まれていますので、ご注意ください。

 ネタバレといっても、オランダで、ナチスの迫害から逃れるため、隠れ家に移り住んでいた一人のユダヤ人少女の、13~15歳の記録です。
 ユダヤ人迫害の悲惨かつ生々しい見聞もありますが、戦争の激化とともに、食料が質的に悪く(腐っている)、量も不足していきます。
 連合軍の作戦は遅く、爆撃の被害が間近でも。何よりも、狭苦しいアパートというか部屋(それが隠れ家なのですが)に八人も、自由に外へ出入りできず、息をひそめて暮らさなければならない苦労は、とても真似ができませぬ。
 だから、この『アンネの日記』は、すぐれた反戦記録(文学)といえるのですが、アンネは身近な人々への鋭い観察と批判、将来の夢、恋まで、実に多く詳細に書いていますので、特に十代の女性には強い共感を呼ぶと思います。
 私も学生時代に読んだことがあり、今だったら、どんなふうに感じるかなと好奇心半分で、読んでみたわけです。

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2021年10月23日 (土)

『旅のつばくろ』(沢木耕太郎・新潮社)の感想

 書籍『旅のつばくろ』(沢木耕太郎・新潮社)の感想を申します。いくつかのネタバレが含まれていますので、ご注意ください。
 あとがきによりますと、こちらは、JR東日本が発行している「トランヴェール」という雑誌に連載されていたそうです。
 私も以前に読んで、大いに感動した、『深夜特急』の作者様ですが、こちらは日本国内の旅行記で、41編が掲載されています。
 旅そのものが目的であったり、あるいは、用事で出かけた先で見聞した出来事であったりと、行き先も様々ですが、またしても、私は脱帽せざるを得ませんでした。
 お話の一編ごとは、独立していたり、緩くつながっていたりしていますけれども、どこから読んでも、ほぼ大丈夫な仕様です。
 だから、私は、のんびり寝転がってでも読める小作品集だと予想しておりましたが。 うれしい精神的土下座をさせていただきます。

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2021年10月16日 (土)

『粗食のすすめ お弁当レシピ』(幕内秀夫・東洋経済新報社)の感想

 書籍『粗食のすすめ お弁当レシピ』(幕内秀夫・東洋経済新報社)の感想を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。

 今回も、どうか、作者様がこの辺境(偏狭)ブログをサーチして、ご覧にならないことを望みます。無学の料理下手のくせに(だから、か?)、辛辣なことを書いておりますので、ファンの方も、お気をつけください。

 何とか転職できまして、お弁当を持っていけたらいいなと、思ったのが、この本を手に取ったきっかけです。時短または簡単レシピと説明されていなかったから、内容は事前に予測しておくべきでした。これは、まったく私の落ち度で、反省しております。
 粗食=簡単にできる料理ではないのです!
 シンプルな素材と調味料を使用して、ていねいに調理された、おかずやご飯類ということだったのですね。
  確かに、掲載されている写真を見ますと、どれもこれも、あっさりした感じの、おいしそうなものばかりで、食欲をそそります。
 しかし、あえて申し上げますと、料理してみたい気分になれず、わずか30分で読了してしまいました。
 そのわけは。

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2021年10月 9日 (土)

『軍師 黒田官兵衛伝』4・5巻(重野なおき・白泉社)の感想

 四コマ漫画『軍師 黒田官兵衛伝』4・5巻(重野なおき・白泉社)の感想を申します。いくつかのネタバレが含まれていますので、ご注意ください。

 これもまた、いつの間にか、手元に置きっぱなしにおりました。どうもすみません。
 4巻、5巻とも、相変わらずの勢いとストーリーテリングといいましょうか、大変おもしろかったですよ!
 あらすじ(というか、ほぼ合戦の顛末です)を説明いたしましょう。
 4巻は、VS明智光秀の山崎の戦い。そして、織田家の未来を決定するはずが、秀吉と柴田勝家の対決が避けられないものになる、清州会議。行きつく間もなく、VS柴田勝家の賤ケ岳の戦い。これが、官兵衛という軍師側から見た動きが多く、あっさりした感じだったので、私としては拍子抜け。賤ケ岳の七本槍の活躍とか、見て見たかったですなあ。
 5巻は、賤ケ岳の戦い後のお話。市の死の場面は、また私、泣きそうになりました。やっぱり! 絶対! 戦国時代の大名の妻なんて、なりたくない! 市はやっと、夫とともに逝く願いを果たせて、幸せだったのでしょうか。雑賀衆との戦い、小牧・長久手の戦いで、秀吉軍は、古参の池田恒興、森長可が討ち死にしますが、織田信雄と秀吉が勝手に和睦して終了。紀州征伐は水攻めで勝利しますが、次は四国の覇者、長宗我部元親が対決姿勢を。ここで終わり。

 

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2021年10月 4日 (月)

『全日本食えばわかる図鑑』(椎名誠・集英社文庫)の感想

『全日本食えばわかる図鑑』(椎名誠・集英社文庫)の感想を申します。いくつかのネタバレが含まれていますので、ご注意ください。

 表4の説明文のとおり、「当世流行るグルメとはキビしく一線を画す、正しい高級質素料理」について説くことをメインにした、シーナ流うまいもの文化論(エッセイ)です。
 はい、お笑い要素たっぷり、独特の語り口調もおもしろいものですから、非常に満足いたしました。
 思い出の一品、野外の料理、個性的な人からのごちそうなど、50の美味について描かれています。
 ただーし! 美味しんぼの海原雄山が追究するような、格調高い料理は皆無です。
 のり弁や、調味料びちゃびちゃという、リーズナブルだけれども、体にいいとは言えない(要するに、脂たっぷり、濃厚な味で、めちゃくちゃおいしそう)料理ばかりですから、ダイエットなどの食事制限を受けている方は、要注意です。

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2021年10月 2日 (土)

『のの美捜査中!』全5巻(重野なおき・白泉社)の感想

 四コマ漫画『のの美捜査中!』全5巻(重野なおき・白泉社)の感想を申します。いくつかのネタバレが含まれていますので、ご注意ください。

 ようやく全巻入手できました! 購入して、よかった! おもしろかったです。
 1巻の感想をアップしたことがあったかと思いますが、念のため、簡単にあらすじを申しましょう。
 見かけ中学生だけれども、元キャリア組の巡査、のの美は、練馬の桜台署で、真田軍平、近藤ナツキ、鈴木二郎といった刑事課の面々と、監察医の高橋すみれ、交通課の氷室沙雪らと協力し、事件を解決していく、というもの。
 ギャグだから、登場人物も事件もおもしろいものが多いです。確かに、3巻の帯カバーで、作者様がコメントしておられるように、3巻から、刑事ギャグものとしては、ちとやりすぎたところもあります。
 が、おもしろければ、許されます!
 ユニークな登場人物としては、2巻から出てくる、警察犬(人物じゃないけど)のマスコさん、変装が得意で脱獄もしてしまう、怪盗23区。
 私的に笑わせてもらったのは、初めの方では、やたらとクールなのに、のの美フリークな氷室沙雪だったのですが、後半に行くにつれ、4巻の作者様あとがき同様、鈴木二郎がたまらなくいい! です。
 鈴木は高橋すみれに片思いしていますが、何度プロポーズしているか、わかりません。一応、真面目で熱血漢なのですが、男の煩悩まみれなのは、もう笑いが止まりませぬ。

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