『鳥類学者 無謀にも恐竜を語る』(川上和人・技術評論社)の感想
書籍『鳥類学者 無謀にも恐竜を語る』(川上和人・技術評論社)の感想を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。
いやぁ、ビッグイシューで紹介されていたのを思い出し、ようやく読了したのですが。
小説よりも、科学、評論系が、ある意味、おもしろいと、わかってはおりましたけれども。
何だか、ちょっとしたSFというか、古代ファンタジーを読んだような気分になれました。
あらすじというか、内容としては、鳥類学者の作者様が、「恐竜は鳥類の先祖である」という前提のもとに、発掘される化石のこと、そもそも、恐竜とはどのようなものか、鳥類と恐竜の共通点と相違点、鳥類から推測される恐竜の生態(ここが私的に一番おもしろい)等々と、スムーズに論理が展開され、興味深く読めました。
他にも、本文ページ下部に、小さな文字で解説されているのですが、たとえば、257ページ恐鳥に関する部分で、「地上以上、空未満の隙間」のことを、「友達以上、恋人未満の立場を経験したことのある読者なら、そのもどかしさがよくわかるだろう。」と、表現されており、私は、所々で笑ってしまいました。
そう、内容は極めて真面目で、基本はまさに評論的(欠点を挙げるとすれば、ここかな。たまに、堅苦しくて読むスピードが遅くなってしまいました)なのですが、語り口が、たまに、すっとぼけていて、楽しい&おかしくて、よかったです。
本当に、私は化石の復元が、どれほど困難なことか、ろくに知っておりませんでした(反省)。
さらに、恐竜が今後の発見次第で、すばらしい、あるいは、予想外な生活スタイルを行なっていて、同時代の植物や、哺乳類などにも影響を及ぼしていたかもしれないということです。
なので、鳥類は虫唾が走るほど嫌い、もしくは、鳥肉は食べるのも、目にするのも避けたいという方を除いて、恐竜ファンの方、動物の生態学が大好きな方にお勧めいたします。
さて、作者様、あとがきで、批判に弱いとおっしゃっておられましたが、このくらいなら、許していただけますよね? また、他の著書があれば、読んでみたいです。それでは。
ご協力お願いします。
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