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2022年2月に作成された記事

2022年2月26日 (土)

『チャタレイ夫人の恋人』(原作:D・H・ロレンス 川崎三枝子 世界文化社)の感想

 コミック『チャタレイ夫人の恋人』(原作:D・H・ロレンス 川崎三枝子 世界文化社)の感想を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。

 こちらは、「マンガ世界の文学」というシリーズの3巻目です。名高い女性漫画家様達が、有名な文学を漫画化しておられますが、私が川崎三枝子に注目していることと、同タイトルの小説は未読であることからして、読んでみました。
 あらすじは、チャタレイ夫人ことコニイは、新婚間もない身でありながら、夫のクリフォドが第一次世界大戦によって立てなくなってしまう不運に見舞われます。コニイは懸命に、夫に仕えますが、クリフォドは小説の執筆と炭鉱経営に熱中し、体以上に心を触れ合わせようとしません。
 孤独と空しさに苦しむコニイは、森番のメラーズと知り合い、かいま見た彼の裸体の美しさもあって、興味を持ちます。メラーズもまた、不幸な結婚をしていたため、最初はコニイを拒否しますが、やがて彼女に同情し、二人は結ばれます。
 コニイは自身に新しい命のきざしを感じて歓喜するあまり、メラーズを遠ざけてしまいます。動転し、彼女の心変わりを疑うメラーズ。間もなく、二人の関係はクリフォドの知るところとなり、「離婚はしない」と、彼は言い放つのでした。

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2022年2月23日 (水)

『増補版 強運をつくる干支の知恵』(北尾吉孝・致知出版社)の感想

 書籍『増補版 強運をつくる干支の知恵』(北尾吉孝・致知出版社)の感想を申します。ネタバレが含まれていますが、この本を購入しないと、使えませんので、ご注意ください。

 こちらは、2014年12月に刊行された同名タイトルの作品を、加筆して増補版としたそうです。
 内容は、タイトルのとおりで、個人の運命というよりは、日本と世界の政財界の動きを予知し、役立てようというものです。
 私の運勢がどんなによくても、日本が非常事態では、幸せになれるわけがありませぬ。
 そういうわけで、社会の運命を事前に知ることのできる方法はないかと、私はいつも探しており、この本に出会ったわけです。

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2022年2月19日 (土)

『人間劇場』(永島慎二・朝日ソノラマ)の感想

 コミック『人間劇場』(永島慎二・朝日ソノラマ)の感想を申します。ネタバレが含まれていることに加え、作者様や作品に対して、やや辛辣な表現もあるかもしれません。熱烈なファンの方には、不向きかと思います。ご注意ください。
 この本は、7話が収録された、短編集です。老若男女のそれぞれ異なる人生模様が描かれていると、私が想像してしまうようなタイトルなのですが、割と刑事ドラマっぽいお話が多くて、あてがはずれました。
 それから、作者様の個性なのか、あるいは昭和という作品(発行年は昭和42年!)の特徴なのかもしれませんが、死ネタが多く、厳密には後味がいいとはいえませんね。
 もう一つ、私的に一番の不満なところは、やっぱりと思いましたが、相変わらず、女性に魅力がありませんね。清純かつ男性に従順か、お母さんタイプばかりですね。
 収録されているのは、次のとおり。

 第1話 白いバラ
 第2話 月の下の一人
 第3話 裏街
 第4話 夏の終り
 第5話 はえ
 第6話 おふくろ
 第7話 いしだたみ

 では、いくつかのあらすじと、感想を述べます。

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2022年2月14日 (月)

『一角散』(津野裕子・青林工藝舎)の感想

 コミック『一角散』(津野裕子・青林工藝舎)の感想を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。

 こちらは、短編集です。掲載されている作品は、次のとおり。

「救命一角散」「turbidity」「トランス・トランス」「こうもり」「エリクシル」「双生児の窓」「流感の流行り」「ねこのゆくえ」
「百日紅白」「乙女椿」「ジェミニ 前編」「ジェミニ 後編」「ダム、スワン」「セルピエンテ・ドゥルミエンテ」「ゆーたん」

 内容としましては、一応普通っぽい(いや、「セルピエンテ・ドゥルミエンテ」のヒロインは、かなり風変わりですが)少年や少女といった主人公が、ふとした好奇心に駆られたり、あるいは、前触れもなかったりという状況で、摩訶不思議な体験をする、というものです。かなり雑な説明で、すみませんが。
 とはいうものの、どんでん返し、パワフルもしくはスリリングな展開ではない、どちらかというと、淡々と始まって、静かに終わる、といった雰囲気です。だから、そういうワクワクするストーリーがお好みの方には、不向きな漫画だと思います。
 魅力は充分にあるのに、これまた、感想が伝えにくいですね。
 ギリシア神話が引用されたり、一角獣が登場したりと、日常系ファンタジーと呼ぶべきでしょうか。それとも、日常系幻想譚?
 たとえば、私達は、自分自身でなくとも、友人、もしくは友人の友人などの関係の中で、信じがたいような不可解な現象を体験、見聞しますけれども、そのような感じですね。
 信じられないことが起こったが、日常は変わりなく続いていくのです。
 その効果を盛り上げるのは、非常に精緻でリアルな描きこみです。あまりデフォルメのない、描き方です。
 表紙からして、昔風の薬のパッケージと、古代ギリシア風の美人、一角獣が描かれた、実にきれいな絵です。

 

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2022年2月12日 (土)

『旅する力 深夜特急ノート』(沢木耕太郎・新潮社)の感想

 書籍『旅する力 深夜特急ノート』(沢木耕太郎・新潮社)の感想を申します。いくつかのネタバレが含まれていますので、ご注意ください。
 あらすじというか、内容について簡単に説明いたしますと、サブタイトルのとおり、『深夜特急』の制作秘話&後日談です。
 しかしながら、旅をテーマにしたエッセイ集とも読み取れますので、初めての方でも大丈夫だと思います。
 今のところ、この作者様の作品で、ハズレを引いたことがありませんけれども、今回も私は脱帽いたしました。

 

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2022年2月 7日 (月)

『楽しき熱帯』(奥本大三郎・集英社)の感想

 書籍『楽しき熱帯』(奥本大三郎・集英社)の感想を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。
 この本の簡単なあらすじは、作者様のブラジル昆虫採集記録と、アマゾン川流域旅行記及びエッセイです。
 ゆえに、虫、特に蝶類が嫌いな方にはお勧めできません。反面、文章の表現的には文句はないのですが、そのような飛び回る宝石のような南米の蝶の美麗なカラー写真など、一枚でも載せてほしかったなあと思いました。
 最初、私は、開高健の『オーパ!』のような作品を予想していたのですが、作者様は蝶の採集にとどまらず、その標本の購入、新鮮な刺身が食べたくなって、釣りを始めたり、木々を伐採してみたり、さらにはインディオに関する記録にまで言及するという、奥深い内容でした。

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2022年2月 6日 (日)

『蛍の航跡 軍医たちの黙示録』(帚木蓬生・新潮文庫)の感想

 短編小説集『蛍の航跡 軍医たちの黙示録』(帚木蓬生・新潮文庫)の感想を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。

 構成内容は、前回ご紹介した『蠅の帝国』と同じです。収録されている、15作品のタイトルは、次のとおり。
「抗命」「十二月八日」「名簿」「香水」「軍靴(ぐんぐつ)」「下痢」「二人挽き鋸(のこ)」「生物学的臨床診断学」「杏花(シンホア)」「死産」「野ばら」「巡回慰安所」「行軍」「アモック」「蛍」

『蛍の航跡』では、私的には、軍隊内の悲惨な状況にも増して、精神的に衝撃が及ぶ感覚が多かったように思います。
 それでは、いくつかの作品の感想を挙げますね。

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