« 『Webライティング実践講座』(編著:林千晶 中野克平 著:中田一会 小川治人 井上果林 吉澤瑠美 君塚美香 KADOKAWA )の感想 | トップページ | 『スーパーレディ魔子』(笠間しろう・太田出版)の感想 »

2022年3月19日 (土)

『役者の仕事 [演技]はどうやって作られるのか?』(編集:サードステージ 福武書店)の感想

 書籍『役者の仕事 [演技]はどうやって作られるのか?』(編集:サードステージ 福武書店)の感想を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。

 こちらは、リサイクル本屋さんで購入しました。奥付によれば、1993年3月15日第一刷発行だそうです。
 当時の有名な役者様達16人のインタビュー集です。その内訳と掲載順は、次のとおり。

 尾美としのり、藤谷美和子、中嶋朋子、石田ひかり、戸川純、篠井英介、高嶋政宏、斉藤由貴、
 佐野史郎、藤田朋子、永瀬正敏、佐藤浩市、毬谷友子、利重剛、野村武司、中村浩太郎

 私は名前と顔が一致しないほどの芸能情報オンチだし、演技に特化したインタビューは、果たして何かの参考になるだろうかと、少し迷いましたが、結局、藤谷美和子、戸川純、佐野史郎に惹かれて買ってしまいました。
 感想は、一言で言うと、おもしろくなくはありませんが、やや拍子抜けしたような?
 役者様各人の強烈な演技論、演技に対するこだわりを予想というか、期待していたのですが、むしろ、どなたも、微妙な違い(個性?)はあっても、地道に役柄にアプローチしていく、日常においても努力しておられました。
 もしかすると、舞台よりも、映像系の役者を目指す方々には、参考になるかもしれません。
 でも、考えてみれば、演技のやり方なんて、それこそ、役者様にとっては特別奥義、秘中の秘。ゆえに、無難に、淡々と、語る以外にないのは、当然なのでしょう。
 インタビューは、(当時の)最新作についてとか、成功例などの定型ではなく、役者様が延々と語っているかのような、奇異なスタイルも取り入れており、よく言えば、役者様それぞれに応じており、悪い言えば、統一感がないようです。

 さて、期待した三人のインタビューについて、藤谷美和子は、純粋というべきか、あまり深く考えていないような? 真面目に仕事に取り組みはしていても、奔放だなあと思いました。今、作成中の原稿のイメージソングに、彼女の歌を聞いていたから、興味を持ったのですけどね。
 戸川純では、自分以外の者になれる、そんなおもしろさ。けれども、「がんばって演技しているな」と、お客さんに思われたら、おしまいだという苦労。相変わらず、視点と表現がおもしろいです。
 佐野史郎は、学生時代、演劇部よりも幻想文学の方が好きだったそうで。そして、なぜか、気が進まないながらも、演劇から離れらず、続けているうちに、「インチキなものの中にしか、本当はない」という心境に! すごいとしか、言いようがありませぬ。
 それから、予想外におもしろかったのは、佐藤浩市。日常の中で、演技の勉強になる言動、他人の立ち居振る舞いはあるけれども、単なる再現や物真似ではいけない。一度、自分の中で……という、演技様式には、感心させられました。この方のことを、私はほとんど注目していなかったのですが、これからは、もっと関心を寄せようと思います。
 拍子抜けと書きながら、新しい分野も切り開いてくれたようで、思った以上にいい内容でしたね。それでは。



ご協力お願いします。

読書感想ランキング

| |

« 『Webライティング実践講座』(編著:林千晶 中野克平 著:中田一会 小川治人 井上果林 吉澤瑠美 君塚美香 KADOKAWA )の感想 | トップページ | 『スーパーレディ魔子』(笠間しろう・太田出版)の感想 »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 『Webライティング実践講座』(編著:林千晶 中野克平 著:中田一会 小川治人 井上果林 吉澤瑠美 君塚美香 KADOKAWA )の感想 | トップページ | 『スーパーレディ魔子』(笠間しろう・太田出版)の感想 »