『孤独のグルメ』文庫版・新装版(原作:久住昌之 作画:谷口ジロー 扶桑社)の感想
漫画『孤独のグルメ』文庫版・新装版(原作:久住昌之 作画:谷口ジロー 扶桑社)の感想を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。
文庫版というのは、2000年発行の、表紙が第11話の一コマを拡大しているらしいもので、最初はこちらを読んでいたのですが、あまりに作画がよかったので、新装版を購入したというわけです。なお、2巻は未読です。
文庫版の巻末では、釜石に出かけられた原作者様が、一人であるお店に入って食べたという体験記(釜石の石割り桜 あとがきにかえて)が載っています。お一人様あるあるのエピソードですね。一人で外食される経験のある方は、うなずけるし、こういうお店に入ってみたくなるでしょう。
新装版では、何と、ラストの漫画で、主人公の井之頭五郎(職業は個人貿易商のようで)が入院してしまったという、新作が追加されています。味、ボリュームとも最悪と、一般的に言われている病院食を、彼はおいしく食べられるのでしょうか。それを楽しむコツがあるのは、憎いですね。
しかも、巻末は、作者様、作画担当様、川上弘美の三社鼎談つき。一方、文庫版にあった「釜石の石割り桜」がカットされています。私は結果的に、得をしたのかな?
ドラマにもなった漫画だそうで、井之頭五郎が仕事の終わり、もしくは合間に、東京都内を中心に、関東地方、一度だけながら、大阪にまで出かけて、一心に食べる、その際のモノローグを描く漫画です。
仕事ですから、井之頭はスマホでおいしい店を探す暇はありません。けれども、大変空腹な場合が多く、行き当たりばったりで、よさげな店に入ってみ、おいしそうなメニューを選びます。モノローグ中心なので、セリフは、ほぼ注文するだけで、周囲の人々がわやわや話す声も聞こえてきます。
店、次にメニューを選択し、食べる。それだけのことなのに、「あれは失敗」「こっちの方が良かった」「これはいい」「もっと欲しい」など、食にこだわる、お一人様の内面は、ドラマチックな一人芝居のようです。
もし、食べられるのなら何でもいいタイプの人なら、食事は、服の着替えのような日常雑務と同じようなものになるのでしょうね。←こういう感覚が得か損かは、人それぞれでしょうが。
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