『新九郎、奔る!』6,7巻(ゆうきまさみ・小学館)の感想
コミック『新九郎、奔る!』6,7巻(ゆうきまさみ・小学館)の感想を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。
6巻では、荏原における、境目争いと、それと連動するかのような、あの男装の姫、つると新九郎の恋の顛末が語られます。
7巻は、現在の新型コロナウイルス肺炎の感染拡大とオーバーラップするかのような、京での疱瘡、麻疹、赤痢の流行と、それらによって命を落とし、運命を変える人々の経緯が語られます。
それでは、6巻のあらすじですが、西荏原の伊勢盛頼と那須家との間に起こったものでした。戻って来た新九郎は、格上の、庄元資の力を借りて、双方を和解させます。
ところが、偶然にも、つるの水浴姿を見てしまい、大いに動揺(ときめき?)。
さらに、新九郎の紹介と、皆の親睦を深めるため、宴会を企画するのですが、父の盛定が贈答などで浪費してしまい、すっからかんであることが判明。これも、義母の須磨の、タイムリーな差し入れのおかげで、何とかなりました。
しかし、宴会の際、つるが見違えるような美女になって、やって来ます。それに触発されたか、盛頼が意味深な一言を。新九郎は動転し、馬屋で彼女と二人きりの時、率直に思いを伝えます。つるも新九郎に好意を寄せて、情熱的な秘密の時を過ごしたのでした。
翌朝、陶然としていた新九郎に、盛頼は、那須家の人質として、つるが嫁いでくることになったと伝え、新九郎の恋は爆散。
7巻は、家臣や家来達の思惑をよそに、新九郎は失恋の痛手を埋めるかのように、領地経営や文字を教えることに熱中します。
一方、京では疱瘡がはやり始めて、大勢の犠牲者が出ます。伊勢家でも、弥次郎が発熱して疑われますが、こちらは麻疹の方でした。看病していた須磨は感染して、落命します。
父からの知らせを受けて、京へ向かった新九郎でしたが、街中のむごい状況に驚きます。さらに、帝、伊勢家で養育している春王丸、その父、将軍義政、母の日野富子と、次々に病に倒れてしまいます。新九郎は、父に代わって仕事をこなしていましたが、春王に気に入られてしまい、荏原に帰れないことに。その間、実母の浅茅に会いに行った時、応仁の乱の西軍総大将、山名宗全が衰弱していること、東軍の細川勝元もまた、乱の終結に苦労していることを思い知るのでした。
やっと、荏原に戻ってみれば、大雨で水浸しのため、米の収穫は望めそうになく、また借銭の上乗せに。細川勝元は隠居し、その上、伯父の伊勢貞親が……。
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