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2022年9月18日 (日)

『シェイプアップ乱』全8巻(徳弘正也・集英社文庫)の感想

 コミックス『シェイプアップ乱』全8巻(徳弘正也・集英社文庫)の感想を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。

 この漫画は、大昔にどなたかから単行本を途中まで読んだきり、どのような終わり方をしたのか、わからないままだったので、気になっていたのと、ヒロインの乱ちゃんこと、寿乱子がボディービル愛好者なのが、筋トレにはまっている私は親近感を持っていて、運よく入手できました。
 いくつかの例外はありますが、ほぼ一話完結スタイルで、どこから読んでも楽しめるギャグ漫画です。
 あらすじというか、設定としては、パワフルで正義漢でもありますが、成績は壊滅的な乱子に、東大志望でドスケベな原宗一郎、乱子の親友で億万長者の令嬢、真行寺ひろみ、乱子が思いを寄せる、拳法部の樋口左京とその妹のさやかといった個性的な面々を中心に、いろいろ起こるといったもの。
 最初に、いただけないというか、人を選ぶポイント(個性でもあるのですが)を挙げますと。
 1.下ネタが多い。下品っぽいギャグも。
 笑点系の上品なお笑いがお好みの方は、避けた方がいいかも。

 2.伏線が回収しきれていない。
 いや、一話完結ギャグだから、別に気にしなくてもいいのかもしれません。が、5巻の「ひろみのラブゲーム」で、真行寺ひろみが、片思いをしている(!)原宗一郎に、大胆なことをしてしまいます。これから、どうなるのでしょうか。宗一郎自身は、乱子に気があるっぽいけれども、彼女は樋口左京しか眼中になし。宗一郎、乱子、ひろみの三角関係発生かと、私は大いに期待したのですが……。ちと、残念。それにしても、ひろみが、スケベで下品な宗一郎に、それほど強く思い焦がれる理由は、何だったのでしょうね。

 3.前半と後半で、絵柄が異なる。キャラクターの顔の描き方は、好みが分かれるかも。
 これもまた、私の好みの問題ですけれども。作画崩壊まではしていませんが、後半は、スタイル抜群だった乱子が、三等身くらいになって、さらに線描が細くなってしまい、文庫本では少々見えにくいです。
 加えて、メインキャラクター達のシリアス顔は、額が狭くて、口からあごまでの間が長いという、独特なスタイルです。
 

 それでは、長所について述べましょう。

1.第1回から最終回まで、ずっとおもしろかった。
 作者様のエッセイ風な作品も、いい味を出しています。

2.いくつかのシリアス作品の出来が秀逸。
 第3巻「堕ちた天使の巻」は、前後編で、何と乱子が狂言回し。暴力被害にあった北沢順子が、クラスメートから白眼視され、彼氏の藪木ともしっくりいかなくなって、たちの悪い女子生徒達と関わるようになってしまいます。藪木は、彼女を助けられるのか、という重いお話でしたが、ラストで、ほっと、安心しました。
 第5巻「2100年 シェイプアップ乱」は、SFもの。乱子、宗一郎、華歩ルイ子の三人の乗った宇宙船が、昆虫人と爬虫人が争う星に不時着します。成り行き上、昆虫人に味方することになりましたが……ラストに仰天させられましたよ。
 第8巻「真行寺先太郎暗殺計画」は、ひろみが誘拐され、命の危険にあうという、サスペンス&アクションもの。宗一郎、左京、乱子が、手練れ(?)の殺し屋と全力で戦いますが、ひろみも大ピンチに。乱子が親友に向ける言葉と笑顔、そして、最後の方のひろみのセリフには、感動してしまいました。


3.ギャグ漫画のはずなのに、泣かせる作品もあり。
 第2巻「落ち葉の物語」は、О・ヘンリーの有名作品が下敷きですが(永島慎二といい、この話は作りやすいのか?)、左京とさやかの共通の知人、のりちゃんの思い出話です。残念な結果になりましたが、ラストの、擬音語やセリフなしの左京の行動は、本当に優れた表現です。

 そのようなわけで、私的には読み応えのある漫画でした。ギャグ好きの方には、特にお勧めいたします。それでは。

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