『零戦少年』(葛西りいち・秋田書店)の感想(追記)
コミック『零戦少年』(葛西りいち・秋田書店)の感想の追記いたします。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。
私はつい、かわいい絵柄に注目して見落としておりましたが、中心人物達は皆、一筋縄ではいかない性格と過去を持っております。
たとえば、主人公の安男氏は、零戦パイロットになって成り上がりたい、つまり、大金をもうけて、大勢の女性とやり逃げしたいと、当初は希望していたのですが、表向きは日本男子として役立ちたいと、いい恰好をしておりました。コテコテの大阪人のはずだった逢坂は、裕福な実家に居場所がなく、家族は無関心(もっとも不幸な人物かも)。口数は普通ながらも無表情で、重要な質問を無視する悪癖の清水は、非常に家族思い、というわけです。
私の一番のお気に入りキャラクターは、語り手の安男氏をおさえて、逢坂です! ストレートに安男氏にからむかと思えば、女子挺身隊の少女達をナンパしまくり(当然不成功)、浪費して空腹に苦しむと、おバカな面もありますが、特攻前のメッセージが泣かせます。
わがベストシーンは、清水と逢坂の特攻です。これは安男氏が見ていませんから、想像による創作にあたるのですが、無言でアイコンタクトを交わす彼らは、かすかに頬笑んでいます。続いて、逢坂が目標を定めるわけですが、この迷いのない静かな、しかし強い眼差しをもった表情は凄絶としか思われません。
何度見ても、痛ましいです。彼らに生きる道は、なかったのでしょうか。
もう一度、亡くなった方々にご冥福をお祈りいたします。それでは。
ご協力お願いします。
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