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2022年12月に作成された記事

2022年12月17日 (土)

『絢爛たるグランドセーヌ』14巻(Cuvie・秋田書店)の感想

 コミック『絢爛たるグランドセーヌ』14巻(Cuvie・秋田書店)の感想を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。

 いろいろあって、13巻からとても間があいてしまいましたが、やはり、読んでよかったです!
 14巻のあらすじは、YAGP NYC(ニューヨーク シティ)ファイナル結果発表がメイン、といきたいところですが、日本へ帰国後の奏の動向に注目です。
 前者は、やはりというべきか、奏が入賞! これはまあ、予想どおりなのですが、彼女の演技のどこがどう優れていると判定されたのか、明確になっていないのが惜しいです。その部分まで描いていると、キリがないから、でしょうか?
 ともあれ、奏はロイヤル、絵麻はジョン・クランコの年間スカラシップ、翔子もモナコの入学許可、皆、喜んで帰国します。そして、滝本先生から、スクールの発表会で『ナポリ』のパ・ドゥ・シスを、その一週間後のガラで、『パリの炎』のパ・ドゥ・ドゥを踊ってほしいとの依頼を知らされます。両方とも承知する奏でしたが、暁人と踊る『パリの炎』ではスタミナ不足、結貴と組む『ナポリ』は、リフトに苦労します。さらに、悪気はないのですが、前髪で隠れて表情がはっきりせず、本心を押し隠しているかのような結貴と奏は、ぎくしゃくしていましたが、奏は得意のコミュニケーションで、彼を元気づけ、翔子や水戸も含めて、皆がポジティブになり、『ナポリ』の舞台を盛り上げていこうと、盛り立てます。そうこうするうちに、同じガラで『海賊』のパ・ドゥ・ドゥに出演予定のさくらが帰国。観客席で、何と、絵麻と隣り合わせに。奏の舞台で、彼女達はそれぞれバレエに対する熱意を新たにするのでした。
 見どころは、奏が苦手とするパ・ドゥ・ドゥに挑戦し、それなりの成果を上げるところでしょう。ジャンプ、リフトのコツなど、バレエをやっている方に参考になると思いますし、私のようなやらない者には、またまた高等テクニックを思い知らされてしまいました。
 まさに、作中で絵麻が翔子に言っていた、次のセリフのとおり。
「…バレエってさぁーー 全っ然 楽勝じゃないところがいいよね」

 

 

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2022年12月10日 (土)

『新九郎、奔る!』8、9巻(ゆうきまさみ・小学館)の感想

 コミックス『新九郎、奔る!』8、9巻(ゆうきまさみ・小学館)の感想を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。
 8、9巻の、新九郎とその部下達がメインで活躍する舞台は、駿河です。もっとも、9巻になっても、駿河編は続くらしいですが。
 簡単にあらすじを述べますと、8巻前半は、伊勢貞親の死亡から始まって、応仁の乱の総大将だった、山名宗全、さらには細川勝元までが急死します。勝元のあとは聡明丸が、足利義政が将軍職を退いて、その嫡子、春王丸が第九代将軍義尚となって、世代交代が急速に進みます。けれども、肝心の応仁の乱の方は、大方の予想に反して、いまだ収束できません。そんな折しも、新九郎は、父と伊勢家当主の貞宗から、駿河へ向かうよう、命じられます。父からは金策を、貞宗からは今川義忠の行動を探れと言われたわけです。姉の伊都は、娘、龍王丸と子宝に恵まれ、相変わらず明るく新九郎と接してくれましたが、その夫の義忠は、陽気な言動ながらも、遠江に執着し、出陣して強気な戦いを繰り広げますが……。
 9巻では、義忠が戦死したのにともない、今川家内の跡継ぎ問題が起こります。本来なら、龍王丸が継ぐはずですが、幼すぎるのと、義忠が無謀な戦を仕掛けたため、その従弟の新五郎範満。姉達を助けるため、新九郎は再び駿河へ赴任しますが、範満は前回、真面目でよくもてなしてくれた好人物のはずでした。そんな範満が仲裁役として依頼してきたのは、何とこれまた前回、温泉で出会っていた、太田道灌! 姉からのプレッシャーに加え、海千山千の道灌に翻弄されながら、新九郎は懸命に交渉にあたるのでした。そして、利害は一致し、要求は通ったものの、新九郎は道灌の器の大きさを思い知らされ、大いにくやしがるのでした。


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2022年12月 4日 (日)

『誰のために愛するか すべてを賭けて生きる才覚』(曽野綾子・青春出版社)の感想

 書籍『誰のために愛するか すべてを賭けて生きる才覚』(曽野綾子・青春出版社)の感想を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。
 こちらの本は、以前にご紹介した、『生きるのはひとり その人に生命(いのち)を燃やそうとするとき』(戸川昌子)と同じ出版社で、奥付によりますと、発行時期は、「昭和46年11月15日 第463刷発行」で、当時のベストセラーであったのかもと、私は予想しています。
 内容は、やや恥ずかしいサブタイトルですが、難しい男女関係をいかにうまく乗り切っていくか、というよりも、充実した夫婦関係を維持できるコツを、作者様自身の実例を挙げて著したものです。
 私は現在、この作者様はあまりに右翼的で、かつ上から目線の論調に感じられてならず、さっぱり読まなくなっていたのですが、久しぶりに読んでみて、すんなり、すっきり頭に入り、夫の三浦朱門氏とのやり取りなどが楽しそうに思われました。
 女性著作者が、同性向けに描かれた作品は、かくあれかしとか、こうしなくてはいけない、みたいな説教調ばかりで、タイトルを見ただけで、私はうんざりさせられてきましたが(西原理恵子とか)、この作品は素直さと自然なユーモアがあって、好感が持てます。


 

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