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2023年1月に作成された記事

2023年1月29日 (日)

『新九郎、奔る!』10、11、12巻(ゆうきまさみ・小学館)の感想

 コミック『新九郎、奔る!』10、11、12巻(ゆうきまさみ・小学館)の感想を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。
 
 最初に、いただけない点を挙げます。
 事件が起こった時、それは西暦何年なのか、前のエピソードから、何ヶ月? 何年? 経っているのか、新九郎他の主要人物の年齢は何歳なのか、わかりにくいです。
 たとえば、文明9年(1477年)と、背景に細かく載っていれば、とても助かるのですが。安易に比較はできませんが、重野なおきの歴史四コマ漫画では本文中にしっかり年代が説明されていますし、単行本のカバー下の表紙にも年表があって、わかりやすいので、そのような工夫があればなあと、思います。まあ、日本史無知の私は、もっと勉強しなくてはいけないのですが。
 しかし、お願いはそのくらいで、巻ごとにおもしろい出来事満載です。
 10巻で、結局、伊都と龍王丸暗殺をねらった刺客の正体は不明のままでした。今川新五郎は自分でないと、言い張っていますが、彼の配下の家臣の仕業? すんなりと、平和内に収まりそうにないですね。
 新九郎の、男臭い家来達の中で唯一、かわいい雰囲気の山中才四郎が、刺客の矢をまともに受ける場面はショッキングでしたが……やれ、一安心!
 かわいいといえば、将軍の義尚もそうで、懸命に新九郎を自分の近臣になるように計らっているのですが、新九郎は大御所の義政のきげんをそこねて、龍王丸の相続が不利になるのを恐れて、辞退してばかり。落胆する幼い表情が、痛々しいほどに愛らしいです。これは不幸萌え? 不憫萌えというのでしょうか? ごめんなさい! でも、やっぱり、かわいい。
 11巻で、つる、まさかの再登場。そして、弟でなく、息子の千々代丸に那須家を継いでほしいとの希望を明かすのは、ひとえに、わが子かわいさゆえに。龍王丸のため、実家の伊勢家を頼り、寄進を要求してきた雑掌を一蹴する伊都と、オーバーラップします。これぞ、女というか、母の戦いなのでしょう。一見、物静かで平和なだけに、新九郎は彼女らの強さに驚き入ってしまうのも、納得できます。
 それから、あらすじでは省略しましたが、幕府奉公衆の小笠原政清の娘、ぬいが不思議と目立っております。甘党の食いしん坊で、年齢相応? に愛らしい少女で、市で父とはぐれていたのを、新九郎に助けてもらったのですが、今後、何かの縁ができるのでしょうか。怜悧なつるとは正反対の、大らかで無邪気な少女ですけど。

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2023年1月28日 (土)

『新九郎、奔る!』10、11、12巻(ゆうきまさみ・小学館)のあらすじ

 コミック『新九郎、奔る!』10、11、12巻(ゆうきまさみ・小学館)のあらすじを申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。

 遅筆な私が、ようやく最新刊に追いつけました。
 この漫画は時代物にありがちな、戦や斬り合いなどは少なめですが、生真面目な少年が、時には策略も行なうしたたか者に成長? 変貌? していくお話です。
 十代の人々が純粋であるがゆえに潔癖で、大人のやり方、偽善に我慢ができず、傷つき、反抗する過程を描いた作品はいくつもありますが(『二十歳の原点』永島慎二の『青春裁判』『フーテン』などの作品)、新九郎の生き方こそ、時代と立場が異なれども、社会と関わりを持つ人間の生き方なのだなと、私は思いました。
 それにしても、どの巻を読んでも、それぞれ違ったおもしろさ、魅力があって飽きないのは、作者様のすばらしい力量です。
 それでは、あらすじから申しましょう。
 10巻では、今川家の家督争いの結果、新九郎の姉の伊都は子供達を連れて、小川へ引っ越すことになったのですが、そこが何者かに急襲されます。賊のねらいは伊都と龍王丸の命でしたが、新九郎と家来達によって、辛くも撃退。新九郎は姉と子供達を案じて、京の伊勢貞宗邸へ連れていきます。
 京では御所が焼け落ち、伊勢邸が将軍義尚を迎え、臨時御所となります。伊都は落飾し、今風に言うところの、前髪パッツンのボブカットに(結構かわいい)。以前、新九郎の命を助けた、多米権兵衛元茂が居候しておりました。
 関東の方では、謎の鎧師、狐の情報によれば、長尾景春が古河の足利成氏と組んで、太田道灌と敵対関係になります。道灌が多忙になったため、新九郎としては、今川家の相続を解決する好機のはずですが、大御所の義政は知らぬ顔で、将軍の義尚は父と折り合いが悪い。けれども、畠山義就、大内政弘が大乱に倦んで引き下がったため、応仁・文明の大乱は、11年目にして(もやもやしながら)、ついに終結。西軍にいた伊勢貞藤は、僧形になって還ってきます。無位無官だった新九郎も、巻末で義尚の御供衆になりました。

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2023年1月15日 (日)

『挑戦者AAA(チャレンジャー トリプルエース)』(原作:梶原一騎 漫画:永島慎二 マンガショップ)の感想

 コミック『挑戦者AAA(チャレンジャー トリプルエース)』(原作:梶原一騎 漫画:永島慎二 マンガショップ)の感想を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。
 これは、少年画報(少年画報社)1967年1月号~12月号に連載されていた、少年漫画です。
 あらすじとしては、戦災孤児から不良少年になって少年院送りになった、主人公の黒羽隼人は、さらに悪の組織メフィストに拉致されて、徹底的にしごかれます。やがて、黒羽は、社会悪こそ不良少年を生み出す原因であると悟って、表向きはおとなしく従い、知能・勇気・行動に秀でたAAAの異名を取る殺し屋になります。メフィスト本部から出た黒羽は、裏で正義を守る桜機関に協力することに。メフィストも裏切り者の黒羽を許さず、凄腕の双子殺し屋キラーズ、驚異的パワーを持つ悪役黒人レスラーB・Bを向かわせるのでした。
 前半は、メフィストがいくつもの少年院から少年達を脱走、確保しようとして、黒羽が阻止する一方、黒羽を信頼しようとする少年達と、メフィスト側につこうとする少年達の様子が描かれ、ややごちゃついています。
 後半は、黒羽とメフィストの戦いが本格化していくうちに、彼にあこがれる小学四年生の永原慎一、通称ぶかぶか(別に貧しい家庭というわけでもないのに、服がだぶついている、小柄な少年です)が加わり、協力したり、誘拐されたりと、スリリングな展開になっていきます。

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2023年1月 9日 (月)

『銀魂』第1話~第83話(空知英秋・集英社)の感想

 電子書籍版のコミック『銀魂』第1話~第83話(空知英秋・集英社)の感想を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。さらに、今回は、楽天モバイル関係者と大ファンの方も、批判というわけではありませんが、シビアに表現しておりますので、避けられた方がよいかと思います。
 さて、『銀魂』ですが、こちらはYouTubeでB’zとコラボした画像を偶然に視聴してから、興味を持っておりました。いつかは読んでみたい、でも長編っぽいし、巻数をそろえるのは大変だし、機会があればいつかと、のん気に構えておりましたところ、スマホアプリのゼブラック様が第1話から第85話まで、期間限定で無料公開をされていましたので、のこのこと、読ませていただきました。PDFファイルを除けば、私にとって、初めての電子書籍ですね。
 最初、起動不良が起こるのではないかと用心して、web版で読んでいたのですが、半ばを過ぎてからゼブラックをインストールして、さくさく読めるようになりました。それまでは、うまくページもめくれなかったのに、どうしてなのでしょう?
 やはり、いまだに通信速度と範囲に問題がある、楽天モバイルのせい? わが家では、2年近く経つのに、相変わらず、つながらない箇所があるので、いちいち、つながる部屋に移動して使わなくてはいけないのが、もう面倒くさくてなりませぬ。 

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2023年1月 2日 (月)

『曲芸家族(サーカス ファミリー)全4巻』(みさき速・秋田書店)の感想

 コミックス『曲芸家族(サーカス ファミリー)全4巻』(みさき速・秋田書店)の感想を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。

 この作品、何と「第一部完結」なのです。事実上の打ち切り作品ゆえ、多くの伏線が回収しきれておりません。
 だから、あまりお勧めできないのですが、さりとて、魅力はあるので、取り上げさせていただきます。
 あらすじとしては、12歳で中学一年の少年、一堂天は、両親と三人の、ホームレスのようなテント暮らしから、マイホーム住まいになり、前途洋々の未来が待っているはずでした。が、両親は子育てが飽きたと、書置きをして失踪(実は拉致されたっぽい?)。一堂サーカスの座長に天は引き取られるのですが、そこで待っていたのは、円と輪という双子の少女、いや、天を加えて三つ子でした! 加えて、空中ブランコの皇マチコと井佐ユウジ(愛称イサ)、円と輪の番犬(ボディガードです)の重、イサに取り憑く美女幽霊ササメ、腹話術士のドクター、その人形のはずが生きている悪魔のような呪三郎など、超個性的な面々。天はサーカス芸が全然できませんでしたが、料理の腕を見込まれ、雑用係として一緒に暮らすことになります。
 他にも、3巻からのゲストキャラクター、旅館の跡取りで円と輪のパトロン、一見愛らしい美少女ですが、色欲魔人の野々宮花七も登場します。
 ストーリーのメインをなすのは、天が自分そっくりの円と輪に心惹かれてしまい、「変態じゃない」と、懸命に否定しながら、日々刻々を悶々とすごす、という感じでしょうか。それにまた、こういうお話にありがちなのですが、円と輪が見分けがつかないほど似ていて(性格は異なります)、添い寝などのスキンシップをしたり、裸やそれに近い恰好で無防備に近づいたりして、天は落ち着く暇もありませぬ。
 このように書くと、明るいギャグ漫画のようですが、結構ダークな要素を含んでいます。
 すでに、円と輪をめぐる関係からして近親相愛っぽいですし、2巻巻末では、ドクターがサーカスに来る前の、愛する者を失った壮絶な体験が描かれています。1巻巻末のマチコの物語は、人身売買に、幼児愛好者の妙なオヤジがおりますし、とても笑える要素はないのです。

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2023年1月 1日 (日)

『どすこいスピリチュアル 嫁鳴村』(漫画:小林薫 原案:TANAKA 大都社)の感想

 喪中につき、失礼いたします。
 旧年中は、ありがとうございました。
 今年もよろしくお願いいたします。

 コミック『どすこいスピリチュアル 嫁鳴村』(漫画:小林薫 原案:TANAKA 大都社)の感想を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。
 ライターのタナカ様が取材中に聞いた、昔から現在までの不思議&怖い実話を漫画化した、一話完結ものです。これでシリーズ四冊目ですが、テンションは下がらず、やはり、おもしろ恐ろしい!
 収録作品は、第28話~第36話まで、次のとおり。

 鍵のロンダリング
 夏の部屋
 異橋
 黒髪の家
 白い手
 私は本当にラッキーだ
 お嫁ちゃん
 嫁鳴村
 花街道のおじさん

 私なりにインパクトのあった作品を、順不同で取り上げてさせていただきます。


 
 

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