『どすこいスピリチュアル 嫁鳴村』(漫画:小林薫 原案:TANAKA 大都社)の感想
喪中につき、失礼いたします。
旧年中は、ありがとうございました。
今年もよろしくお願いいたします。
コミック『どすこいスピリチュアル 嫁鳴村』(漫画:小林薫 原案:TANAKA 大都社)の感想を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。
ライターのタナカ様が取材中に聞いた、昔から現在までの不思議&怖い実話を漫画化した、一話完結ものです。これでシリーズ四冊目ですが、テンションは下がらず、やはり、おもしろ恐ろしい!
収録作品は、第28話~第36話まで、次のとおり。
鍵のロンダリング
夏の部屋
異橋
黒髪の家
白い手
私は本当にラッキーだ
お嫁ちゃん
嫁鳴村
花街道のおじさん
私なりにインパクトのあった作品を、順不同で取り上げてさせていただきます。
第33話「私は本当にラッキーだ」、一時期、私も自己啓発系に、どっぷり浸っていた頃がありまして、ふと、気づいたのですよ。「これって、ダイエットと同じだ。効かないことはないけれども、成功もしにくいんだな」と悟ってから、今は身を引いておりますが。ポジティブな言葉によって、自分を追い詰める→邪気だか悪い霊的なものを引き寄せる。そういうことは、あるでしょう。怖いですね。
第32話「白い手」、偶然にふくよかな手を見た高齢女性が、満州からの悲惨な引き揚げ体験と、女性を助け続けた白い手について語ります。シリーズ中、初めての戦争体験物かな? 怖いというより、温かな愛情を感じさせてくれ、感動しました。
第30話、「異橋」、身の毛もよだつ橋へ取材しようとしますが、タクシーがパンク。その運転手さんは、どうしてもその橋へ行けない、偶然と呼ぶにはタイミングが良すぎる、不思議な運命? 能力?の持ち主でした。霊能者と正反対の位置にいる、危ない場所へ決して立ち入れない人。橋のまがまがしさよりも、この運転手さんの秘められたパワーに驚かされます。
第28話「鍵のロンダリング」、第31話「黒髪の家」、どちらも、現実主義者でお金大好きな不動産会社社長、住田さんの体験です。不動産業界って、大金が動いて場所を扱うゆえ、私の想像以上に、ドロドロしていて怖いのでしょうね。前者は、手抜きをしたために転落した人生になった、別の不動産会社社長のお話で、後者は、珍しく怖くないと思わせておいて、最後の方で、思いがけない情念が描かれます。
第35話「嫁鳴村」、ある村で行なわれていた嫁講は、婚家先でさげすまれて虐待されるのが当たり前だった昭和初期の、若き嫁達による怨恨の晴らし方法だった、というもの。嫁達の恨みつらみよりも、姑、舅らの虐待、暴行、殺人(本当に)の方が、心底、ぞっとします。パワハラ、セクハラどころじゃなく、人権を無視しているのです。「昔は良かった」という方はおりましょうが、もう二度と、こんな嫁達の苦しむ時代にしてはならないと、私は思いました。
今回も、楽しませていただき、心動かす内容でした。お勧めいたします。それでは。
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