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2023年1月 2日 (月)

『曲芸家族(サーカス ファミリー)全4巻』(みさき速・秋田書店)の感想

 コミックス『曲芸家族(サーカス ファミリー)全4巻』(みさき速・秋田書店)の感想を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。

 この作品、何と「第一部完結」なのです。事実上の打ち切り作品ゆえ、多くの伏線が回収しきれておりません。
 だから、あまりお勧めできないのですが、さりとて、魅力はあるので、取り上げさせていただきます。
 あらすじとしては、12歳で中学一年の少年、一堂天は、両親と三人の、ホームレスのようなテント暮らしから、マイホーム住まいになり、前途洋々の未来が待っているはずでした。が、両親は子育てが飽きたと、書置きをして失踪(実は拉致されたっぽい?)。一堂サーカスの座長に天は引き取られるのですが、そこで待っていたのは、円と輪という双子の少女、いや、天を加えて三つ子でした! 加えて、空中ブランコの皇マチコと井佐ユウジ(愛称イサ)、円と輪の番犬(ボディガードです)の重、イサに取り憑く美女幽霊ササメ、腹話術士のドクター、その人形のはずが生きている悪魔のような呪三郎など、超個性的な面々。天はサーカス芸が全然できませんでしたが、料理の腕を見込まれ、雑用係として一緒に暮らすことになります。
 他にも、3巻からのゲストキャラクター、旅館の跡取りで円と輪のパトロン、一見愛らしい美少女ですが、色欲魔人の野々宮花七も登場します。
 ストーリーのメインをなすのは、天が自分そっくりの円と輪に心惹かれてしまい、「変態じゃない」と、懸命に否定しながら、日々刻々を悶々とすごす、という感じでしょうか。それにまた、こういうお話にありがちなのですが、円と輪が見分けがつかないほど似ていて(性格は異なります)、添い寝などのスキンシップをしたり、裸やそれに近い恰好で無防備に近づいたりして、天は落ち着く暇もありませぬ。
 このように書くと、明るいギャグ漫画のようですが、結構ダークな要素を含んでいます。
 すでに、円と輪をめぐる関係からして近親相愛っぽいですし、2巻巻末では、ドクターがサーカスに来る前の、愛する者を失った壮絶な体験が描かれています。1巻巻末のマチコの物語は、人身売買に、幼児愛好者の妙なオヤジがおりますし、とても笑える要素はないのです。

 ゆえに、全体の読後感は、おもしろくないわけではなく、笑えなくもなかったのですが、『ルーとソロモン』を連想させました。この漫画も、かわいらしい絵柄なのですけれども、しょせん、誰もがかわいいものを好み、マウンティングしているのだと思わせ、私は挫折してしまいましたが。
 サーカスという身近な異世界で展開される、ちょっとビター風味のギャグを、作者様は目指したのでしょうか? 私にはわからないのですが、そのダークさに惹きつけられるのも確かです。手元に置いて、先行きのストーリーを予想し、私ならどうするかと想像しつつ、読み返していくつもりです。
 お気に入りの箇所は、2巻後半の、番長、喬重清のラブアタックと、3巻の、円と輪に襲いかかる美少女、花七に、阻止しようとする天のバトルです。作者様、私はファンですよ。それでは。

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