『挑戦者AAA(チャレンジャー トリプルエース)』(原作:梶原一騎 漫画:永島慎二 マンガショップ)の感想
コミック『挑戦者AAA(チャレンジャー トリプルエース)』(原作:梶原一騎 漫画:永島慎二 マンガショップ)の感想を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。
これは、少年画報(少年画報社)1967年1月号~12月号に連載されていた、少年漫画です。
あらすじとしては、戦災孤児から不良少年になって少年院送りになった、主人公の黒羽隼人は、さらに悪の組織メフィストに拉致されて、徹底的にしごかれます。やがて、黒羽は、社会悪こそ不良少年を生み出す原因であると悟って、表向きはおとなしく従い、知能・勇気・行動に秀でたAAAの異名を取る殺し屋になります。メフィスト本部から出た黒羽は、裏で正義を守る桜機関に協力することに。メフィストも裏切り者の黒羽を許さず、凄腕の双子殺し屋キラーズ、驚異的パワーを持つ悪役黒人レスラーB・Bを向かわせるのでした。
前半は、メフィストがいくつもの少年院から少年達を脱走、確保しようとして、黒羽が阻止する一方、黒羽を信頼しようとする少年達と、メフィスト側につこうとする少年達の様子が描かれ、ややごちゃついています。
後半は、黒羽とメフィストの戦いが本格化していくうちに、彼にあこがれる小学四年生の永原慎一、通称ぶかぶか(別に貧しい家庭というわけでもないのに、服がだぶついている、小柄な少年です)が加わり、協力したり、誘拐されたりと、スリリングな展開になっていきます。
最初に、いただけない点だけを挙げますと、一応完結はしているのですが、「本当の戦いは、これからだ!」エンドでして、最終決戦には至っておりません。でも、きりがいいところですし、ぶかぶかに対して、ねたみを抱かない、真の人間として生きてほしいことを、黒羽は伝えていますので、後味は悪くないです。原作者様と漫画家様の都合か、掲載誌の事情があったのでしょうか。
このように、ストーリーは悪くないのです。問題は、絵、かな? ちょっと古めかしいのは、掲載年月日からして致し方ないかも。しかし、モブキャラが、ギャグにしか見えません。少年漫画とはいえ、結構ハードボイルドなお話なのに。加えて、ピストル、流血といったものが、ショッキングでない反面、おもちゃのようで、インパクトや緊張感に欠けます。劇画ふうなら、ドキワクできる作品になったでしょうに、残念ながら、漫画家様の作風があっていないように思えました。
だから、この漫画は、読者を選ぶタイプだと思います。梶原一騎、永島慎二のどちらか、あるいは両名を注目されている方、知りたい方と、1960年代の少年漫画を楽しみたい、知りたい方にお勧めです。私は巻末に紹介されていたコミックスを、いくつか読んでみたくなりましたね。それでは。
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