『絢爛たるグランドセーヌ』15巻(Curvie・秋田書店)の感想
コミック『絢爛たるグランドセーヌ』15巻(Curvie・秋田書店)の感想を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。
前半は、奏が暁人と、パリの炎をパ・ドゥ・ドゥで踊る公演。後半は(こちらがメイン)、奏が目標だった、イギリスのロイヤル・バレエ・スクールに留学するお話で、順調にはいかないだろうと予想していたのですが、まさか、そのようなことが起きようとは! 実は、前半後半とも、驚かされました。
あらすじをご紹介しましょう。
奏は久しぶりに、さくらやプロの練習を見、そのレベルの違いにショックを受けます。パリの炎が、フランス革命の物語で、ヒロインのジャンヌになりきろうと、奏は懸命に練習を重ね、本番では暁人とともに、火花の散るような高難度のパの応酬を行ないます。失敗はなく、観客からの温かい拍手も受けましたが、奏は、「どかーんって 盛り上げられなかった」と、不満。
そして、友人や家族の優しい励ましを受けた後、奏はイギリスへと旅立ちました。早速、ニコルズ先生の出迎えを受け、寮の四人部屋に入ります。
最初に出会ったのは、YAGPでかなり辛辣だった、エヴリン・フォックス。次に、閉鎖的で目を合わせようとしないキーラ。最後に、シンガポール国籍のレベッカ。エヴリンと奏は留学で、キーラとレベッカは進級組。そのエヴリンの大切なポスターを、レベッカがあやまって破ってしまったことで、エヴリンは激怒し、二人は対立関係に。
一方、エヴリンと奏に、ロイヤル・スタイルのレッスンによる洗礼を受けます。基礎の基礎たる動きから、ヴァシリーサ・トルスタヤ先生の注意を受け、今までのやり方が通用しないことを痛感させられます。焦ったような真剣な表情になるエヴリンと対照的に、奏は「大変だぞ」と、ワクワク感がおさえられないのでした。
私が意外に思ったのは、さくらの成長ぶりです。役柄を立派にこなし、パ・ドゥ・ドゥも上手になっており、私は奏がやっとさくらと並んだと思っていたのですが、またリードされていました。さすがに、焦りを覚えた奏ですが、やる気と踊りの工夫に変えたのは、お見事といえるでしょう。
しかし、奏と暁人、パリの炎を一緒に踊ったのに、役柄みたいに恋仲にはなりませんでしたね。奏の本当の恋は、いつになるのでしょう。
そして、イギリス留学編。個性の強烈な少女達と知り合うだろうと思っていましたが、あのエヴリンとは。奏自身はエヴリンともレベッカとも、うまく話せるのですが、この二人は暴力一歩手前のケンカになりかけていました。今後が心配です。
加えて、あらすじでは省略しましたが、空港からスクールまで奏を案内した咲希、11年生の井沢七海など、日本人も登場します。彼女達は、これから、どう関わって、奏はどのように成長していくのでしょうか。
さらに、ダークホース的立ち位置のアビゲイル・ニコルズ(先生)も、私は気になります。彼女は悪意こそないのですが、自分ファーストなタイプだから、奏をあっさりと捨てる、もしくは、踏みつぶすようなことをするのではないかと、危ぶまれてなりませぬ。
今回の名セリフは、074ラストのページの奏。
ベソかいてる場合じゃない
いこう‼
美しいクラシック・バレエの世界なのに、15巻でも変わらず、パワフルな緊張感に満ちていますね。16巻が楽しみです。お勧めいたします。それでは。
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