『アダムとイヴ』(マーカス・ヴァン・ヘラー 水沢夏樹/訳 富士見ロマン文庫)の感想
『アダムとイヴ』(マーカス・ヴァン・ヘラー 水沢夏樹/訳 富士見ロマン文庫 No.24)の感想を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。
作者様、翻訳者様には、申しわけありませんけれども。
今回の『アダムとイヴ』、それから次回にアップする予定の作品は、今まで読んだ富士見ロマン文庫シリーズの中で、もっともおもしろくありませんでした。
簡単に、あらすじをご紹介しましょう。
イギリスの片田舎の美男美女カップル、アダムは画家に、イヴは女優になることを熱望していました。アダムはイヴに、積極的に性のアプローチをするのですが、イヴは拒否して逃れます。思案した挙句、イヴは貪婪に夢をかなえるため、舞台監督などの実力者に、いわゆる枕営業を行なうことを決心します。最初、うまくいかなかったのですが、徐々に巧みに自分を売りこむようになり……。
一方、アダムも自分の体で、批評家や金持ちのパトロンを味方にすることを学びます。
アダムとイヴ、二人は同じように成功への道を上り詰め、周囲には初対面のようなふりをしながら、海中で念願の合体をしたのですが、もはや以前の恋人同士にはなれませんでした。
私の一番の不満は、「枕営業ごときで、うまくいくわけないだろう」と、いうことです。
特に、イヴのような芸能関係ならば、それを実行している女性は、今も昔も、大勢いるでしょう。なのに、大半の人が一時的に売れても、忘れ去られていくばかり。実力と運と、さらにプラスアルファが必要なはず。
初めてのイヴが、いかに不慣れで都合よく扱われているか。それが、やがて、事前に契約書を作らせるなど、慎重でしたたかになっていく過程は、確かにおもしろいし、個性の異なる男性達とのエロシーンも、おもしろい部分もあります。が、私は、「そんなに、とんとん拍子にいくものか」と、感じてしまって、のめりこめませんでした。
アダムの方もしかりで、悪魔崇拝の一家と、見境なしの性行為にふける場面は、異様な迫力があります。けれども、(繰り返しなので省略)。
結局、あとがきで、ポルノグラファーである、マーカス・ヴァン・ヘラーのデビューの経緯がおもしろいって、変な感想に落ち着いてしまいました。
そのような次第で、場面やポイントで読むと、エロくていいのですが、大きなストーリー的に疑問が残って、読む人を選ぶ作品です。注意してください。それでは。
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