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2023年7月に作成された記事

2023年7月29日 (土)

『真田魂』4巻(重野なおき・白泉社)の感想

 四コマ漫画『真田魂』4巻(重野なおき・白泉社)の感想を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。

 4巻のポイントは、前半と後半で、テーマが分かれています。前半は、二十二万人兵力を有する豊臣秀吉軍VS北条軍による戦、小田原征伐。後半は、秀吉逝去後の徳川家康VS石田三成の二者対立のはずが、全国指折りの大名を巻きこむ総力戦、関ヶ原の戦いへのつながりについてです。
 前半は、ギャグを踏まえた大規模な、しかし皆がそろっていた戦いが、後半、仲がよかった真田家が、ついに真っ二つに別れる、なかなかインパクトのあるお話です。
 あらすじとしては、圧倒的勢力によって、上杉軍、武田軍をも退けた、北条軍が、どんどん切り崩され、包囲されていきます。人質ではなく、念願の初陣となって、ノリノリの信繁に、冷静そうでいて戦る気満々の信幸、着実に任務をこなす昌幸。対する北条軍は、なおも評定を続けており、伊達政宗との共闘を模索するなど、時間を取られているうちに……呆気ない結末を迎えます。
 そして、秀吉逝去後、慶長の役から解き放たれて戻った、加藤清正ら七人が、石田三成に反旗をひるがえそうとします。これを、徳川家康が和解させますが、光成と大谷吉継が決起して、家康討伐に進もうとします。そこへ豊臣三奉行も同様の書状を全国へ配ったため、全国の有力大名が、徳川派、豊臣派となって挙兵します。
 真田家もこの流れに巻きこまれ、昌幸と信繁は豊臣派、信幸は徳川派に分かれてしまいました。信繁と信幸は、兄弟でありながら、刀に手をかけるほど殺気立つのですが、昌幸が、「どちらかの真田は生き残れる!! これより我らは 別々の道へ進むぞ!!」(P108)、言って制止したのでした。
 いわゆる、「犬伏の別れ」にて、昌幸と信繁は上田城へ、信幸は徳川軍に合流するため、彼らは敵同士となってしまうのでした。



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2023年7月24日 (月)

『奢灞都館刊行 全書籍目録 コンプリート・コレクション』(エディション・イレーヌ)の感想

 書籍『奢灞都館刊行 全書籍目録 コンプリート・コレクション』(エディション・イレーヌ)の感想を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。

 いつもと異なるスタイルで、感想を記します。
 まず、「奢灞都(サバト)館」とは何かというと、フランス文学研究者で翻訳家の生田耕作氏が中心となって、最初は私家本のように発行され、装幀や挿絵等に強くこだわり抜いた、実に美しい本を発行するようになった出版社のことです。
 この本によれば、1972年死者(バタイユ)から始まって、2003年7月ベル・フィーユ アルフォンス・イノウエ銅版画集にて終了されているそうです。
 私が初めて手にした奢灞都館の本は、マンディアルグの『満潮』でした。失礼ながら、古本なのに高額だったため、買うのをあきらめ(今では、ものすごく後悔しています)、別の機会に入手できた、バタイユ『マダム・エドワルダ』だけを持っています。
 これまた、ハンス・ベルメールの挿絵が、グロテスクにエロく、シンプルな短編小説なのに、爆発的なパワーを感じられました。
 そのため、私はずっと、奢灞都館と生田耕作氏の名前を覚えていて、よさそうな小説やエッセイ集などがあれば、今度こそは購入してみたいものだと思っていたところ、この本に出会えたわけです。






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2023年7月16日 (日)

『どすこいスピリチュアル 言霊ホタル』(漫画:小林薫 原案:TANAKA)の感想

 コミック『どすこいスピリチュアル 言霊ホタル』(漫画:小林薫 原案:TANAKA)の感想を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。
 表紙が夏らしくてロマンチックな感じですが、今回の内容は、またまた、重い! おどろおどろしい描写は特にないのに、重くてシリアスで、ある方々にとっては身につまされる内容だと、思います。
 そりゃあ、取材されるのがお仕事とはいえ、よくこういうネタを集めておられるなあ、また、それを的確に漫画として表現されているなあと、感じないではおられませぬ。精神的脱帽!
 収録作品は、次のとおり。

 第37話 夏のともだち
 第38話 はなれ
 第39話 洋子さんが怖い
 第40話 言霊ホタル
 第41話 あなたが世界で一番かわいい
 第42話 ほこらの家
 第43話 アリガトウ
 第44話 しまい
 第45話 不思議な少年

 それでは、私的に印象に残った作品の感想を述べます。

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『信長の忍び』20巻(重野なおき・白泉社)の感想

 四コマ漫画『信長の忍び』20巻(重野なおき・白泉社)の感想を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。

 第二次天正伊賀の乱、開始! なのですが、今回は織田軍の攻撃というよりも、千鳥が「信長の忍び」として、彼の命をねらう、伊賀のトップエリート「忍術上手十一人」と戦う、というものです。
 千鳥はもっと、師匠や元の仲間を攻撃することをためらったり、悩んだりするのではないかと、私は予想しておりましたが、ぶれませんね。まあ、感傷に流されず、まよわない人物の方が好きですよ。
 
 あらすじは、上記でほぼ言い切ってしまいましたが、念のため、述べます。
 天正9年、信長は、徳川軍VS武田軍の高天神城攻防戦について、武田軍の降伏を受け入れないよう、指示を出します。これによって、高天神城は壊滅し、武田勝頼が見殺しにしたかのような形になってしまうのでした。
 また、信長は、宣教師達の持ちこんだもののうち、大柄の黒人従者をスカウトして、弥助と名付けます。京にて、正親町天皇まで見物した、大々的な軍事パレード、馬揃えも行なって、お祭りムードでしたが、そのような最中で、伊賀の忍びが信長をねらって侵入してきます。
 楯岡道順、上野ノ左のうち、後者は何と堀秀政に変装してきましたが、助蔵が撃退します。大炊孫大夫は家臣の謀反の流言を飛ばし、信長の周囲は騒然。千鳥は責任を感じて、織田軍と別個に、助蔵とともに伊賀の忍術上手と戦おうと、決心します。
 伊賀では、大炊孫大夫、下柘植ノ木猿・小猿、新藤小太郎、甲山太郎四郎・太郎左衛門と戦ううちに、千鳥と助蔵はペアを組んでいるはずが、バラバラに。千鳥は、小南、弥左衛門の二人と遭遇。一方、助蔵は山田八右衛門との戦いに辛勝するものの、半死半生? 大ピンチのまま、続きます。
 





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2023年7月 9日 (日)

『稲葉浩志作品集 シアン』(KADOKAWA)の感想

 書籍『稲葉浩志作品集 シアン』(KADOKAWA)の感想を申します。ネタバレが含まれている上に、私はB'zファンのくせに購入するアルバムを選ぶような、いけない&無知なタイプですので、内容にも間違いがあるかもしれません。もし見つかったら、コメントにてご指摘をお願いいたします。ただし、誹謗中傷はご遠慮ください。

 私の手元にあるのは、普及版の方です。予約限定の方ではありません。きっと、そちらの方が、内容的に充実していると、予想しています。だから、私の感想は、「稲葉さん、かっこいい!」と、称賛する、一ファンによるになりますけれども。
 一言で申し上げますと、買ってよかった! 満足しております。今後、LIVE-GYMに参戦するのが、楽しみでなりませぬ。
 本の中味は、「SINGLE&SOLO SELECTION」のサブタイトル? のとおり、B'zシングルと稲葉さんソロアルバムの作詞集です。
 構造としては、次のとおり。

 〇14ページまで現代の稲葉さんのフルカラー写真
 〇シアンの説明
 〇作詞ノート写真その1 SINGLE SELECTION
 〇WORD ANALYSIS Selection 01(インタビュー)
 〇1980年代の作品と写真
 〇1990年代の作品と写真
 〇2000~2009年代の作品と写真
 〇WORD ANALYSIS Selection 02(インタビュー)
   〇2010~2019年代の作品と写真
   〇作詞ノート写真その2 SOLO SELECTION
 〇2020年代の作品、「BANTAM」の直筆コピーと写真
 〇稲葉さんプロフィールと奥付
 



 



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2023年7月 8日 (土)

『雑兵めし物語』2巻(重野なおき・竹書房)の感想

 四コマ漫画『雑兵めし物語』2巻(重野なおき・竹書房)の感想を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。

 日常系+グルメ+ラブコメの要素を、戦国時代という生死と隣り合わせのシビアな状況で包みこんだ、ほのぼの四コマといった感じのこの作品ですが’(長い説明で、すみませぬ)、2巻でも少しずつ、いろいろな面で進展が見られます。
 あらすじを挙げますと、時代は天文17年秋から天分18年春(1548~1549年)、作兵衛とつるの仲は、甘々ではありませんが、家族っぽく、時としてラブコメ的な流れにもなってきました。つるの食い意地は相変わらずですが(笑)、意識しているのか、同居人のことを質問したところ、作兵衛は兄貴代わりの伝蔵のエピソードを語ります。武家奉公に出世したのに、伝蔵は雑兵時の悪癖ゆえか、あえない最期を遂げて、この家は作兵衛のものとなったそうです。一方、弟分の豆蔵も仕官を目指しますが、あっさり不採用でした。
 年を越え春になって、作兵衛は、万屋の店主、さよりから、越後へ行って塩を買うように頼まれ、豆蔵やつるをともなって向かいます。珍しい食材や初めての醤油に驚かされ、長尾景虎(後の上杉謙信)に助けられなどする、充実したものでした。
 しかし、塩不足をまぬがれたかと、安心できるどころか、大地震、天候不良と、緊迫した出来事ばかりが続きます。飢餓の危機が高まった頃、武田軍との戦開始という、起死回生の知らせが来て、伝兵衛は奮い立つのでした。

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2023年7月 1日 (土)

『殺っちゃえ‼ 宇喜多さん』1巻(重野なおき・リイド社)の感想・追記

 四コマ漫画『殺っちゃえ‼ 宇喜多さん』1巻(重野なおき・リイド社)の感想の追記です。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。
 先の感想で、私は主人公と浦上宗景のことばかり書いてしまいましたが、他にも印象的な人物がいます。
 まず、直家の、名前がわからない実母。興家に代わって、宇喜多家の大黒柱となり、側室やその子供をも受け入れ、息子の出世のために浦上家で働くタフな女性です。惜しいことに、浦上宗景が登場すると、交代するかように、その後が描かれなくなりました。
 

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