『どすこいスピリチュアル 言霊ホタル』(漫画:小林薫 原案:TANAKA)の感想
コミック『どすこいスピリチュアル 言霊ホタル』(漫画:小林薫 原案:TANAKA)の感想を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。
表紙が夏らしくてロマンチックな感じですが、今回の内容は、またまた、重い! おどろおどろしい描写は特にないのに、重くてシリアスで、ある方々にとっては身につまされる内容だと、思います。
そりゃあ、取材されるのがお仕事とはいえ、よくこういうネタを集めておられるなあ、また、それを的確に漫画として表現されているなあと、感じないではおられませぬ。精神的脱帽!
収録作品は、次のとおり。
第37話 夏のともだち
第38話 はなれ
第39話 洋子さんが怖い
第40話 言霊ホタル
第41話 あなたが世界で一番かわいい
第42話 ほこらの家
第43話 アリガトウ
第44話 しまい
第45話 不思議な少年
それでは、私的に印象に残った作品の感想を述べます。
「不思議な少年」、たぶん、この少年(今では青年かな?)は、悪い人ではないでしょう。証言者のタクシー運転手さんの言うとおり、偶然だと、思いたい。しかし、ここまで偶然が重なるのも不可解。ある種の、予知能力者? 私もやはり、彼がどこにいるのか、気になります。
「夏のともだち」、偶然にも、前日に古い記録を読んでいたので、私は珍しく、オチがわかりました。むごいです。けれども、甘い物を味わったタケちゃんの笑顔が、結果的に証言者様と今の子供達を幸せにしているという、いいお話です。
「ほこらの家」、えげつない自称霊能者のお話です。人を不安にさせて、金もうけをするわけですが、逆にそういう連中をわなにかけようとする、オーベルジュのオーナー婦人。いや、すごい方がおられるものです。ちょっと、すっきりしました。
「洋子さんが怖い」、誰からも好かれる高齢女性の裏の素顔、暗黒面に関するお話。いじめられ経験者の私としては、「そういえば、こういう人、いたかも!」と、ぞっとしました。昭和だったら、あり得たのかな? 今なら、犯罪ですね。恐ろしい。
「言霊ホタル」、表題作です。初めは仲良しだった妊婦さん達が、妊活がうまくいかなかったために、互いに憎み合い、罵倒し合う。その過程も怖いのですけれども、憎悪の言葉を言う度に、その人達の本来持っていたはずの幸せが……。心の中で思っているのと、言葉にするのとでは大違い、人を傷つけるものは、自分に返ってくるというわけです。私も口が悪いから、気をつけなくては。
「あなたが世界で一番かわいい」、ペットばかりを溺愛して、娘に冷たいお母さん。実は、それがお母さんなりの守りかつ戦いであり、愛情だったのですが……。泣けるお話ですが、キーアニマル? たるオウムちゃんが、かわいい。私も鳥が飼いたいです(おいおい←自主ツッコミ)。
「しまい」、介護していた父親が亡くなって、墓じまい=永代供養をしようとする妹に、わがままな姉が介入してきます。墓じまい自体は、悪くないなと、他人事っぽく読んでいたら、最後のページで、TANAKAさん同様、冷水を浴びせられた気分になりました。このお話が、もっとも怖い! どうか、証言者様の予想がはずれてくれますように。
他にも、「はなれ」では、準レギュラー化しているスムスム不動産社長が、ミステリアスな家相のお話を、リアルであこぎな、もうけ話にしてくれて、ギャグっぽいラストなのが、おもしろかったです。要するに、どのお話も、なかなか魅力的ということです。お勧めいたします。それでは。
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