『奢灞都館刊行 全書籍目録 コンプリート・コレクション』(エディション・イレーヌ)の感想
書籍『奢灞都館刊行 全書籍目録 コンプリート・コレクション』(エディション・イレーヌ)の感想を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。
いつもと異なるスタイルで、感想を記します。
まず、「奢灞都(サバト)館」とは何かというと、フランス文学研究者で翻訳家の生田耕作氏が中心となって、最初は私家本のように発行され、装幀や挿絵等に強くこだわり抜いた、実に美しい本を発行するようになった出版社のことです。
この本によれば、1972年死者(バタイユ)から始まって、2003年7月ベル・フィーユ アルフォンス・イノウエ銅版画集にて終了されているそうです。
私が初めて手にした奢灞都館の本は、マンディアルグの『満潮』でした。失礼ながら、古本なのに高額だったため、買うのをあきらめ(今では、ものすごく後悔しています)、別の機会に入手できた、バタイユ『マダム・エドワルダ』だけを持っています。
これまた、ハンス・ベルメールの挿絵が、グロテスクにエロく、シンプルな短編小説なのに、爆発的なパワーを感じられました。
そのため、私はずっと、奢灞都館と生田耕作氏の名前を覚えていて、よさそうな小説やエッセイ集などがあれば、今度こそは購入してみたいものだと思っていたところ、この本に出会えたわけです。
正直言って、私のコレクションの資料になってくれればいい程度の、軽い気持ちで、午睡書架様にて入手させていただきました。
これまた、購入してよかったです!
装幀がきれいな本ばかりと、前知識で知っていましたが、写真で見ると、その美麗さが、くっきりはっきり、わかりますから。
加えて、巻末の生田かをるさんのインタビュー記事で、生田耕作氏の人となり、好きな食べ物、美学などを知ることができました。
美意識の強く誇り高い、京都の方というイメージです。
かをるさんのお話によれば、生田氏は服装に無頓着だったそうですが、ふだんが和服であるあたり、私は日本のダンディズムの代表だと、思いました。
惜しむらくは、生田耕作氏も、かをるさんも、すでに逝去されていることです。
ご冥福をお祈り申し上げます。
同時に、日本で他に見られないような、繊細優美な書籍類を世に送り出していただき、ありがとうございました。
奢灞都館ファンの方はもちろん、美しい本と装幀に興味がおありの方にお勧めいたします。それでは。
ご協力お願いします。
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