『戸川純エッセー集 ピーポー&メ-』(ele-king books (株)Pヴァイン)の感想
書籍『戸川純エッセー集 ピーポー&メ-』(ele-king books (株)Pヴァイン)の感想を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。
私は自分でも満足できるような感想文をかけておりませんが、今回は今までにまして、ごく単純なことしか記せませぬ。申しわけありません。
それというのも、私自身、芸能界に極めてうといのと、ミュージック関係はさらに無知であるからです。
この本は、『戸川純エッセー集』と銘打たれておられますが、作者様に縁の深く、強いインパクトを与えた人々を紹介した内容です。
あとがきによれば、「連載がエレキングで始まった当初、人選に割と細かいコンセプトを立てた。基本ミュージシャンであり、パンクな人で、わたしと会ったことがあり、エピソードもあり、なんといっても直接的でも間接的でもわたしをゲラゲラ笑わせてくれた人、わたしの好きな人。そして良い意味でわたしの価値観を壊してくれたか、もともとのわたしの価値観を再確認させてくれた人。そして、今尚、現役で活動している人。」という人選だったそうですが、連載が進むにつれて、変更点が増え、蜷川幸雄さん、遠藤賢司さんが亡くなり、ショックも受けたそうです。
さらに、岡本太郎生誕百年記念オファーされたり、特別収録されたりしたものもあって、作者様には不本意だったかもしれませんが、読者の私にとっては、極端から極端へ移る、いいカオス具合の内容でした。
収録された人物を、掲載順に挙げましょう。
遠藤ミチロウ/町田康(町田町蔵)/三上寛/ロリータ順子/久世光彦
追悼
蜷川幸雄/遠藤賢司
ライナーノーツ他
Phew(Aunt Sally)/岡本太郎
特別収録
杉浦茂
全体的に、おもしろかったです。ゲラゲラ笑う愉快さではなく、「ふーん、おもしろい人だな」「愉快な語り口だな」「いや、作者様、それは犯罪にあったのでは?」と、様々に突っ込みを入れておりました。
本当に、載っていた方々を、私がろくに知らないことが、非常に惜しまれます。
その中でも、ロリータ順子とPhewが、私的にとてもそそられてしまいました。
機会があれば、Phewの曲を聞いてみたいです。私の世界観も、変わるかもしれないと、期待しておりますので。
不思議ちゃんと思いきや、純粋で、何も考えていないような(実は違いました)、ロリータ順子の章は、割と多くのページを使って描かれています。作者様はだまされて、ひどい目にあうのではないかと、私は危ぶんでおりましたが、危機におちっていたのは、ロリータ順子の方であり、彼女は純粋というより、浮世離れしていたから、自身を傷つけてしまったのでしょうか。
一度、ゆっくり、ロリータ順子のことについて、記録や記事を読んでみたくなりました。
そのようなわけで、今までに読んだ戸川純の書いた本にしては、重々しさと暗さを感じ入る反面、思いがけない楽しさ? 不思議さも、わかってしまう内容でした。暗さ深刻さが苦手な方は、注意された方がいいかと思いますが、作者様の世界観に魅了される方には、とてもお勧めいたします。それでは。
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