『戦争は女の顔をしていない』(スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ 三浦みどり/訳 岩波現代文庫)の感想・その4
書籍『戦争は女の顔をしていない』(スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ 三浦みどり/訳 岩波現代文庫)の感想・その4を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。
6)女の敵は女-罵声
クラヴヂア・S(狙撃兵)P367によれば、勝利して祖国へ帰ってきたところ、女たちから、「戦地のあばずれ、戦争の雌犬め……」と、さんざん侮辱を受けたそうです。普通に結婚し母親となっても、罪悪感(PTSDでしょうか?)がつきまといます。夫は出ていく時、「まともな女なら、戦争なんか行かないさ。(中略)だからまともな赤ん坊を生めないんだ」と、非難したということです。
7)女の敵は女-母親さえも
クラヴチヤ・グリゴリエヴナ・クローヒナ(上級軍曹)はP52で、戦線から戻れたものの、二十一歳にして白髪、脳挫傷があって片耳がよく聞こえません。そんな彼女に、母は、「もし負傷するくらいなら殺してしまってください、女の子が不具にならないように」と、真剣に祈っていたと、打ち明けます。彼女の放心した表情が、目に浮かびます。
他にも印象的なこと、衝撃的な出来事はあったと思うのですが、私は探しきれませんでした。すみません。
しかしながら、これらのエピソード以外にも、息をのみ、胸が熱くなるような証言が、数えきれないほどに存在しているからです。
この作品は、私のお気に入り本として、仕事部屋に置いて、時々読むようにしておりますので、また何か取り上げたいことが見つかりましたら、「追記」という形でアップさせていただきます。
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