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2023年11月 3日 (金)

『悪の華道を行きましょう』(真冬日・イラスト:やましろ梅太 一迅社)の感想

 書籍『悪の華道を行きましょう』(真冬日・イラスト:やましろ梅太 一迅社)の感想を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。

 同タイトル漫画の原作小説です。最近よく見かける、「異世界転生」&「ヒロインが悪役令嬢」ものなのですが、多数派と異なる設定、描き方、お話の構成などで、私は読者としてはもちろん、文章作成側としても、非常におもしろく、あっという間に読めました。
 ただし、表4の説明にあるとおり、こちらは「爽快スッキリラブコメディ」です。スパダリっぽい男性も登場しますが、宰相のキャラクターが強烈ですので、従来どおりのお話を期待される方は驚かれるかと、思います。
 あらすじを簡単に記しましょう。ヒロインはセレスティーヌといい、王太子の元婚約者だったのですが、彼と恋仲になった男爵令嬢にいやがらせをしたために捨てられ、見苦しい外見の宰相と結婚させられます。その式の最中に、セレスティーヌは、ここが学園乙女ゲームの世界で、自分は悪役令嬢であることに気づきます。ここまでは、よくあるパターン。ところが、彼女は、実は、ハゲデブ宰相の容姿が大好きなのでした。宰相もまた、妻をもてあそぶつもりが、セレスティーヌに恋してしまい、絶世の美女とメタボオヤジという、信じられない夫婦が誕生します。
 収録されているのは、次のとおり。

 第一幕 悪の華道を行きましょう
 第二幕 悪の華道を追いましょう
 第三幕 悪の華道を待ちましょう
 第四幕 悪の華道を描きましょう
 第五幕 悪の華道を潰しましょう
 第六幕 百合の華道を進みましょう
 第七幕 悪の華道を燃やしましょう
 第八幕 悪の華道を見守りましょう
 第九幕 悪の華道を贈りましょう
 第十幕 悪の華道を討ちましょう

 第六幕を除いて、よく似たサブタイトル名ですが、緩く続きながらも、ほぼ一話完結です。さらに、宰相は自身の絶大な権力と悪知恵プラス金力によって、敵対する者達を排除や捕縛をしていきます。その協力者が、セレスティーヌというわけで、彼女は、「仕事をこなす旦那様は凛々しくて素敵よ」(第五幕)と、うっとりしています。
 

 当然、セレスティーヌとおとしいれた王太子と男爵令嬢は、宰相によって、まとめて他国へ行くことになりました。さて、この宰相とセレスティーヌですが、第二幕から登場し、レギュラーキャラクター化する、義息子のマルクがイケメン騎士です。それゆえ、セレスティーヌとマルクが、禁断の恋愛関係にあると、世間はうわさします。
 隣国のジェイス王子(第三幕)、宰相の元妻の夫である画家(第四幕)といった男性達も、セレスティーヌの純粋な少女のような、また聖母のような美貌と魅力に大いに惹きつけられますけれども、彼女は宰相一筋。宰相を思っての言動に、皆がふり回されてしまうのが、とてもおもしろいです。
 私が特にいいなと思っているのが、第九幕です。五十代のソリィエの女王は、何とセレスティーヌに目をつけ、加虐のわなにはめようとします。そればかりか、彼女の元婚約者の元王太子、恋のライバルである男爵令嬢が再登場。元王太子は復縁を望み、男爵令嬢はセレスティーヌをおとしめてやろうと、たくらみます。妻のピンチに、宰相が行なったのは……。お見事! でした。
 おっと、私は、「いただけない点」を述べていませんね。それくらい、このラブコメディは、胸がすく内容でした。このバカップルは大好きですが、他の私のお気に入りは、第五幕でセレスティーヌを罵倒する、黒髪の美少年、イーサン。それから、第三幕から登場する、宰相を激しく拒絶するベイビー(もちろん、宰相とセレスティーヌの子供)、リュカです。機会があれば、漫画版も読んでみたいですね。お勧めいたします。それでは。

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