『マップス』2巻(長谷川裕一・メディアファクトリー)の感想
コミック『マップス』2巻(長谷川裕一・メディアファクトリー)の感想を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。
1巻以上に、仰天! 驚愕! 動転! の連続でした。2巻の新キャラ達は、全員、リプミラを圧倒する存在感です。
2巻に収録されているのは、次のとおり。
プロローグ
生贄砲計画編
ACT.9 プロジェクト生贄(サクリファイス)
ACT.10 前兆・来たる
ACT.11 パドズマの火
六人の幽霊船編
ACT.12 銀河障壁
ACT.13 天使の末裔
ACT.14 接触(コンタクト)・∞
ACT.15 伝説の終焉
ACT.16 カミオの受難
ACT.17 幽霊船の宴
ACT.18 空気 風になる!
では、あらすじを説明いたしましょう。
「プロローグ」は、メインキャラクターの紹介です。
「生贄砲計画編」では、ガッハ・カラカラは、生物の断末魔をエネルギーに変えて破壊するという、とんでもない武器を完成させました。それが、生贄砲。ガッハは手始めに、惑星パドズマで生贄砲を発射して、リプミラ号を撃破。星見とエイブはガッハの元へ捕らわれてしまい、リプミラは船と同調しているため、ひどく負傷してザッハの追手から逃げきれず、突然に現れた武装した謎の人物によって拉致されてしまいます。
謎の人物の正体は、惑星ドドーの破壊騎兵、ザザーン・クロマミスと名乗る、肌の浅黒い美女! 彼女は、星見達の救出に協力してくれる道すがら、ガッハがパドズマに多数の動物を集めた理由と目的について、リプミラに語ります。伝承族の念動力を越えるには、生物の断末魔の叫びをエネルギーに変える生贄砲であれば可能。つまり、動物達は生贄砲として殺されるだけの弾丸(たま)であり、パドズマ自体が弾倉なのでした。
そうこうするうちに、ゲンが星見とエイブを助けられたものの、ガタリオン他の伝承族が出現します。ガタリオンは、“評議会”の決定によると言って、リプミラと戦闘を開始。そこへ、星見とエイブがテレポート、リプミラ号の反撃で、ガタリオンは逃げます。
ゲンもまた、ガッハと肉弾戦になりますが、ガッハは、「銀河のすべては伝承族のものであり、それを取り戻すために生贄砲を使う」と、言います。やがて、ゲンは星図から放たれた宇宙? のような光景を見、ガッハは、「きさまも地図たち(マップス)か」と、驚きます。聞く耳を持たず、社員をも弾丸にしようとするガッハに憤激し、ゲンは発射寸前で生贄砲を止めます。
「六人の幽霊船」編では、ゲン達が惑星ドドーで英雄として歓待されます。そこで、ゲンは、伝承族によってつくられた銀河障壁によって、銀河系から絶対に出られなくなっていること、障壁を越えられるのは、五百年に一度移動して来る、惑星リングロドのみ。それから、二万年前に“さまよえる星人”が、越えてきたらしいと、知ります。ゲンは仲間が精神攻撃を受けるのを避けるため、単独でリングロドへ向かおうとしますけれども、船内には、かわいい少女がいて、船の頭脳体だと説明します。
また、リプミラはゲンの行動を読んで追いかける途中、髪の色以外は自分とそっくりな美女と遭遇し、天使型宇宙船とともに戦うことに。彼女はリプダイン(通称ダイン)と名乗り、「惑星リングロドを守る五人の幽霊船/おまえの影のその一人」と、告げるのでした。一時あって、戦い慣れしているリプミラが逆にダインを追い詰めた瞬間、リプラドウ(通称ラドウ)が出現、ダインを救って去ります。
そうして、ゲンは銀河障壁が存在しないと、察知したのですが、乗っていた宇宙船の少女も正体を明かし、リプリム(通称リム)で、監視をしていたと言います。同時に、リプミラ号と似て非なる天使型宇宙船が三体も接近! それぞれの頭脳体は、リプシアン(通称シアン)、リプレイン(通称レイン)、それにラドウでした。彼女達に攻撃され、ゲンの宇宙船はリムもろとも、リングロドへ落ちてしまいます。
リングロドは、伝承族とは別個の、意志を持つ存在でした。ぜひ話を聞いて銀河に伝えてほしいと、うったえかけ、ゲンは承知します。80憶年もの膨大な記憶から、伝承族の真の目的を悟るのでした。それは、銀河そのものを生贄砲にして、死滅させること!
ようやく、ザザーンの協力も得て、リングロドへ飛行してきたリプミラは、好戦的なシアン、ガタリオンも加わったラドウに苦戦します。どうにか、ゲンと再会し、伝承族の恐るべき目的を知らされます。が、その直後、ゲンはラドウに左胸をつらぬかれて絶命します。
茫然自失のまま、リプミラは、ザザーンによって惑星ドドーへ連行されますけれども、ケイ素生物のカミオ星人が、援軍を求めて来たのに遭遇します。彼は、人の姿をした五隻の幽霊船に襲撃されていると言い、即座に、リプミラは、それらがラドウ達であることを察して、リプミラ号を始動させ、カミオ星へ向かいます。
案の定、そこでは、ガッハ・カラカラが、ダイン、シアン、ラドウに大苦戦中。ガッハは、他の星人達がカミオ星人を嫌うよう、伝承族が手回ししていたことに対する報復だと告げます。そこへ、リプミラが突入するものの、シアンは、おまえがリムを殺したと言い、襲ってきます。リプミラとガッハ対シアン、ダイン、ラドウの戦いに、ザザーン、エイブがリプミラ側に加わって、一時的に拮抗状態になりますが、エイブ敗退、リプミラは、ラドウにあやつられたレインの攻撃を受け、身動きできなくなります。ラドウは甘い言葉で、仲間になるよう、誘いかけた瞬間、彼女達に近づく二つの人影が。
一人はリム。もう一人は、何と、死んだはずの……!
いやぁ、おもしろすぎて、あらすじを書くだけでも大変でした。ストーリー紹介上、カットしましたが、重要そうな情報をあげますね。
まず、ツキメの正体が判明しました。惑星ジャンバの王位継承者で、「ミンにょろ にゃぐかーみゃこす」という名前だそうです。誘拐されていたらしいですが、文明の進んだ世界の出身者だったのは意外でした。
どうやら、重要キャラクターになりそうな、惑星ドドーの美女ザザーン。初登場では、マッチョな男性かと思いきや……女性の胸好きの方ならば喜びそうな、場面でした。ドドーは極度に男性が少ないのですが、ザザーンは軍人でありながら、男に興味はなく、何千人かの美少女ばかりがいる愛人部隊によって、何とリプミラを苦しめたシアンを、笑い死にさせてしまいます。
さらに、惑星リングロドがゲンに伝えた情報は、宇宙にヒューマノイドタイプが多い理由、また、ヒューマノイドの星々に、翼をもつ者の伝説があるわけなど、伝承族達の深い関わりは、これぞSFの醍醐味! と、叫びたくなります。
恐らく、リプミラと伝承族の戦いは、避けられないことになったようですが、最強と思われた彼女に五人もの同タイプの、ビメイダー姉妹がいるとは! 加えて、ラドウの美悪女っぷりは、必見です。正直、リプミラに勝てる気がしないのですけれど……。
口が悪くて屈折しているダイン、王道美少女っぽい愛らしさ爆発のリムもいいのですが、私的には、生真面目に堂々と戦う、シアンが一番のお気に入りです。レインのみならず、シアンもラドウにあやつられているようですが、死なないでほしい。
他にも、リプミラに姉妹の記憶がないのに、ラドウ達はよく覚えていて、特に、ラドウとダインはリプミラを憎んでいる理由。ガタリオンが伝承族から処罰を受けていた時の反抗的なつぶやきからして、伝承族の敵になるつもりなのでしょうか?
最後に、ゲン死亡以降のリプミラは、とても魅力的です。涙にくれ、ドドーでは呆然とし、やがて決意を秘めて、自分で髪を切って戦いの準備を始め、最終的には、また涙。宇宙海賊、ビメイダーでなく、悲しみ、喜びに震える、心を持つ人間に変わってきたのでしょうか。壮大な物語ですが、リプミラは笑顔でいてほしいと、私は思ってしまいましたね。お勧めいたします。それでは。
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