『新九郎、奔る!』15巻(ゆうきまさみ・小学館)の感想
コミック『新九郎、奔る!』15巻(ゆうきまさみ・小学館)の感想を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。
帯カバーによりますと、「新九郎三十一歳、てんてこ舞いの文明十九年!」ということです。
簡単に、あらすじを説明いたしますと、伊都の息子、新九郎の甥にあたる龍王丸が、領地である駿河へ戻れるよう、準備を始めるのですが、姪の亀が正親町三条実望と結婚するにあたっての手配もしなればなりません。さらに、新九郎の妻、ぬいも体調不良? と思いきや、おめでたで、無事に男の子を出産しました。
けれども、龍王丸は十五歳ながらも虫に夢中で、家臣への態度も落ち着きなし。龍王丸と対立関係にある、今川新五郎範満を推す家臣達と、範満の養子で跡継ぎの徳寿丸(十四歳)は、「龍王殿はうつけ」と、騒ぎだします。龍王丸と一緒に、駿河へおもむいた新九郎も、危うく殺されかけそうになる始末。
一方、細川政元からの書状を持って、堀越公方の足利政知の元へ参った新九郎でしたが、彼から現将軍の義尚に後継者がいないことを指摘され、その候補として、自分の子が入ることを知らされてしまい、新九郎は、今後の将軍家の跡目争いに巻き込まれそうな、いやな予感がします。
また、温厚であったはずの範満も、何やらたちの悪い病気にかかった様子。加えて、徳寿丸改め孫五郎が、かしこくて武技にもすぐれているため、大いに心が乱され、自分達に有利に働くように動きます。代官の交代も、書状にてことわってきたため、ついに、新九郎は激怒。武装して、代官を力ずくでたたき出そうとするのでした。
省略させていただきましたが、実は新九郎、政知の子、茶々丸と出会って、話もしています。茶々丸は利発で元気な少年ですけれども、1巻の冒頭によれば……むごいことになるのでしょうかね。これで、大体の伏線はつながったかと、私は思いましたが、狐と名乗る、フリーエージェントみたいな男の正体と名前が、まだ判明しておりません。今後の展開が、楽しみです。
さて、大義は新九郎が後ろ盾の龍王丸にありますが、範満はじめ、今まで駿河を治めてきた人々には、やはり、孫五郎を推すでしょうね。作者様が、しっかりと中立の立場で描いておられるため、読み手としても、納得させられます。
そうして、ついに、自分が危うい場合を除いて、争いを避けてきた新九郎が、次の巻で実力行使に乗り出す……のでしょうか?
またまた、省略しましたが、足利義尚も、大酒して生活が乱れているゆえか、将軍の地位に嫌気がさしているのか、何だか腹に一物あるような、暗い感じの表情をするようになりましたね。幼い時は、かわいらしかったのに。
そのような、登場人物それぞれの性格、心情、外見上の変化も、ばっちり描かれていて、そういうところも、この漫画の魅力の一つといえると、思います。お勧めいたします。それでは。
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