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2024年5月18日 (土)

『阿佐ヶ谷姉妹の のほほんふたり暮らし』(阿佐ヶ谷姉妹・幻冬舎文庫)の感想

『阿佐ヶ谷姉妹の のほほんふたり暮らし』(阿佐ヶ谷姉妹・幻冬舎文庫)の感想を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。

 この本を手に取ったきっかけは、私がしばしば、「阿佐ヶ谷姉妹のお姉さんに似ているね」と、言われているからです。私自身、阿佐ヶ谷姉妹を知っていますけれども、好きでも嫌いでもなく、歌も歌えませんから、「ふうん」と言う程度でした。でも、友人と家族に似ていると言われた以上、気になるし、どんな人達なのだろうと、興味を持ったわけです。よくあるタレント本だろうなと、思っていたのですが。
 ところが、予想外にもおもしろく、意外にも、泣かされそうになりましたよ。 
 
 あらすじといっても、タイトルと阿佐ヶ谷姉妹という名で、充分でしょう。阿佐ヶ谷姉妹の姉、渡辺江里子さんと、妹の木村美穂さんが、交互に日常生活を語るエッセイがメインです。巻末の、引っ越し後のお二人の対談や、書き下ろしの恋愛小説も含まれており、小さい白黒写真も、随所に掲載されている、なかなか凝った仕様の本です。
 当初、姉妹は二人暮らしをしていて、互いに相手に対して、困ったり、戸惑ったりしたことが描かれています。姉妹どちらも、相手に批判的ですが、読者としては、どっちもどっち(笑)。ネタバレ防止で自主規制しますが、本当に、お二人とも強烈に個性的です。私生活がネタそのものという感じですね。

 私、批判覚悟で白状しますと、この本、婚活や理想の男性のタイプなど、恋バナ的エッセイ箇所がなくて、地味に驚かされました。おもしろ楽しい、失敗も成功もあり、という日常は、あくまで姉妹だけの生活なのです。衣食住についても、描かれています。しかしながら、男っ気なし! だから、平穏だけれども、退屈になりそうな内容なのに、笑いながら、うなずきながら、最後まで読ませる魅力はすばらしい! 男尊女卑の人達に、この本を見せてあげたくなります。
 加えて、お二人の恋愛小説のおもしろさと来たら! もしかしたら、近い将来、お二人のうちのどちらか、あるいは、どちらも、文学賞を受賞して小説集を発行できるのではないか、と予感させられるものでした。
 木村美穂さんは、「3月のハシビロコウ」で、もしや実体験に近いお話ではないか? と、思いました。しかも、おいしそうな描写が頻出する、飯テロ要素もあり、ダイエットの方は要注意かもしれませぬ。
 渡辺江里子さんの「ふきのとうはまだ咲かない」は、温泉旅館の仲居がヒロインという、バリバリのフィクションです。ベタなシャレガ多くて、話が進んでいるのかと油断していたら、いつの間にか急展開。ラストは、ハッピーエンドなのか、それとも……という、意味深な感じもよかったです。
 エッセイの方は後半で、姉妹がふたり暮らしから、思わぬ縁で理想の物件が見つかって、江里子さんが引っ越して、互いに一人になります。けれども、長年の習慣は、どちらも変えられず、互いに不満を言い合ったり、喜んだりしながらも、別個のはずなのに、以前とよく似た暮らしが続く、という形で終わりました。
「女同士で友情は成立しない」と、ニヒルに格好をつける人達に、この本を進呈したいものです。私は、こういう友人関係が、いいなあと、思います。阿佐ヶ谷姉妹のファンの方のみならず、ふたり暮らし、一人暮らしのコツを知りたい方、エッセイ好きの方にお勧めいたします。それでは。

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