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2024年6月 7日 (金)

『オーパ!』(開高健 写真:高橋曻・集英社文庫)の感想

『オーパ!』(開高健 写真:高橋曻・集英社文庫)の感想を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。

 この本も古本市の購入したうちの一冊です。実家に保管してあったはずが、紛失したのか、誰かに貸したのか、わからなくなっておりましたので。
 つまり、元の本が見つかればダブりになるわけですけれども、それでも構わない、ぜひ読みたい! と、私が熱望するほど、ユニークで、ドキワクする、魅力的な本です。
 枕元に常備して、週末の、まったりした気分で読み返したくなりますね。

 あらすじというか、内容をご紹介いたしますと、有名な作者様が、ブラジルの大河アマゾンで、ピラーニャ、トクナレ、ピラルクー、ドラドといった個性的な魚達を釣り、旅をするという、釣り日記とも紀行文ともいえる作品です。
 魚のみならず、珍しい、もしくは、不思議な動植物まみれです。冒頭の、サンタレンまで行く船旅で、「料理は皆、大味だ」と、作者様は述べておられる割に、おいしそうな食べ物が満載で、唾が出てきます。
 もちろん、作者様の、淡々としていながら、まるで目の前のものを描出しているような文章の魅力によるところも大きいのでしょうが、この本は文庫本ながら、カラー写真が満載。リアルな動植物から、身の毛もよだつ……圧倒的大自然のスケール、罪深いけれども美しい、都会の夜景など、この本の奥行きとスケールを、何万倍にも広げていってくださっています。
 ちなみに、「オーパ!」というのは、ブラジルで、驚きや感嘆した時に発せられる言葉だそうです。
 

 しかし、この本にいただけない点があるとしたら、やはり、時代が古いということですね。昭和56年3月発行になっております。作中のブラジルは、とても生き生きして、日本など比較できない、ビッグスケールの国ですが、今では(自主規制)。それに、世界最大の淡水魚、ピラルクーを、今でも簡単に釣ることができるのでしょうか?
 釣りの場面が多いので、動物愛護精神の強い方は、お勧めできないかもしれませぬ。また、動物嫌いの方も、注意された方がいいでしょう。カメや毒ケムシの写真も含まれていますから。
 お勧めできるのは、冒頭の作者様の言葉によれば。

 何かの事情があって
 野外に出られない人、
 海外へ行けない人、
 鳥獣虫魚の話が好きな人、
 人間や議論に絶望した人、
 雨の日の釣師……
 すべて
 書斎にいるときの
 私に似た人たちのために。

 ということだそうです。
 うぅ、この文章だけでも、私は痺れてしまいます。
 特に、私が気に入っているのは、「第二章 死はわが職業」で描かれる、ピラーニャ。獰猛、貪欲なイメージが強い肉食魚ですが、驚異的早業の持ち主なのですよ。恐ろしい魚のはずなのに、結末の部分では、絶対的存在ではないと、知らされ、複雑な気分になりました。
「第八章 愉しみと日々」、旅の終わりに、食の思い出にて締めくくられます。茹でられたカニの、おいしそうなこと! 最後の最後に、若牛一頭の丸焼きを、大勢が味わうところで、終わりました。豪快!
 そういうわけで、この続きや、作者様の他の本も読んでみたいと、思いましたね。お勧めいたします。それでは。


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