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2024年6月16日 (日)

『オール・アバウト・セックス』(鹿島茂・文春文庫)の感想

『オール・アバウト・セックス』(鹿島茂・文春文庫)の感想を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。

 こちらは、エロ本? エロス本? それとも、エッチ本? という感じの、エロチックな内容の本を紹介した、ブックガイドです。週刊誌に四年近く連載されていた書評をまとめ、巻末に官能小説ガイドを付記し、久世光彦、福田和也、作者様の三人の対談、あとがきで締めくくった、結構充実した内容です。
 取り上げられている内容は、百年以上昔のものから、最近のベストセラー、海外の翻訳作品もあれば、官能小説、ノンフィクション、コミック、官能劇画と、これまた至れり尽くせり、「エッチのことなら、私に任せろ!」と、胸を張って宣言しておられるような感じですね。巻末には、書名と著者名、両方の索引が載せられていて、ブックガイドとしては、超絶親切仕様です。
 ただ、申し訳ないのですけれども、いただけない点を挙げますと。
 タイトル……ですかねえ。私は思わず、「わーい、セックスガイドブックだぁ!」と、即座に購入してしまいましたから。裏表紙の説明を読まなかった私が悪いのですが、もう一工夫、欲しかったです。
 各回のテーマについて、実は、ニッチ? グロ? というか、そういうものの扱いがなかったか、軽かったように思います。屍姦、獣姦、四肢切断もしくは欠損、異性装といったマイナー系を好まれる方は、拍子抜けされるかもしれませぬ。
 あと、超個人的に、早見純、山本夜羽音、宮西計三も、紹介していただきたかったです。榊まさる、笠間しろう、前田寿安は挙がっているのに。
 もう一つ残念ながら、ボーイズラブ作品は、皆無でしたねえ。

 それでも、やはり、膨大な著書の荒野を、人知れず、孤独に読み進んでいくような、エッチ本好きの私という主腐にとっては、まさに欲しい情報が網羅された、指南書のような、ありがたい本です。
 しかも、表表紙の折り返しにある、著者紹介によれば、作者様は19世紀フランス文学が専門の、大学教授です。この幅広い知識と読書量には、精神的土下座と同時に、心からの感謝を申し上げます。
 私が一番おもしろいと思ったのは、「エロティックなキューティーハニー」で、なぜ永井豪のマンガは、主腐の私が読んでも、ズキュンとするほどエッチなのだろうと、不思議に思っていましたが、長年の謎がようやく解けました。
 もう一つ、「全篇Hの名作」は、花村萬月の小説がガイドされていました! 日本の小説で、会話のエロさは今一歩なのですが、この小説は半端なくなまめかしかったです。
 読んでみたい作品まみれで、私は、うれしい悲鳴をあげてしまいました。お勧めいたします。それでは。
 


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