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2024年6月 4日 (火)

『図説 エロスの神々 インド・ネパールの太陽神殿とタントラ美術』(福田和彦・河出書房新社)の感想

 書籍『図説 エロスの神々 インド・ネパールの太陽神殿とタントラ美術』(福田和彦・河出書房新社)の感想を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。

 こちらの本は、奥付によれば、2000年5月に初版が発行されているそうです。「ふくろうの本」というシリーズで、説明文もわかりやすくていいですが、それ以上に写真や図解が多く、見応えがあります。また、このシリーズを見つけたら、購入してみるつもりです。

 内容としては、サブタイトルのとおりで、インドのコナーラク太陽神殿、ラージャラーニ寺院、チトカリニ寺院、カジュラーホー寺院群、モデラ太陽神殿、ネパールのタンカ美術が紹介されています。コラムには、昔のインドやネパールにて行なわれていた、性愛の様子や性技の絵が載せられています。
 間違いなく、色っぽい内容です。しかも、これらの寺院が建立された頃は、日本なら平安時代? といった感じで、インド人は、大昔から極めつけにエロっちいなと、身も蓋もない、下品な感想を言ってもいいのでしょう、が。
 作者様のお言葉によりますと。

 バラモンの経典に従えば、人間は自我を捨てるとき、肉体は消滅し、この世の一切の悩みから解脱し、歓喜にみちあふれるという。身体にまとう衣服を脱ぎ捨て、神々しいまでも美しく輝く肉体に変身する。抱擁、愛撫、性交もすべて歓喜となる。(中略)
 この神殿の舞楽殿の音楽を奏でる天女(アプサーラ)を見よ、踊り、歌う天女を見よ。彼女たちは神々の歌を、踊りの妙なる響きをわれわれに伝える。この愛の響きこそが、まさに神々の響きとなり、波動となってわれわれの心を浄化するのである。これこそが真理であり、自我を超えた真の歓喜の世界である。これを形象化し、象徴させたものが太陽神殿の彫刻群であって、これを世俗化した眼で見てはならない。

 まことに、そのとおり。反論どころか、返す言葉もないほどの正論、いいえ、聖論です。
 しかしながらと、表現世界の末席の隅っこにいる、一介の腐女子である私は、正直に申し上げたい。

「うわぁ、エロい」「大胆だな、セクシーだな」と、言葉にしたり、心の中で感じたりするのも、ごく率直な感覚であって、それこそ、神様から与えられたパッションです。下品な思いで見るな、というのは、無理というものではないでしょうか。
 それに、私は前言を撤回するようですけれども、歴史ある彫刻群は、予想外に色っぽくないのですよ。
 理由は、時代と気候による風化や変色、時にはイスラム教徒による破壊のため、よく見ないと何が現れているか、わからないからです。
 何よりも、裸体やそれに近い格好の群像が無数にあるゆえ、「すごいな」→「写真でもこれくらいなのだから、実物はもっと、スケールが大きいだろうな」と、妙に冷静になって、私は見入っておりました。
 それでも、カジュラーホー寺院の彫刻群は、特にわかりやすくて、艶麗な魅力が満ちていると、思います。
 予想外になまめかしかったのは、インディアン・ミニアチュールとネパール・ミニアチュールです。ミニアチュールは、局部まで、ばっちり描かれています。が、彫刻群の天女たちは微笑しているものもあるのに、ミニアチュールは、男女とも、驚くほど無表情! それでいながら、愛撫し、露出し、つながっていて、くわえていて、腰を痛めそうな複雑なポーズをとっていて?? これは、様式美? それとも、当時のインドやネパールの人々にとって、性愛は、真剣そのものな行為だから、なのでしょうか?
 文句っぽいことを言っているくせに、私はとても楽しませてもらいました。お勧めいたします。それでは。


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