『ベルセルク』9巻(三浦建太郎・白泉社)の感想
コミック『ベルセルク』9巻(三浦建太郎・白泉社)の感想を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。
久しぶりに読んでみたところ、9巻は、壮大なパワーがあり、伏線が敷かれておりました!
ゴッド・ハンドや人外との戦いこそ、ありませんけれども、近い将来のガッツの苦闘を語る上で、重要なエピソードばかりといえましょう。
そういうわけで、大変ですが、私が簡単にあらすじをご紹介いたします。
グリフィスとの戦いに勝ったガッツは、一人旅の途中、森で野宿をしていた時、不気味な馬に乗った、髑髏(どくろ)の騎士に出会います。彼はガッツを、一年後に蝕が起こり、狂気と死が吹き荒れるが、それを乗り越えるには、必死でもがくことだと告げて、立ち去ります(ガッツは、ほぼ意味がわかりません)。
敗北した上、ガッツを失ったグリフィスは、何と、王女シャルロットの寝室へ忍び込み、一夜をすごしてしまいます(夜這いです)。たちまち、国王に発覚して捕らわれますが、拷問にかけられながらも、グリフィスは、国王のどす黒い欲望を嘲笑したため、最下層の地下牢へ閉じ込められてしまいました。
グリフィスが罪人となってしまったので、鷹の団もまた、救国の英雄から、軍隊に追われる身となり、キャスカが事実上のリーダーとなって、皆をまとめていかざるを得ませんでした。
一年後、ガッツは鷹の団に入る以前のように、ある武闘大会に飛び入り参加し、異郷の戦士、シラット(!)と戦って、見事に勝利します。そこで、ガッツは初めて、鷹の団が盗賊扱いされて苦境に立っていることを知り、驚きます。
シラットとその一味は、野宿中の鷹の団に戦いを挑みますが、危ういところで、ガッツが助っ人に入り、撃退します。ジュドーらから、グリフィスの捕縛、幽閉を告げられ愕然とし、彼らとともに救出について考えるのでした。
しかし、キャスカは、安易にガッツの帰還を受け入れられず、二人きりになるや、剣技で挑みかかります。ガッツを本気で殺そうとするかのようにi怒りと憎しみを向け、涙さえ流しながら、自分がグリフィスの剣になれないこと、一年前に鷹の団を去ろうとしたガッツを気にかけていたことを、一心に語ります。ガッツも、キャスカの剣と情熱を受け止めるうちに、口づけを交わし、二人は森の中で、生まれたままの姿になって交わるのでした。
キャスカはもちろん、初めての行為でしたが、痛々しい彼女の様子から、ガッツは幼い自分を重ねて見てしまい、義父のガンビーノ殺しという、最大のトラウマを思い起こしてしまいます。ふだんと裏腹に、嗚咽するガッツに対して、キャスカは寄り添い、「キズのなめ合いでもいいよ」と、言います。もう一度、二人は互いを求めて……。
前半はシャルロット、後半はキャスカと、ダブル初体験編というべきでしょうか。処女ものは、私、あまり興味がないのですが、どちらもかなりエロかったです。ひたすら、控えめ&受け身なシャルロットと、男まさりの情熱タイプながら、ちょっと哀願の声をあげる、意外なキャスカの純情さが、いいですわ~。
敵ではないにしても、積極的に加勢してくれない、謎多き不可解な存在、髑髏の騎士と、妙にガッツをライバル扱いする、シラットは、9巻から現われたのですね。忘れかけていましたから、読んでよかったです。
あらすじで省略しましたが、ガッツは、自分が剣を振ることでしか、実感が持てず、答えを出せそうにないと、戻って来た鷹の団のメンバーの前で語ります。後半は、義父殺しの罪悪感におびえ、震え、涙さえ流したため、『ベルセルク』の最初の方を読んだ方は、きっと驚かれるでしょう。でも、そういう弱さもガッツの魅力だし、キャスカの前でそれを出せてこそ、二人の絆は強くなったといえるでしょう。
ま、要するに、ガッツとキャスカは男女の関係になったわけですが、これがまた、新たな悲劇と残酷の火種になってしまうわけです。愛とは一体、どういうものなのでしょうね。お勧めいたします。それでは。
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