『マップス』8巻(長谷川裕一・メディアファクトリー)の感想
コミック『マップス』8巻(長谷川裕一・メディアファクトリー)の感想を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。
今回の見どころは、リプミラ達5人VSニードル・コレクションの決着! そして、舞台を地球に移し、ずっと私達ファンが見たくてたまらなかったガタリオンVSダードの最強対決! さらに、ラドウの究極(最終?)形態が出現します。地球は、ダードは、リプミラは、ゲンは、皆、一体どうなるの! と、絶叫したくなるエピソード満載です。
収録されているお話は、次のとおり。
第八の軍団編
ACt.72 幽霊船VS“針(ニードル)”
ACT.73 十の翼 千の翼
ー幕間ー
ACT.74 そして千と一の……
ACT.75 静かー
決戦編
ACT.76 帰ってきた“地図たち(マップス)”
ACT.77 拡大!
ACT.78 巣より出でし者
ACT.79 龍の吹き荒れる時
ACT.80 乱戦
ACT.81 あらゆる敗北という名のー
簡単に、あらすじをご紹介いたしましょう。
「第八の軍団編」では、7巻終わりで登場した、11~13歳くらいのデニーとレニーが、全裸で戦う展開は、今だったらアウトの表現かもしれませぬ。私としても、幼女好きではないので、このあたりは軽く流します。
シアンにはソフティカ、バオンにはリム、そして、スガラにリプミラが対戦しますが、リプミラ達の圧勝。スガラは敗北を認め、リプミラにつくことを約束します。
けれども、リプミラは自分の記憶を消してゲンと戦わせた、伝承族のギツアートを、許しませんでした。ギツアートは、ガタリオンから見捨てられ、焦っていましたが、リプミラは彼の上に武器をばらまきます。ニードル・コレクションは協力し、“我らの母(ファースト・ボーン)”他、すべてのリープ・タイプを解放します。リプミラ、ゲン、ニードル・コレクションは、爆発に巻き込まれそうになりますが、間一髪、脱出しました。これら一連の場面は、ドキワクのスリルと、ゲンとリプミラの、ちょっぴり甘い言動と相まって、必見です。
ビメイダーのオルシスは、リプミラ達の活躍に感服し、第八の軍団になることを宣言するのでした。
「幕間」では、ラドウを目覚めさせたダード・ライ・ラグンは、神帝ブゥアーを自分の手で倒すことを誓います。ファースト・ボーンは協力を拒み、伝承族にしたがえと、忠告するばかり。さらに、ファースト・ボーンは、“さまよえる星人”が存在せず、ただの寄せ集めであると、言います。確かめるべく、ゲンは銀河障壁に挑みますが、またもや、すんなりと抜けられたのでした。
「決戦編」は、リプミラとゲン達は、地球に帰還し、ガッハ、ザザーンらと再会します。地上の星見は、ウディナ、鈴木、ヨシキらとラブコメをやっておりましたが(笑)、突然、ラドウの集団が登場し、ガタリオンの元へ拉致されてしまいます。直後、神帝ブゥアーが出現して、地球は何と、ブゥアーの右手に鷲づかみにされてしまいました。“青き円卓”(円卓=地球です)の破壊をもって生贄砲とし、さらにその力で銀河全域を破壊するのが、ブゥアーの目的でした。
軍団はフォーメーションを組み、リプミラとゲンは、彼らに先駆けて突進するものの、ブゥアーは予想を越えて巨大化していき……完全に銀河と重なります! 加えて、リプミラ達の先行部隊の通信が途切れました。
地上(ブゥアーの体内というべきか)では、ガタリオンの指揮下、ラドウ達が、リプミラ、ゲンと戦おうとしていましたが、ダード・ライ・ラグンが離反し、自らの戦いの本能にしたがって、ガタリオンに挑戦します。が、ラドウの中の最強、ジェンド・ラドウが現われ、ダードを圧倒します。バオン・リップやシアンが反撃して、五分五分の勢力になった瞬間、ヘクススキー教授による、「今、地球を奪還するな。ブゥアーから引き離さず、中枢を開かせて破壊せよ」という、ちと理解しにくい指令が、テレパシーで届きます。劣勢を挽回すべく、リプミラは、スター・ティアを撃とうしますが、ジェンド・ラドウに見抜かれ攻撃されて、船体に大ダメージを受けます。墜落するリプミラ自身にも、高振動ワイヤーで全身を串刺しにされ、ゲンもまた、リプミラ号から落下してしまいます。リプミラの危機に動揺するダードは、ジェンド・ラドウによって胸の中央を貫通され、地上へさらされます。ダードと組んでいたラドウは、ジェンド・ラドウの元へ。伝承族とガタリオンに、もはや対抗できる者はなし。もう、地球は、銀河は、終わりなのでしょうか?
本当に、どうなるのかわからないストーリー展開ですねえ。くれぐれも、通勤や通学途上で、お読みにならないことを、お勧めいたします。さもないと、紅林なんとかみたいに、終点まで乗り越してしまって、帰宅が遅くなってしまいます(苦笑)。
SFはスケールが大きくなりがちですけれども、地球のみならず、銀河をも呑み込むブゥアーの巨大さの描写には、まことに、精神的土下座をさせていただきます。これぞSFの王道、スペース・オペラの神髄という感じですね。
ラストは、ゲンは行方不明、最強のはずのリプミラとダードが、そろって戦闘不能という最悪の状態。これから、起死回生とブゥアー撃退? 追放? を、どのように行なっていくのでしょうか。
さらに、ファースト・ボーンが伝承族に抵抗するどころか、恭順を呼びかける理由は? 以前にも述べましたが、伝承族は何のために銀河滅亡をたくらむのか? 伝承族の反逆者、ガタリオンは、今のところ優勢ですが、彼の目的は? これらの謎と伏線を回収して、どういうラストに、作者様はみちびいていくのか、実に楽しみです。
他にも、スガラのヘアスタイルの変化を、ゲンを初め、皆が似合っていないと感じるところが、おもしろかったです。
それから、私はやはり、ガタリオンよりも、ダードの方が好きですね。ガタリオンは、結構、強くて頭も回るはずなのに、他人のふんどしで相撲を取っているような、小者感があるので、今一歩です。ダードVSガタリオンは、見どころの一つですが、戦闘狂のダードがやや優勢かというところで、ジェンド・ラドウが乱入してしまいました。
ああ、あっちもこっちも、ラドウの大安売り(笑)。ガタリオンの手下のクローン・ラドウは大したことがありませんけれども、ダードとコンビのラドウ(元はリムの妹分)と、ジェンド・ラドウは、リプミラの姉だった頃のラドウにまさって強そうです。再生能力まで持っているのですから、これまた、どうしたらいいやら。
次がラストながら、楽しみは尽きませんね。お勧めいたします。それでは。
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