『ベルセルク』10巻(三浦建太郎・白泉社)の感想
コミック『ベルセルク』10巻(三浦建太郎・白泉社)の感想を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。
10巻のメインは、グリフィス救出です。
簡単に、あらすじをご紹介いたします。
交わり終えた後、ガッツは、鍛冶屋のゴドー(&エリカ。10巻では、彼女は単なるかわいらしい幼女ですが、後にキャスカ、リッケルトと深く関わります)と出会い、自身が剣をふるうことこそ、最重要のこだわりであるとキャスカに告げ、もう一度、鷹の団に戻り、グリフィスを救出すると、約束します。けれども、その後はまた旅を続けるけれども、一緒に行こうと、キャスカに誘い、彼女は了承します(事実上のプロポーズですな)。
こうして、キャスカ、ガッツ、ジュドー、ピピンらの鷹の団のグリフィス救出部隊は、ミッドランドの首都、ウインダムの再生の塔に向かいます。そこの案内人&協力者は、何と、シャルロット王女(&侍女のアンナ。彼女はずっと王女についている、準レギュラーみたいな脇役キャラです)!
一方、右腕をケガして参加できなかったリッケルトは、負傷者達の世話をしていたのですが、水くみのため離れたわずかの間に、巨大な異形の怪物(使徒です)達に仲間を全員、食い殺されるという、信じられない惨劇に見舞われます。あわや、リッケルトも同様の目にあうところを、髑髏の騎士が介入してために助かりますが、呆然として、むせび泣くのでした。
塔下の地下牢獄は、とてつもない深さでした。シャルロットは、救出部隊と進む間に、この穴が千年前、覇王ガイゼリックという、髑髏を模した兜をつけた皇帝ゆかりのものであると語り、ガッツは、あの髑髏の騎士を想起します。
ようやく、彼らは最下層の牢に到着したものの、グリフィスは衰弱しているだけでなく、手足の腱を切られ、舌を切断されており、その兜をはずして素顔を見たガッツとジュドーは当然のこと、いつも冷静なはずのキャスカまでが言葉を失ってしまいます。凄絶な憤怒に駆られたガッツは、残酷な拷問官を突き落とし、続いて、捕縛にやって来た兵士一同を、またたく間に斬殺するのでした。
血まみれの恐ろしい外見になったガッツに対して、キャスカは返り血をふいてやるのですけれども、ピピンに背負われながら、その様子を見たグリフィスの目が鋭くなります。
ここで、ミッドランド国王が制止し、暗殺者ギルドのバーキラカ(クシャーン人っぽい)5人を向かわせます。奇怪な体術と武器に苦戦させられますが、ガッツの剣とジュドーのナイフ投げにより、撃退します。しかし、シャルロットは負傷し、彼らから離れました。
ミッドランド国王は、シャルロットの懇願によって、形ばかりはグリフィス抹殺をやめたように言いましたが、すぐに、黒犬騎士団に追撃殲滅を命じます。その団長のワイアルドは、まるで獣のような、異様な男でした。
ガッツがいれば、救出は簡単と予想しておりましたが、まさか、グリフィスが廃人同様になっていたとは! ただし、モノローグにあるとおり、正気は保っており、やはり、ガッツへの強い執着が消せないようです。
そんなグリフィスだからこそ、ガッツとグリフィスが、以前の犬猿の仲→同輩から、男女の関係になっていることを、見抜いたようです。
他にも、ジュドー、シャルロットも、キャスカの変化を察知しています。キャスカもまた、乗馬の際に、痛くて涙目になります(何の痛さか、説明は省略)。何よりも、冒頭のガッツの長い告白と、キャスカとの対話は、二人とも、森の中とはいえ、真っ裸なのですよね。10巻はエロ度が高いですわ。
他にも、1~3巻に登場した、また、今後登場する使徒達も描かれています。髑髏の騎士の重要かもしれない情報もあり、この巻は伏線まみれなのでしょうね。
人なのに(?)、犬か狼のような顔立ちのワイアルドの造形もそうですが、恐らく、狂気におちいっている国王の表情も、お見事です。何よりも、私は大勢の兵士を、抵抗する間も与えず、無数の肉塊に変えていく、ガッツの斬撃シーンが圧巻だと、思います。
このパワーと迫力こそ、『ベルセルク』の魅力の一つに違いありませぬ。お勧めいたします。それでは。
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