ベルセルク

2024年9月21日 (土)

『ベルセルク』11巻(三浦建太郎・白泉社)の感想

 コミック『ベルセルク』11巻(三浦建太郎・白泉社)の感想を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。

 11巻のお話は、黒犬騎士団団長ワイアルドとの戦いです。やっぱり、と言うべきか……。

 狂犬じみた風貌のワイアルドひきいる黒犬騎士団は、残酷無慈悲な集団でした。鷹の団が少しばかり世話になった村を全滅させ、切り刻まれた村人達の遺体を、オブジェのようにしてかざしながら、追ってきます。
 キャスカ、ジュドー、ピピンらの活躍によって、兵士達はやっつけたものの、ワイアルドは無傷。その異様なパワーと、大剣を木切れ一本のみで受けかわす様子に、ガッツは舌を巻きます。
 やがて、ワイアルドはその正体を現わし、身長六、七メートル(もっとか?)、肩幅三、四メートルで、胸元に巨大な三つ目を持つ、ゴリラのような筋肉質の巨体に、元の上半身と頭をはめこんでいるような、怪物へと変貌するのでした(私の文章力では、不気味極まる巨体を表現し尽くせませぬ。興味がおありの方は、ぜひ、コミックをご購入ください)。
 ワイアルドの巨体に見合うだけのパワーと、弓矢などを寄せつけない強靱な体に、鷹の団は体勢を崩し、ガッツも深手を負います。最後の力をふりしぼって、ガッツは、隠れていた大木からワイアルドの首に大剣を、次に右目に短剣を突き刺して、ようやく倒したのでした。
 ところが、しばらくして、ワイアルドは息を吹き返し、わずかな隙をついて、グリフィスを捕らえます。まわりを囲んだ鷹の団に対して、グリフィスが団長どころか、廃人に近い状態であることをあばき立て、ガッツを憤激させます。ところが、ワイアルドの真の目的は、ベヘリットなのですが、グリフィスがそれを持っていないことに気づき、動転します。
 そこへ、あの不死のゾッドが飛来し、あっさりと、ワイルドの息の根を止めます。ゾッドはグリフィスに、ベヘリットが必ず戻ると言うのでした。我に返ったガッツは、蝕は、逃れられない死とは何かと、矢継ぎ早に問いかけるものの、ゾッドは、「まもなくわかる」とだけ答えて、去ってしまいます。
 ワイアルドは、醜悪な人間とも怪物とも知れない者達に覆われた後、彼らは消えました。残されたのは、貧相な老人の死体で、これがワイアルドの本性だった、らしい……。

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2024年9月16日 (月)

『ベルセルク』10巻(三浦建太郎・白泉社)の感想

 コミック『ベルセルク』10巻(三浦建太郎・白泉社)の感想を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。

 10巻のメインは、グリフィス救出です。
 
 簡単に、あらすじをご紹介いたします。
 交わり終えた後、ガッツは、鍛冶屋のゴドー(&エリカ。10巻では、彼女は単なるかわいらしい幼女ですが、後にキャスカ、リッケルトと深く関わります)と出会い、自身が剣をふるうことこそ、最重要のこだわりであるとキャスカに告げ、もう一度、鷹の団に戻り、グリフィスを救出すると、約束します。けれども、その後はまた旅を続けるけれども、一緒に行こうと、キャスカに誘い、彼女は了承します(事実上のプロポーズですな)。
 こうして、キャスカ、ガッツ、ジュドー、ピピンらの鷹の団のグリフィス救出部隊は、ミッドランドの首都、ウインダムの再生の塔に向かいます。そこの案内人&協力者は、何と、シャルロット王女(&侍女のアンナ。彼女はずっと王女についている、準レギュラーみたいな脇役キャラです)! 
 一方、右腕をケガして参加できなかったリッケルトは、負傷者達の世話をしていたのですが、水くみのため離れたわずかの間に、巨大な異形の怪物(使徒です)達に仲間を全員、食い殺されるという、信じられない惨劇に見舞われます。あわや、リッケルトも同様の目にあうところを、髑髏の騎士が介入してために助かりますが、呆然として、むせび泣くのでした。
 塔下の地下牢獄は、とてつもない深さでした。シャルロットは、救出部隊と進む間に、この穴が千年前、覇王ガイゼリックという、髑髏を模した兜をつけた皇帝ゆかりのものであると語り、ガッツは、あの髑髏の騎士を想起します。
 ようやく、彼らは最下層の牢に到着したものの、グリフィスは衰弱しているだけでなく、手足の腱を切られ、舌を切断されており、その兜をはずして素顔を見たガッツとジュドーは当然のこと、いつも冷静なはずのキャスカまでが言葉を失ってしまいます。凄絶な憤怒に駆られたガッツは、残酷な拷問官を突き落とし、続いて、捕縛にやって来た兵士一同を、またたく間に斬殺するのでした。
 血まみれの恐ろしい外見になったガッツに対して、キャスカは返り血をふいてやるのですけれども、ピピンに背負われながら、その様子を見たグリフィスの目が鋭くなります。
 ここで、ミッドランド国王が制止し、暗殺者ギルドのバーキラカ(クシャーン人っぽい)5人を向かわせます。奇怪な体術と武器に苦戦させられますが、ガッツの剣とジュドーのナイフ投げにより、撃退します。しかし、シャルロットは負傷し、彼らから離れました。
 ミッドランド国王は、シャルロットの懇願によって、形ばかりはグリフィス抹殺をやめたように言いましたが、すぐに、黒犬騎士団に追撃殲滅を命じます。その団長のワイアルドは、まるで獣のような、異様な男でした。

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2024年8月17日 (土)

『ベルセルク』9巻(三浦建太郎・白泉社)の感想(追記)

 コミック『ベルセルク』9巻(三浦建太郎・白泉社)の感想(追記)を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。

 すみません、できるだけ追記を書かないようにしているのですが、失念していることがありました。
 私はガッツ推しなのですけれども、グリフィスに関して。
 彼は、言動がクールなタイプながら、シャルロットの寝所へ忍びこんで……など、そんな軽率で危険すぎる行為は、通常モードならば、絶対にしないはずです。
 ところが、そうしてしまう。しかも、交わりの最中に、あれをしよう、これは興奮する! とか、眼前のシャルロットのことを考えたり、感じたりするよりも、ガッツとの別れの場面を想起しております。
 グリフィスの動転ぶりは、彼自身でもコントロールできないものだったようです。
 これが、後々の大きな惨劇と、好青年だったガッツが、血も涙もない狂戦士(1~3巻を読んでみてください)に変貌するきっかけとなるわけです。
 ますます、『ベルセルク』が見逃せなくなりました。やはり、すばらしい漫画だと、思います。それでは。

 

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2024年8月14日 (水)

『ベルセルク』9巻(三浦建太郎・白泉社)の感想

 コミック『ベルセルク』9巻(三浦建太郎・白泉社)の感想を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。

 久しぶりに読んでみたところ、9巻は、壮大なパワーがあり、伏線が敷かれておりました!
 ゴッド・ハンドや人外との戦いこそ、ありませんけれども、近い将来のガッツの苦闘を語る上で、重要なエピソードばかりといえましょう。

 そういうわけで、大変ですが、私が簡単にあらすじをご紹介いたします。
 グリフィスとの戦いに勝ったガッツは、一人旅の途中、森で野宿をしていた時、不気味な馬に乗った、髑髏(どくろ)の騎士に出会います。彼はガッツを、一年後に蝕が起こり、狂気と死が吹き荒れるが、それを乗り越えるには、必死でもがくことだと告げて、立ち去ります(ガッツは、ほぼ意味がわかりません)。
 敗北した上、ガッツを失ったグリフィスは、何と、王女シャルロットの寝室へ忍び込み、一夜をすごしてしまいます(夜這いです)。たちまち、国王に発覚して捕らわれますが、拷問にかけられながらも、グリフィスは、国王のどす黒い欲望を嘲笑したため、最下層の地下牢へ閉じ込められてしまいました。
 グリフィスが罪人となってしまったので、鷹の団もまた、救国の英雄から、軍隊に追われる身となり、キャスカが事実上のリーダーとなって、皆をまとめていかざるを得ませんでした。
 一年後、ガッツは鷹の団に入る以前のように、ある武闘大会に飛び入り参加し、異郷の戦士、シラット(!)と戦って、見事に勝利します。そこで、ガッツは初めて、鷹の団が盗賊扱いされて苦境に立っていることを知り、驚きます。
 シラットとその一味は、野宿中の鷹の団に戦いを挑みますが、危ういところで、ガッツが助っ人に入り、撃退します。ジュドーらから、グリフィスの捕縛、幽閉を告げられ愕然とし、彼らとともに救出について考えるのでした。
 しかし、キャスカは、安易にガッツの帰還を受け入れられず、二人きりになるや、剣技で挑みかかります。ガッツを本気で殺そうとするかのようにi怒りと憎しみを向け、涙さえ流しながら、自分がグリフィスの剣になれないこと、一年前に鷹の団を去ろうとしたガッツを気にかけていたことを、一心に語ります。ガッツも、キャスカの剣と情熱を受け止めるうちに、口づけを交わし、二人は森の中で、生まれたままの姿になって交わるのでした。
 キャスカはもちろん、初めての行為でしたが、痛々しい彼女の様子から、ガッツは幼い自分を重ねて見てしまい、義父のガンビーノ殺しという、最大のトラウマを思い起こしてしまいます。ふだんと裏腹に、嗚咽するガッツに対して、キャスカは寄り添い、「キズのなめ合いでもいいよ」と、言います。もう一度、二人は互いを求めて……。

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2016年6月 1日 (水)

5月の反省と6月の展望

 5月は相変わらず、驚くべき速さで過ぎ去ってしまいましたが、ちゃんと収穫もありました。
 何といっても、このブログが更新されたこと、久しぶりに『ベルセルク』の感想ができたことです。

 反面、多忙、多忙なのは仕方ないとしても。
 やるべきことを後回しにして、遅れまくって、自己嫌悪におちいるのは、まさに空しいです。
 好きなことも苦手なことも、とにかく、正面から対峙しましょう。
 やってみれば、意外と簡単ともありますからね。
 さあ、もう一息!
 あと一歩!
 前へ、前へ!

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2016年5月15日 (日)

『ベルセルク』8巻(三浦建太郎・白泉社)の感想

 コミック『ベルセルク』8巻(三浦建太郎・白泉社)の感想を申します。いくつかのネタバレが含まれていますので、ご注意ください。

 8巻は、「ドルドレイ攻略戦」(5)(6)、「凱旋」「栄光の瞬間」、「炎の墓標」(1)(2)、「ある雪の夜に」、「旅立ちの朝」(1)(2)(3)という章で構成されており、あらすじとしては、前半のパワフルな城塞攻略戦(集団戦法&ガッツとチューダーのボスコーン将軍との一騎打ち。これは前半の山場)及びその勝利(ぶっちゃけ、鷹の団は寡兵なのに、そんなにうまくいくのでしょうか? と、私は思うのですが、ま、ガッツのセリフにあるとおり、「大将はくたばった!! 城は墜ちたとくりゃ決まってんだろ!! 負けたんだよ!! てめえらは!!!」、ということでしょうね。
 そして、鷹の団とグリフィスは、ミッドランド国王から勝利の褒美として、軍最高位を与えられ、白鳳騎士団の白鳳将軍グリフィスに叙勲されます。裏では、王妃一味によるグリフィス暗殺が実行されるのですが、これは彼らの裏をかいて、逆にグリフィスとガッツが一網打尽、殲滅に。うまく解決できて、ガッツとグリフィスは仲よく語り合います。
「おまえ 死んでたから知らないだろ?」
「え?」
「キャスカのやつ 祝勝会にドレス着てやがんの」
「ほんとか!?」
「結構見ものなんだわ これが・・・・」
 はあぁ、3巻の憎悪むき出しのガッツの憤激が、ウソみたい・・・・。

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2013年12月31日 (火)

『ベルセルク』37巻(三浦建太郎・白泉社)の感想

 漫画『ベルセルク』37巻(三浦建太郎・白泉社)の感想を申します。ネタバレが含まれて居ますので、ご注意ください。

 久しぶりの投稿ゆえ、「かんそう」と入力したら、即刻、「乾燥」と変換されましたよ。気力と感性までも、干上がっていないといいですなあ。

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2013年2月 9日 (土)

漫画の精霊様、見放さないでください!

 いろいろ迷っているうちに、一ヶ月以上も更新できず、ごめんなさい。
 たまっている読書感想は、次のとおり(作者様、出版社名は省略)。

 プレイコミック3月号
 HONKOWA3月号
 信長の忍び 6巻
 土竜の唄 31、32巻
 ベルセルク 8巻
 ハカイジュウ 5、6巻
 闇の検証 1~4巻
 凍牌人柱篇 2巻

 他にも、もっとあったはず。
 私の文章作成スキルを、とっくに越えてまんがな。
 オートマティックライターになりたーい!
 必ず、感想をアップするから、漫画の精霊様、訪問者様、読者様、待っていてくださいませ。

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2012年10月22日 (月)

『ベルセルク』7巻(三浦建太郎)の感想

漫画『ベルセルク』7巻(三浦建太郎・白泉社)の感想を申します。ネタバレがありますので、ご注意ください。

黄金時代篇の続きです。7巻に収録されているのは、「キャスカ(3)」「決死行(1)~(3)」「生還」「夢のかがり火」、そして、メインである(最近の映画でも、ここがテーマだったようですね)、「ドルドレイ攻略戦(1)~(4)」。では、あらすじを簡単に述べましょう。

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2012年1月 2日 (月)

『ベルセルク』6巻(三浦建太郎)の感想

 漫画『ベルセルク』6巻(三浦建太郎・白泉社)の感想を申します。ネタバレがありますので、ご注意ください。

 6巻の構成は、「剣の主(2)」、「暗殺者(1)~(4)」、「貴きもの」、「出陣」、「合戦」、「キャスカ(1)~(2)」。今回は、ファンタジー的存在は登場せず、ヨーロッパのどこかの国の中世史を描いているかのようです。ただ、闇にまぎれた暗殺者と化したガッツは、ワタシ的に受け入れ難い、かな? そして、重要人物、キャスカに関するエピソードもあります。

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