『トルー・ラブ』(ジョン・スミス 羽林泰/訳 富士見ロマン文庫)の感想
『トルー・ラブ』(ジョン・スミス 羽林泰/訳 富士見ロマン文庫 No.78)の感想を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。
手持ちの富士見ロマン文庫も、こちらでラスト一冊になってしまいました。意外と早いものです。
ハズレが続いていましたが、今回は大当たりでした!
まず、英語の教科書に登場する人物みたいな作家様ですが、翻訳者様のあとがきによれば匿名で、謎の方だそうです。
けれども、石川啄木や北原白秋のような文豪が回し読みをされていたという、古き良き時代の、名作ポルノ小説だとか。
内容とあらすじを説明いたしましょう。
スミス大学の卒業式前、秘密社交クラブで送別夕食会が開かれていましたが、フランク・イートンが、会員の中で唯一童貞であることが彼らの話題となります。彼の性を卒業させるべく、娼婦のアイダとビックが呼ばれますが、成果は五分五分といったところ。
イートンを本気にさせようと、会員は、卑猥な言葉を使わないようにするという条件で、彼らそれぞれの性の初体験談を語る、というものです。
この序章っぽい部分から始まって、次のようなお話が続いていきます。
第一章 ブラウンの物語「ゴム製品」
第二章 ネッド・スタンレーの物語「内気な少年」
第三章 バートンの物語「仮装舞踏会」
第四章 イートンの物語「短く甘く」
第五章 幕合い劇-シャンペンとキス
第六章 リバーズの物語「夜の姫君」
第七章 スタイブサントの物語「干草小屋の中で」
第八章 リチャードの物語「解剖学の公開実験」
第九章 ランキンの物語「寝台車の妖精」
第十章 バークレーの物語「船上の恋」
第十一章 幕合い劇「背面攻撃」
第十二章 ウィズロウの物語「謎の訪問者」
第十三章 アイダの物語「女の場合」
第十四章 ビックの物語「あれの楽しさ」
第十五章 会長の物語「泥酔者」
第五章と第十一章の幕合い劇は、番外編っぽい、アイダとイートンのエロチックな触れ合いのエピソードです。短い割に、濃厚にいやらしいですね。
そして、第十三章、第十四章は女性側の体験談。
それらを除けば、個性もシチュエーションも異なる、男性側からのお話というわけで、短編ポルノが15あるという感じですね。
最後は、「おわりに」で、ジョン・スミスがこのお話を書いた理由を述べています。
「つまり、女性というものは、女性に誘惑された体験を持つ男性か、さもなければ(自主規制)」という命題に、私は反発を感じるような、同感するような、もやもやしたものが残りますが。
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