アニメ・コミック

2024年10月 5日 (土)

『道玄坂探偵事務所 竜胆』(原作:花村萬月 画:市東亮子 秋田文庫)の感想

 コミック『道玄坂探偵事務所 竜胆』(原作:花村萬月 画:市東亮子 秋田文庫)の感想を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。
 竜胆(りんどう)とは、作中の主人公の通称で、本名、年齢、性別(!)まで不明ながらも、とてつもない美貌の持ち主です。第七話まで収録されていて完結していますが、最後まで謎めいたままでした。
 要するに、この漫画は、不思議な魅力を放つ竜胆の、探偵としての活躍を描きつつ、大都会東京の計り知れない闇と絶望、それらからの復活を見すえているわけです。

 第一話 愛人
 第二話 甘い言葉
 第三話 蒸発
 第四話 故郷
 第五話 使い走り
 第六話 マリンブルース(前編)
 第七話 マリンブルース(後編)

 あらすじ的な説明をいたしますと、第一話はホモの愛人の失踪で、竜胆はいきなり、暴力団組長から美女と見なされ、その愛人には美青年と思われてしまいます。が、竜胆は、とことん翻弄して、解決にみちびくのでした。
 第二話は結婚詐欺師に報復するため、竜胆が女装? それとも、本来の姿? になり、小気味よくたたきのめします。
 第三話は、エリートであるはずの男性が蒸発した真相について。
 第四話は、やくざの前科者である男性は、元彼女の行方を竜胆に調べてもらいます。新生活を始めている彼女の心にあったのは……。
 第五話は、レギュラー出演している、竜胆を女と思って好いている青年、松方が、大勢の男達に袋だたきにされて負傷します。それはただの暴力事件でなく、密売に関わるものでした。
 第六、第七話は、松方が知り合った小汚い少年、芳夫は、父の行方を捜していました。父親は暴力団に捕らわれており、竜胆と松方が救出に向かいます。シリーズ中、長編であるだけに、凄惨でインパクトがあります。ずっと、へらへらした印象の松方が、最後に侠気を示したために、後味のいい終わり方でした。

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2024年9月28日 (土)

『真琴♡グッドバイ』(高橋葉介・朝日ソノラマ)の感想

 コミック『真琴♡グッドバイ』(高橋葉介・朝日ソノラマ)の感想を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。

 作者様は夢幻紳士シリーズで有名ですけれども、恐らく、そちらが始まる前、シリアスかつデフォルメの少なくなる、今の画風との間に発表されたと予想される、このラブコメディが、私はとても好きです。
「高橋葉介でラブコメ!」と、ご存じでなかったファンの方は、驚かれるかもしれませぬ。小さなポイント的表現や小物において、ダークまたはブラックな雰囲気はあるものの、作風も登場人物達も、もしかして、作者様自身をも(?)、スカッと、笑い飛ばしているかのような明るい爽快さが、私にとってたまりませぬ。

 と、書いておきながら、同時収録の「たった一人の日本人」の感想から参ります。こちらは、タイトルとは異なる、独立した短編漫画です。
『日本沈没』のパロディというより、筒井康隆の『日本以外全部沈没』に似た感じがしました。田中一郎という平凡な会社員の青年が、ビールスの蔓延により日本人が皆死に絶えてしまったため、アメリカへ連れて行かれます。珍獣あつかいされるのに飽き飽きした田中は、切腹させられかける直前、パンデミックにより、世界中の人間が死滅。田中は飛来した宇宙人に助けられ、これ幸いとばかりに、嘘八百の日本人伝説を書き上げるのでした。
 本当に、ぐうの音も出ないほど、日本人の島国根性をパロディ化した、ブラックコメディです。
 さて、『真琴♡グッドバイ』のあらすじです。ヒロイン大道寺真琴は、画家志望の学生ですが、その熱意に反して、画力が足りていません。挙句の果てに、やけ酒をあおっては、高いところに登って奇声を発したり、飛び回ったりする、酒乱癖ができてしまいます。それでも、真琴は、心優しいながらも、頭がお花畑の美少年、寺島薫と知り合い、また、母親からの強制見合いによって、暑苦しい熱血会社員、石渡正義にプロポーズされます。この好対照な二人によって、真琴は翻弄されるわけです。
 石渡は社長の一人娘にたぶらかされますが、その誘惑を突っぱねたために、会社をやめさせられ、小さな電気屋に転職し、バリバリにセールスをこなします。寺島は石渡とも仲良くする一方、暴力団組長の姪の冷子を妊娠させた疑惑を持たれ、石渡の方が間違ってつかまってしまいます。恐れもしないで、組長の脅迫を突っぱねる石渡。そこへ、寺島の兄、楽夫が急ぎやって来て、自分こそ冷子の真の相手であると名乗りをあげ、めでたく結ばれるのでした。
 それでも、マイペースに平和な寺島。石渡は、彼の度胸に惚れこんだ組長につきまとわれ、大迷惑。真琴は今度こそと、大作を描きますけれども、やっぱりボツ。荒れ狂って飛び回る真琴を、二人の男性、暴力団組長は、必死に追いかけていくのでした。

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2024年9月21日 (土)

『ベルセルク』11巻(三浦建太郎・白泉社)の感想

 コミック『ベルセルク』11巻(三浦建太郎・白泉社)の感想を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。

 11巻のお話は、黒犬騎士団団長ワイアルドとの戦いです。やっぱり、と言うべきか……。

 狂犬じみた風貌のワイアルドひきいる黒犬騎士団は、残酷無慈悲な集団でした。鷹の団が少しばかり世話になった村を全滅させ、切り刻まれた村人達の遺体を、オブジェのようにしてかざしながら、追ってきます。
 キャスカ、ジュドー、ピピンらの活躍によって、兵士達はやっつけたものの、ワイアルドは無傷。その異様なパワーと、大剣を木切れ一本のみで受けかわす様子に、ガッツは舌を巻きます。
 やがて、ワイアルドはその正体を現わし、身長六、七メートル(もっとか?)、肩幅三、四メートルで、胸元に巨大な三つ目を持つ、ゴリラのような筋肉質の巨体に、元の上半身と頭をはめこんでいるような、怪物へと変貌するのでした(私の文章力では、不気味極まる巨体を表現し尽くせませぬ。興味がおありの方は、ぜひ、コミックをご購入ください)。
 ワイアルドの巨体に見合うだけのパワーと、弓矢などを寄せつけない強靱な体に、鷹の団は体勢を崩し、ガッツも深手を負います。最後の力をふりしぼって、ガッツは、隠れていた大木からワイアルドの首に大剣を、次に右目に短剣を突き刺して、ようやく倒したのでした。
 ところが、しばらくして、ワイアルドは息を吹き返し、わずかな隙をついて、グリフィスを捕らえます。まわりを囲んだ鷹の団に対して、グリフィスが団長どころか、廃人に近い状態であることをあばき立て、ガッツを憤激させます。ところが、ワイアルドの真の目的は、ベヘリットなのですが、グリフィスがそれを持っていないことに気づき、動転します。
 そこへ、あの不死のゾッドが飛来し、あっさりと、ワイルドの息の根を止めます。ゾッドはグリフィスに、ベヘリットが必ず戻ると言うのでした。我に返ったガッツは、蝕は、逃れられない死とは何かと、矢継ぎ早に問いかけるものの、ゾッドは、「まもなくわかる」とだけ答えて、去ってしまいます。
 ワイアルドは、醜悪な人間とも怪物とも知れない者達に覆われた後、彼らは消えました。残されたのは、貧相な老人の死体で、これがワイアルドの本性だった、らしい……。

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2024年9月16日 (月)

『ベルセルク』10巻(三浦建太郎・白泉社)の感想

 コミック『ベルセルク』10巻(三浦建太郎・白泉社)の感想を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。

 10巻のメインは、グリフィス救出です。
 
 簡単に、あらすじをご紹介いたします。
 交わり終えた後、ガッツは、鍛冶屋のゴドー(&エリカ。10巻では、彼女は単なるかわいらしい幼女ですが、後にキャスカ、リッケルトと深く関わります)と出会い、自身が剣をふるうことこそ、最重要のこだわりであるとキャスカに告げ、もう一度、鷹の団に戻り、グリフィスを救出すると、約束します。けれども、その後はまた旅を続けるけれども、一緒に行こうと、キャスカに誘い、彼女は了承します(事実上のプロポーズですな)。
 こうして、キャスカ、ガッツ、ジュドー、ピピンらの鷹の団のグリフィス救出部隊は、ミッドランドの首都、ウインダムの再生の塔に向かいます。そこの案内人&協力者は、何と、シャルロット王女(&侍女のアンナ。彼女はずっと王女についている、準レギュラーみたいな脇役キャラです)! 
 一方、右腕をケガして参加できなかったリッケルトは、負傷者達の世話をしていたのですが、水くみのため離れたわずかの間に、巨大な異形の怪物(使徒です)達に仲間を全員、食い殺されるという、信じられない惨劇に見舞われます。あわや、リッケルトも同様の目にあうところを、髑髏の騎士が介入してために助かりますが、呆然として、むせび泣くのでした。
 塔下の地下牢獄は、とてつもない深さでした。シャルロットは、救出部隊と進む間に、この穴が千年前、覇王ガイゼリックという、髑髏を模した兜をつけた皇帝ゆかりのものであると語り、ガッツは、あの髑髏の騎士を想起します。
 ようやく、彼らは最下層の牢に到着したものの、グリフィスは衰弱しているだけでなく、手足の腱を切られ、舌を切断されており、その兜をはずして素顔を見たガッツとジュドーは当然のこと、いつも冷静なはずのキャスカまでが言葉を失ってしまいます。凄絶な憤怒に駆られたガッツは、残酷な拷問官を突き落とし、続いて、捕縛にやって来た兵士一同を、またたく間に斬殺するのでした。
 血まみれの恐ろしい外見になったガッツに対して、キャスカは返り血をふいてやるのですけれども、ピピンに背負われながら、その様子を見たグリフィスの目が鋭くなります。
 ここで、ミッドランド国王が制止し、暗殺者ギルドのバーキラカ(クシャーン人っぽい)5人を向かわせます。奇怪な体術と武器に苦戦させられますが、ガッツの剣とジュドーのナイフ投げにより、撃退します。しかし、シャルロットは負傷し、彼らから離れました。
 ミッドランド国王は、シャルロットの懇願によって、形ばかりはグリフィス抹殺をやめたように言いましたが、すぐに、黒犬騎士団に追撃殲滅を命じます。その団長のワイアルドは、まるで獣のような、異様な男でした。

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2024年9月 7日 (土)

『マップス』8巻(長谷川裕一・メディアファクトリー)の感想

 コミック『マップス』8巻(長谷川裕一・メディアファクトリー)の感想を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。
 今回の見どころは、リプミラ達5人VSニードル・コレクションの決着! そして、舞台を地球に移し、ずっと私達ファンが見たくてたまらなかったガタリオンVSダードの最強対決! さらに、ラドウの究極(最終?)形態が出現します。地球は、ダードは、リプミラは、ゲンは、皆、一体どうなるの! と、絶叫したくなるエピソード満載です。
 収録されているお話は、次のとおり。
 第八の軍団編
ACt.72 幽霊船VS“針(ニードル)”
ACT.73 十の翼 千の翼
ー幕間ー
ACT.74 そして千と一の……
ACT.75 静かー
 決戦編
ACT.76 帰ってきた“地図たち(マップス)”
ACT.77 拡大!
ACT.78 巣より出でし者
ACT.79 龍の吹き荒れる時
ACT.80 乱戦
ACT.81 あらゆる敗北という名のー

 簡単に、あらすじをご紹介いたしましょう。
「第八の軍団編」では、7巻終わりで登場した、11~13歳くらいのデニーとレニーが、全裸で戦う展開は、今だったらアウトの表現かもしれませぬ。私としても、幼女好きではないので、このあたりは軽く流します。
 シアンにはソフティカ、バオンにはリム、そして、スガラにリプミラが対戦しますが、リプミラ達の圧勝。スガラは敗北を認め、リプミラにつくことを約束します。
 けれども、リプミラは自分の記憶を消してゲンと戦わせた、伝承族のギツアートを、許しませんでした。ギツアートは、ガタリオンから見捨てられ、焦っていましたが、リプミラは彼の上に武器をばらまきます。ニードル・コレクションは協力し、“我らの母(ファースト・ボーン)”他、すべてのリープ・タイプを解放します。リプミラ、ゲン、ニードル・コレクションは、爆発に巻き込まれそうになりますが、間一髪、脱出しました。これら一連の場面は、ドキワクのスリルと、ゲンとリプミラの、ちょっぴり甘い言動と相まって、必見です。
 ビメイダーのオルシスは、リプミラ達の活躍に感服し、第八の軍団になることを宣言するのでした。
「幕間」では、ラドウを目覚めさせたダード・ライ・ラグンは、神帝ブゥアーを自分の手で倒すことを誓います。ファースト・ボーンは協力を拒み、伝承族にしたがえと、忠告するばかり。さらに、ファースト・ボーンは、“さまよえる星人”が存在せず、ただの寄せ集めであると、言います。確かめるべく、ゲンは銀河障壁に挑みますが、またもや、すんなりと抜けられたのでした。
「決戦編」は、リプミラとゲン達は、地球に帰還し、ガッハ、ザザーンらと再会します。地上の星見は、ウディナ、鈴木、ヨシキらとラブコメをやっておりましたが(笑)、突然、ラドウの集団が登場し、ガタリオンの元へ拉致されてしまいます。直後、神帝ブゥアーが出現して、地球は何と、ブゥアーの右手に鷲づかみにされてしまいました。“青き円卓”(円卓=地球です)の破壊をもって生贄砲とし、さらにその力で銀河全域を破壊するのが、ブゥアーの目的でした。
 軍団はフォーメーションを組み、リプミラとゲンは、彼らに先駆けて突進するものの、ブゥアーは予想を越えて巨大化していき……完全に銀河と重なります! 加えて、リプミラ達の先行部隊の通信が途切れました。
 地上(ブゥアーの体内というべきか)では、ガタリオンの指揮下、ラドウ達が、リプミラ、ゲンと戦おうとしていましたが、ダード・ライ・ラグンが離反し、自らの戦いの本能にしたがって、ガタリオンに挑戦します。が、ラドウの中の最強、ジェンド・ラドウが現われ、ダードを圧倒します。バオン・リップやシアンが反撃して、五分五分の勢力になった瞬間、ヘクススキー教授による、「今、地球を奪還するな。ブゥアーから引き離さず、中枢を開かせて破壊せよ」という、ちと理解しにくい指令が、テレパシーで届きます。劣勢を挽回すべく、リプミラは、スター・ティアを撃とうしますが、ジェンド・ラドウに見抜かれ攻撃されて、船体に大ダメージを受けます。墜落するリプミラ自身にも、高振動ワイヤーで全身を串刺しにされ、ゲンもまた、リプミラ号から落下してしまいます。リプミラの危機に動揺するダードは、ジェンド・ラドウによって胸の中央を貫通され、地上へさらされます。ダードと組んでいたラドウは、ジェンド・ラドウの元へ。伝承族とガタリオンに、もはや対抗できる者はなし。もう、地球は、銀河は、終わりなのでしょうか?















 





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2024年8月25日 (日)

『新九郎、奔る!』17巻(ゆうきまさみ・小学館)の感想

 コミック『新九郎、奔る!』17巻(ゆうきまさみ・小学館)の感想を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。

 駿河の家督相続編、ついに決着! まあ、16巻からの流れで、小鹿新五郎と孫五郎側に、勝機はなかったと、予想されるのですが、けれども、やはり、やむを得ないとはいえ、苦い勝利……。

 簡単に、あらすじを申しましょう。
 新九郎らは、清水の知行、伊達の軍勢と合流し、西へと向かいます。が、新五郎側の駿府方は、龍王丸の丸子攻めの最中。西から、朝比奈、岡部の新手の軍勢が到来し、丸子方を優勢に導く一方、駿府の福島修理亮の長男、兵庫充が、従弟の彦四郎に斬殺され、みるみるうちに趨勢が変わっていきます。駿府館に到着した新九郎は、彦四郎の協力で、門を開けさせ、突入するのでした。
 重病の新五郎は、家来からの報告で、伊達、入江、興津、庵原らの裏切りを知り、愕然とします。孫五郎は奮戦するものの、ついに、新五郎の眼前で倒れ伏します。新五郎は館に火をかけますが、炎の中、新九郎と最期に再会したのでした。
 戦いの後、新九郎は、家中の者に恨みつらみを残さないよう、自分が憎まれ役となって、信賞必罰の処理を行なうのですけれども、不満は噴出し、矢部左衛門尉らが反乱を起こし、翌年になっても、新九郎は鎮圧に忙殺されます。この事態に、痺れを切らせ、伊都が三月に駿河へやって来ます。伊都は合議を開き、家来達の前で、自分が今川家の家長を務めることを宣言し、謀反の鎮圧を命じます。結果、矢部は滅んで、新九郎は褒美として、富士下方を所領として得ました。
 また、伊都は、堀越源五郎の息子、一秀を呼び寄せます。龍王丸は彼に、瀬名一秀の名を与えて、源五郎の遺領を与え、近臣に任命しました。
 騒動が片付いて、新九郎は、堀越公方の足利政知に挨拶に行きますが、何と、奉公衆に任命されたのでした。また、奔放で言いたい放題の息子、茶々丸に手を焼かされます。
 一年二ヶ月ぶりに、京へ帰館した新九郎は、新右衛門の死に、ショックを受けます。また、従兄の貞宗は、近江の鈎に滞陣したままの将軍、義尚に、大いに手を焼いている様子。加えて、義尚は聞く耳を持たず、新九郎も門前払いにされてしまいます。せっかく、帰洛したというのに、新たな問題発生……。


 

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2024年8月17日 (土)

『ベルセルク』9巻(三浦建太郎・白泉社)の感想(追記)

 コミック『ベルセルク』9巻(三浦建太郎・白泉社)の感想(追記)を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。

 すみません、できるだけ追記を書かないようにしているのですが、失念していることがありました。
 私はガッツ推しなのですけれども、グリフィスに関して。
 彼は、言動がクールなタイプながら、シャルロットの寝所へ忍びこんで……など、そんな軽率で危険すぎる行為は、通常モードならば、絶対にしないはずです。
 ところが、そうしてしまう。しかも、交わりの最中に、あれをしよう、これは興奮する! とか、眼前のシャルロットのことを考えたり、感じたりするよりも、ガッツとの別れの場面を想起しております。
 グリフィスの動転ぶりは、彼自身でもコントロールできないものだったようです。
 これが、後々の大きな惨劇と、好青年だったガッツが、血も涙もない狂戦士(1~3巻を読んでみてください)に変貌するきっかけとなるわけです。
 ますます、『ベルセルク』が見逃せなくなりました。やはり、すばらしい漫画だと、思います。それでは。

 

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2024年8月14日 (水)

『ベルセルク』9巻(三浦建太郎・白泉社)の感想

 コミック『ベルセルク』9巻(三浦建太郎・白泉社)の感想を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。

 久しぶりに読んでみたところ、9巻は、壮大なパワーがあり、伏線が敷かれておりました!
 ゴッド・ハンドや人外との戦いこそ、ありませんけれども、近い将来のガッツの苦闘を語る上で、重要なエピソードばかりといえましょう。

 そういうわけで、大変ですが、私が簡単にあらすじをご紹介いたします。
 グリフィスとの戦いに勝ったガッツは、一人旅の途中、森で野宿をしていた時、不気味な馬に乗った、髑髏(どくろ)の騎士に出会います。彼はガッツを、一年後に蝕が起こり、狂気と死が吹き荒れるが、それを乗り越えるには、必死でもがくことだと告げて、立ち去ります(ガッツは、ほぼ意味がわかりません)。
 敗北した上、ガッツを失ったグリフィスは、何と、王女シャルロットの寝室へ忍び込み、一夜をすごしてしまいます(夜這いです)。たちまち、国王に発覚して捕らわれますが、拷問にかけられながらも、グリフィスは、国王のどす黒い欲望を嘲笑したため、最下層の地下牢へ閉じ込められてしまいました。
 グリフィスが罪人となってしまったので、鷹の団もまた、救国の英雄から、軍隊に追われる身となり、キャスカが事実上のリーダーとなって、皆をまとめていかざるを得ませんでした。
 一年後、ガッツは鷹の団に入る以前のように、ある武闘大会に飛び入り参加し、異郷の戦士、シラット(!)と戦って、見事に勝利します。そこで、ガッツは初めて、鷹の団が盗賊扱いされて苦境に立っていることを知り、驚きます。
 シラットとその一味は、野宿中の鷹の団に戦いを挑みますが、危ういところで、ガッツが助っ人に入り、撃退します。ジュドーらから、グリフィスの捕縛、幽閉を告げられ愕然とし、彼らとともに救出について考えるのでした。
 しかし、キャスカは、安易にガッツの帰還を受け入れられず、二人きりになるや、剣技で挑みかかります。ガッツを本気で殺そうとするかのようにi怒りと憎しみを向け、涙さえ流しながら、自分がグリフィスの剣になれないこと、一年前に鷹の団を去ろうとしたガッツを気にかけていたことを、一心に語ります。ガッツも、キャスカの剣と情熱を受け止めるうちに、口づけを交わし、二人は森の中で、生まれたままの姿になって交わるのでした。
 キャスカはもちろん、初めての行為でしたが、痛々しい彼女の様子から、ガッツは幼い自分を重ねて見てしまい、義父のガンビーノ殺しという、最大のトラウマを思い起こしてしまいます。ふだんと裏腹に、嗚咽するガッツに対して、キャスカは寄り添い、「キズのなめ合いでもいいよ」と、言います。もう一度、二人は互いを求めて……。

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2024年7月15日 (月)

『マップス』7巻(長谷川裕一・メディアファクトリー)の感想

 コミック『マップス』7巻(長谷川裕一・メディアファクトリー)の感想を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。

 7巻のポイントは、伝承族反乱軍下に加わったダードと、かわいいだけのキャラだと思っていた、リムとの戦い。それから、再生ラドウの大バーゲン(?)。リープ・タイプ誕生の秘密。最大の見せ場は、ゲンを殺そうと、本気で攻撃するリプミラ! です。
 収録されたお話は、次のとおり。

 遊撃編
ACT.61 ダードVSラドウ
ACT.62 叢雲の中の影
ACT.63 意外なる再会
ACT.64 リプミラVSスガラ
ACT.65 忘却の彼方へ

 第八の軍団編
ACT.66 リプミラVSゲン
ACT.67 湾曲宇宙
ACT.68 虜の谷
ACT.69 翼の迷層
ACT.70 闇の中
ACT.71 逆襲のドラム

 簡単に、あらすじを説明いたします。
 ダードの攻撃を受け、リムは船体もろとも、呆気なく海に沈みます。ラドウはリムを守るため、彼女の船体を再生し星の涙(スターティア)まで発するものの、ダードに屈服し、拉致されてしまいます。残されたリムは、レベルアップするべく、強い意志でリプリム号をさなぎとして、しばし眠りにつくのでした。
 地球では、ゲンのドラマを制作中。星見は一瞬、ラドウの姿を見、錯覚かと疑うのですが、実は、ラドウの再生体は一体だけではありませんでした。伝承族反乱軍のガタリオンと一緒に、何十人(?)もいたのです。皆、そっくりの外見ながら、悪の心を持っているのでした。
 ゲンとリプミラは、銀河系外文明人=ヒラメ原人達と、うまく友好関係を結べましたが、伝承族の脅威については信じてもらえず、協力は無理っぽい。そんな二人の元へ、ダードの星にいたオルシスが、映像として現われ、戦闘の消耗品あつかいされる、ビメイダーの悲劇について語ります。
 折しも、ニードル・コレクションのスガラ、ゼルルゼ(二人で一組)が、来襲してきました。様子を見に来たリプミラへ、一斉に攻撃をしかけます。2対1で、エネジー・フォール・ダウンもコピーされ、不利になるリプミラ。現場へと急ぐゲンは、彼女達の戦いに巻き込まれ、負傷して気絶。リプミラは焦りながらも、ゼルルゼを倒し、スガラとの一騎打ちになり、船体攻撃にて星の涙で反撃し、圧勝します。その一瞬の油断をついて、ゼルルゼが、デンジャー・ノイズを放ち、リプミラの記憶を完全に消去してしまいます。ゲンと会う以前に戻ったリプミラは、彼を邪魔者として攻撃するのでした。
 リプミラの記憶を復活させる方法を、懸命に探すゲンとプテリスでしたが、ゲンは、簡易ビメイダー、デニーとレニーを思い出します。リプミラの死んだ姉妹、レインとダインにちなんだ名前でしたが、双方に記憶が残されていました。
 一方、リプミラはゼルルゼ、スガラに案内させて、リプミラ号をニードル・コレクションのアジトの星へ到着させます。そこは、伝承族反乱軍の主、ギツアートに、ダード、ラドウもいました。その上、リプミラは、海賊カリオンを殺したのがゲンであるという、偽りの記憶を植え付けられます。憤激し、助けに来たゲンを、あべこべに殺害しようとするリプミラ。激しい戦いのため、惑星表面に亀裂が入り、ニードル・コレクションは船体から降りて、地下へ突入します。ゲンやリプミラもまた、降りたのですが、そこには、数万年前に伝承族によって処分されたはずなのに、いくつものリープ・タイプがありました。しかも、それらリープ・タイプは、なおも処分されている最中で、リプミラはその苦痛に同調し、苦しみます。
 リムの方は、船の完全変体を終わらせ、シアン、ザザーンと再会し、艦隊と合流します。彼女達は計画を変更し、ザザーンは地球に戻り、シアン、リムは、リプミラ達を迎えに行くことになりました。
 ゲンとリプミラは、争いながら、あるリープ・タイプの中に潜入します。彼女は、伝承族が今もなお、命を削り取るようにして、仲間を攻撃し続けるやり方で、リープ・タイプの処分を実行中であること、ニードル・コレクションは彼女達の自由と引き換えに、伝承族にしたがうことになったと、告げます。ゲンは、リプミラからの攻撃を避けるべく、リープ・タイプすべての母、ファースト・ボーンに会おうとします。ゲンの無謀さ、豪胆さに呆れながらも、義侠心ゆえに放っておけず、傷の手当てをしてやるリプミラ。その一方、カリオンの仇として、憎まずにはいられず、銃口を向けます。
 いち早く、ファースト・ボーンは、ニードル・コレクションに会っていました。やや遅れて、リプミラが、ぐったりしたゲンを引きずって登場。けれども、リプミラは記憶を回復していました。ニードル・コレクションは、勝負に臨もうとしますが、リプミラ、到来したシアン、リムの他に、簡易ビメイダーの頭脳体が再生した美少女、デニー、レニーが助っ人に加わります。これが、ニードル・コレクションとの最後の戦いになるのでしょうか?

 



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2024年7月13日 (土)

『桑田次郎 アダルト短編集2 感覚転移』(マンガショップ)の感想

 コミック『桑田次郎 アダルト短編集2 感覚転移』(マンガショップ)の感想を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。

 前回の『アダルト短編集 サングラスをはずさないで』に比べますと、収録作品数が21に増え、発表年も、1964年から1978年と幅広くなっています。
 さらに、『あやつり人形』という作品は、女性自身に掲載されていたせいか、男性向けサービスシーンだけでない、含みのあるお話になっています。
 しかしながら、私的にいただけないのは、1978年発表の「人には親切を!」についてなのですが、ユーモアを交えて、自殺を手助けしてはダメではないかと、思うのです。しかも、作者様の分身のような悪魔っぽいキャラクターが、「そもそも 自殺をするなってのは 本人のために いってるんじゃないんだよね! たいがい本人以外の者のつごうでいってることじゃないの?」などと、ツッコミを入れていますけれど、笑止(激怒)! 自殺は、自分で死ぬのでなく、自分を殺すことでしょうが!
 それを除けば、相変わらず、作者様は画力が抜群に高いなあと、感心してしまいました。
 収録作品は、次のとおり。

 一発で殺して
 血と絵の具
 ある殺人計画
 きれいな星空だぜ
 夢の中の殺人
 サイゴーボンド登場
 フトヒモ
 血をふく壁
 あるボクサーの悲劇
 死神さんようコンニチワ!
 ミス・セブン
 血の中に
 闇の声
 再起不能
 人工女体第1号
 感覚転移
 ゴーカム~宇宙のラブハンター~
 あやつり人形
 まびき沼
 痴女の宴
 人には親切を!

 改めて、タイトルを記していきますと、結構、流血、殺人、病む心、それにSFネタが多いように思います。
 いくつかの印象的な作品を挙げましょう。

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