『乱愛の館』の感想
『乱愛の館』(作者:鳴海 丈 徳間文庫)の感想を申します。ネタバレですから、ご注意下さい。
裏カバーの本文内容の説明によれば、この物語は艶情ロマンだそうです。早い話が、男性が主人公なので、男性向け官能小説ですね。わおぅ!
元々、私は年に何回か、官能小説を読んでいます。ひょっとして、ボーイズラブ系よりも、多いかもしれません。理由は、ひたすら自作のエッチシーンの表現や展開の参考にするためです。え、「本当に役立っているのか」と? あんまり(オイオイ)。しょせん、男と女の感性は違うというか、エッチに対するベクトルが異なっていると、読む度に実感させられております。それでも、性懲りもなく、「今度こそは、私もうずうずした気分になれるかも」なんて、期待してしまうのですけれどね。
さて、相変わらず、前置きが長くなりました。そもそも、私がなぜ『乱愛の館』を選んだかと申しますと、秋田書店発行でよく立ち読みしているプレイコミックという雑誌に、「パパはもっともっと大モノ!」というマンガが掲載されており、その原作がこの本であったということで、興味をひかれたのです。
ストーリーは、至ってシンプル。リストラされて妻からも離婚された、42歳の高城堅治が、暴漢に襲われている美少女を助けたことがきっかけとなって、美人四姉妹のいる古い洋館に、主夫として同居することになります。それぞれ個性的な姉妹達と、高城は一人ずつ、ひそかに関係を結ぶのですが、それがついに発覚。高城はやむなく洋館を出るのですが、姉妹達は、「お父さんがいないのは耐えられない」と口々に言って引きとめます。こうして、高城は四姉妹と乱交するようになったのでした。
官能小説にありがちな(いや、BLにもありますけれど)、こんな都合のいい展開なんてありかよ! というのは置いておきます(きりがないですもん)。 この『乱愛の館』のご都合主義は、割と後味 のよいものです。主人公の高城は単なる欲に駆られて、姉妹達と交わるのではなく、それぞれ悩んでいたり、ひそかに求めていたりする彼女達の望みに応じ、奉仕する形なのです。
お話は第八章までありますが、連載されていたものなので、八つの短編と読めなくもありません。レズビアンの女子大生、弁護士、極悪女部長と、四姉妹の他にも、美女達が関わり、結局、高城の並外れた体力と巨砲に屈服していくわけです。お仕置きはあっても、強姦や暴力はなく、レズビアン・ラブから姉妹入り乱れての乱交まで、フルコースでそろっておりますから、女性でも読めるし、官能小説初心者の方にもお勧めです。
ただ、難があるとすれば、すべてのエピソードがめでたしめでたしで締めくくられていて、単調ということ。もう一つは、これはあくまで私の感じ方なのですが、「お小水」「お珍宝」「御満子」って、変な表現。あと、お小水による排泄シーンが多いことと、ヒロイン達が恥ずかしげもなくお臀の孔を提供するのか、普通、いやがらないか? そういう不満が残ってしまいました。
では、またよさげな官能小説を読みましたら、こちらで感想を載せますね。
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