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2010年5月19日 (水)

『鉄のラインバレル』3巻の感想

 漫画『鉄のラインバレル』(清水栄一・下口智裕 秋田書店)3巻の感想を申します。ネタバレがありますから、ご注意ください。絵美がラインバレルに語りかける台詞ではありませんが、「久しぶりだね」。
 あらすじは、浩一は絵美になぜか親近感を持ち、近づこうとしますが、絵美は粗暴呼ばわりして、突っぱねます。それでも、あきらめない浩一ですが、傷害事件を起こしていて、最近復帰してきた「道明寺」が近づき、ケンカ開始。ところが、道明寺は意外に強く、浩一がてこずっているうちに、何体かのアルマが突如として出現。形勢不利と察するや、浩一は、道明寺や降矢という民間人がいるにも関わらず、ラインバレルを呼び出して、絵美を呆れさせます。

 時を同じくして、JUDAに侵入者あり。たった一人、生身で人形(ヒトガタ)を破壊してやって来たのは、加藤機関私設部隊、六番隊隊長のジャック・スミス。滑走路か工場敷地のような広い場所で、森次と対峙します。刀をふるうジャックに、森次は拳銃のようなもので対抗。けれども、ジャックからガードした際、森次は右腕や肩の筋肉を破壊されましたが、「生まれつき痛覚がないから、肉体を極限まで酷使できる」と告げ、「一気に壊してやろう」と、ヴァーダントを転送させます。続いて、ジャックの部下のアルマも続々と登場。急を察したラインバレルも現れますが、森次は助けを借りずに、ヴァーダントに仕掛けられた数多くの刀でアルマ群を瞬時に斬殺します。激怒するジャックと森次の一騎打ちになりますが、実際は、大男とはいえ生身の人間と、巨大なヴァーダントという、一見卑劣っぽい組み合わせの勝負です。
 ジャックが対等に闘えたのは、彼自身がアルマだからでした。ジャックはヴァーダントの巨大な刀を奪ってふり下ろし、森次もヴァーダントで対抗しますが、ジャックは左腕を切断され、森次はコックピット(?)まで切りつけられて負傷、互いに痛み分けとなって引き上げます。そのようなことをしているうちに、加藤機関の総司令、加藤久嵩(かとうひさたか)が、全世界に向けて、「これから世界征服をさせて頂く」と宣言。同時に、ハイファン島が加藤機関に攻撃されて消滅する映像も配信されます。
 このハイファン島攻撃に使用されたのが、アメリカの衛星兵器であったことから、アメリカからJUDAへ、そして石神社長から浩一と山下へと、宇宙にあるその兵器を破壊するよう、指示が出されます。承知する浩一と反対に、山下は森次から自分の甘さを責められ、自信を失っています。それでも、浩一と山下は横浜の在日米軍基地へ行き、衛星兵器破壊作戦(オペレーション・スーパーノヴァ)が始まります。シャトルから衛星軌道上に向かうだけでも一苦労でしたが、目標付近には電子レーザーがあり、ラインバレルを攻撃してきます。さらに、当の衛星兵器はまるで巨大アルマのよう。果たして、浩一と山下コンビで、作戦は成功するのでしょうか。

 見せ場はやはり、前半のジャックVS森次および森次の容赦なしの戦いっぷりでしょう。それでも、山下が言うには、「あれでも 森次さん 本気出してないっスよ」だそうで。主人公が浩一である以上、彼はいずれ? いつか? 森次より強くなって成長するのでしょうけど。・・・・森次ファンとしては、できるだけ長く、森次が最強であってほしいです。
 ついに、前面に現れてきた加藤ですが、悪役だし認めてはいけないでしょうが、やたらクールでかっこいいですな。いつもおひゃらけていて、半ばギャグキャラクター化している石神と好対照です。変に人情家であるとか、弱点の持ち主でなく、決してぶれない敵であったほしいです。
 年下っぽい山下は、なんと浩一より一歳上の高校生でした。気づいて、浩一は山下を、呼び捨てから「山下クン」と変えているのがおかしかった。単純だけど、浩一はいいやつですね。
 その山下がファクターになったきっかけは、「そうならないと生きられなかった」「石神社長に命を救ってもらった代償としてファクターになった」そうで。森次を除いて(!)、全員明るそうなファクター達の過去について、番外編などで語られているといいのですけどね。次巻も楽しみです。それでは。

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