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2011年10月16日 (日)

『風より疾(はや)く』1巻(かわすみひろし)の感想

 漫画『風より疾(はや)く』1巻(かわすみひろし・講談社)の感想を申します。いくらかのネタバレが含まれていますので、ご注意ください。

 これは、月刊ヤングマガジンに連載されており、私が初めて読んだのは、3本目(第1話などとする代わり、剣道漫画なので、○本目と表現されているようです)。個別感想は、当ブログの左サイドバーにある、漫画雑誌の項目から、ご覧になってください。
 ところで、私が月刊ヤングマガジンの中で、もっとも愛読している漫画ですが、アマゾンなどの世間的評価は厳しいようで、ちょっと、ショックというか、意外でした。女子高生らしく、かわいい、エロい、おもしろいと思うのですが。

 あらすじを申しましょう。舞台は、スカイタワーの見える東京都内。主人公は小松崎女子高一年の熊沢龍子(くまざわ りゅうこ)。いかつい名前ですが、やや天然系ながら、明るく元気で、誰からも好かれる、長いストレートヘアの目の大きい少女です。幼い頃に父を亡くしており、母と二人暮らし。父の影響で、剣道が大好きで得意になり、小松崎女子高の特待生になったのでした。そんな龍子を敗退させたのが、ライバル(ああ、何てすてきな響き)とも言うべき、波平和音(なみひら かずね)。九州出身で、元々裕福でしたが、父が事業に失敗した後に、やはり早く亡くなっています。和音は名門、聖ユリア女学院一年でショートボブの似合う、なかなかの美少女。寮生活を送っていますが、まだ周囲と充分になじめていません。
 和音は、亡き父が所有していた妖刀、波平征安(なみのひら ゆきやす)を見たくて、研ぎ師の坂本六郎を訪ねます。ところが、龍子も子供の頃から坂本を、「ロクさん」と呼んでなじんでおり、二人は、ばったりと鉢合わせ。龍子はしつこく、「なみへいさん」と呼び間違えて、和音の神経を逆撫でする一方、和音も龍子を、猫の鳴き真似をしてからかう始末。彼女達はとっくみ合いのケンカをしますが、和音の波平征安に対する思い入れに、龍子は心動かされる一方、和音は和音で、多くから愛される龍子の様子を見聞きして、「あの子は やっぱり恵まれてる(中略)そんな子に私が 負けるわけがない」と、嫉妬とも軽蔑ともつかない独り言を言い、徐々に互いを強く意識していくのでした。
 WEBでの批判の原因は、このお話のポイント、テーマがあいまいであることでしょうか。女子高生剣道漫画とするには、ノウハウやうんちくはないし、龍子と和音の初対戦も、さほど盛り上がったわけではない。妖刀をめぐるミステリーと呼ぶには、肝心の刀が消息不明です。人物にしても、ていねいに描かれていると感じられなくもないのですが、坂本は謎だらけのまま。龍子や和音ならともかく、端役のような桐介(龍子の弟弟子)に、丸々一つのエピソードは多すぎでは? 確かに、そうですね。
 私は百合剣道というより、日本刀をからめた、ライト百合テイストの剣道女子高生コメディと見なしていましたので、とてもお気軽で、たまに吹き出しながら、読んでいました。百合にも、ちょこっと手が触れてドキドキ程度から、セックスだ、女王様と子猫ちゃんのSMだと、ピンキリでしょう。たまになら、濃厚・鬼畜エロを楽しむのもいいですが、私はやはり、清楚で愛らしい女子高生は、恋に恋する乙女であってほしいし、そんな彼女達がときめいたり、時にケンカをしながらも、惹かれ合っていってこそ、百合の王道だと思います。
 私の偏見だらけの感覚、考えなのは百合も、いや、百も承知ですが、それでも、どうしても、引っ繰り返っても、龍子はかわいい! 剣道への愛情、真摯さもそうですが、猫と遊んだり、和音をからかったりと、表情がころころと変わる、自然体の愛くるしさがたまらん! 和音は逆に、見かけのかわいらしさと裏腹に、最初は龍子にも、そして周囲にも、かなり屈折していて、閉鎖的ですらあるのですが、龍子という存在のおかげで、高揚感を味わい、変わっていきます。1巻のラストの方では、和音が直感的(?)に龍子を感じ取るや、肌は上気して、特に、胸元が真っ赤になってしまい、彼女自身、ひどく戸惑います。とにかく、クールに澄ましたふだんの顔と、龍子と関わって動転したり、呆れたりと、妙に無邪気な表情とのギャップが、これまたすばらしすぎる!
 ワタシ的には、彼女達のコスチュームチェンジ(笑)も、お気に入りです。それぞれの制服、りりしい剣道着姿、それに応じて、表情も明るかったり、剣士らしくなったりと変化しますから。ラストのお話で、龍子は和音に会おうとして、寮付近をうろついていたために、不審者として、聖ユリア女学院の生徒達につかまり、縄で緊縛される、強引にコスプレさせられる、おまけに写真を撮られて羞恥プレイと、エッチなお仕置きをされる場面が、特にお勧め。私は2巻も購入します! それでは。 
 

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