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2013年9月11日 (水)

『鬼平犯科帳 馴馬の三蔵』(原作:池波正太郎 劇画:さいとう・たかを リイド社)の感想(加筆版)

 コンビニで購入した、『鬼平犯科帳 馴馬の三蔵』(原作:池波正太郎 劇画:さいとう・たかを リイド社)の感想を申します。ネタバレが困る方は、ご注意ください。

 劇画とはいえ、池波正太郎の『鬼平犯科帳』シリーズを読むのは初めてで、ちょっとドキワクいたしました。主人公は、火付盗賊改方長官の、鬼平こと長谷川平蔵。中年になろうかという剣の達人で、悪人に対する追及はかなり激しいタイプです。その鬼平には、同僚の左馬之助、部下の忠吾(ギャグ担当?)の他、ふだんは当たり前の庶民ですが、命が下った際には捜査を行なう、船宿の粂八(くめはち)など、元悪人の密偵達とともに活躍する物語です。この本には、次の3編が収められています。

・馴馬の三蔵 コミック乱1998年6月号掲載
・おれの弟 鬼平犯科帳コレクション1997年9月号掲載
・お熊と茂平 コミック乱2004年10月号掲載

 すべて単行本にも収録されていますが、それは省略させていただきます。

 3編を読了して、まあ、悪の親玉ともいうべき人物は成敗されているのですが、事件が解決してめでたし、めでたしという、後味のいいパターンはゼロ。どちらかというと、敵は討ったけれども、最愛の人は還ってこない(「馴馬の三蔵」、「おれの弟」)、亡き人の最大の願いはかなかわなかった(「お熊と茂平」)という、ビターな結末ばかりでした。でも、これが遠い江戸時代の物語とはいえ、「昔はよかった」的懐古趣味だけでない、人生そのものを感じさせて、いつまでも胸に響きます。これが、鬼平シリーズの魅力でしょうかね。
 一応、警察っぽい役職の人物が活躍するのですから、推理・サスペンスものとジャンルわけできなくもないのですが、物語はあくまでじっくりと、登場人物達の過去の出来事、心理描写をあぶりだしていきますので、あまり考える余地はないかと思います。けれども、様々な人物の姿を見られる、時代劇としては上々のものです。
 鬼平のモデルは、もしかして、横山光輝の『火盗斬風録』に登場した、中村勘解由でしょうか。私はもっと、鬼平が冷酷苛烈な人物だと想像していたのですが、作中の彼は部下や悪人、息子には厳格ですけれども、涙を流すし(「おれの弟」)、粂八を慰めなどして(「馴馬の三蔵」)、人情家でもあるようです。
 推理して終わり、事件が解決してスッキリ、でもない、悪人とはいえ感情豊かな人間を描いているという点で、おもしろいシリーズですね。鬼平が完璧すぎないし、お話によっては、主役というより狂言回しっぽくなっているのも(「馴馬の三蔵」)おもしろいです。次は10月発売のようで、ぜひ購入したいです。それでは。

(追記)天里友香様のコメントにありますように、私の見解に間違いが多くありますので、どうぞ参考になさらないでください。
どうもすみませんでした。
今後の反省のため、あえてミスした箇所をこのままにしておきます。(2013年9月14日23時45分)

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漫画雑誌」カテゴリの記事

コメント

 こんばんは。漫画でなく、原作小説の方を少しずつ読み出してます者です。
 …あの。ひとつだけ言いますと「鬼平こと、長谷川平蔵宣以」は1745年~1795年に実在した人物です!!
 火付盗賊改としての実績はもちろん、
佃島に「無宿者や犯罪者の更正施設」人足寄場を作る献策をしたのも彼。
 そして、その運営費を稼ぐため現在ならインサイダー取引になりそうなやり方で銭相場で利益を出したりして
老中の松平定信からは「やり手で仕事は出来るが山師のような人物」と実はあんまり信用されてなかったとか(苦笑。ここは小説と事実が違う)
 なので、少なくとも小説が横山光輝の漫画の影響を受けてるとは考えられないかと。
 コミカライズ化する時に漫画が独自に影響されてるかは、わかりませんが…。

投稿: 天里友香 | 2013年9月13日 (金) 23時24分

 この作品の魅力は紅林さんが言われてるとおり「江戸に生きる人々の営みや人情」が第一なので、
そこが描かれていれば、あんまり細かいことに文句をつけるのは野暮ですが。
 ただ、私もコンビニで置いてあったコミック版(違う刊かもですが)を読んだら、
話の最後で捕らえられた盗賊達が『磔になった』と説明されているのに
描かれていた絵がどう見ても『獄門』の図だったりして
(男性の磔の柱が十字架になってるだとかはありがちな間違いだけど、
どう見たって晒し首の絵を磔だとはさすがに…!!)
「それくらいの間違いはネーム段階で直せる編集者をつけろ~!!」と叫びたくなった程度には
『時代劇としての考証』は甘いようです…。

投稿: 天里友香 | 2013年9月13日 (金) 23時54分

いらっしゃいませ。
ご訪問、ありがとうございました。
そして、私の独断への指摘と、各種情報にも感謝いたします。
知らずにいたら、大変なことになったでしょう。
ああ、だけど、現実の鬼平は実在していて、したたかな人物でしたか。
私の見方が甘すぎるのですけれども、この劇画はちといい加減なところがあるのですね。
そこで、日本史関連の読書はやめませんが、このように大勢の人の目に触れる形で表現するのは、当分、控えることにいたします。
感想をつづるよりも、勉強が最優先、ということです。
こういう形でしか、反省ができませんので。

時代小説もそうですが、SFにファンタジーと、学ぶべきことがたくさんありますから、今後もがんばっていくつもりです。
遅読を改善して、もっとずっと早く読めるようになりたいですね。

投稿: 紅林真緒 | 2013年9月15日 (日) 00時04分

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