『霊能者ですがガンになりました』(原作:斎 小林薫 ぶんか社)の感想
明けましておめでとうございます。今年も、どうぞよろしくお願いいたします。
コミック『霊能者ですがガンになりました』(原作:斎 小林薫 ぶんか社)の感想を申します。ネタバレ的な表現が含まれていますので、ご注意ください。
このお話は、強制除霊師・斎シリーズの番外編のような感じです。心霊的な怖さは、ないかと思うのですが、ガンの恐怖はありで、それ以上にアクの強い医療関係者は、ゴルゴ13よりも恐ろしい! と思わせる内容でした。あらすじは、要するに、斎さんのガン闘病記です。痛さに弱い、もしくは病院の雰囲気や医療関係者が苦手、という方にはお勧めできないのですが、術前術後の心身の痛み、苦しみはリアルながらも、全体的に斎さんがポジティブで、検査結果がどうであろうと、決して回復をあきらめようとしていないところは、とても心動かされました。
だから、第7話ラストのモノローグで、「人生は短い/下を向いて 立ち止まるのは もったいない/前を向いて とことん 抗ってやる」とか、第15話で「ガンだけど 幸せなんです」という言葉には、胸がジンとすると同時に、斎さん、強いなあと、思ってしまいます。特に、後者は最終話だから(涙で自主省略)。
ところで、そういう斎さんの弱さを含めた強さが印象的である一方、主治医のダンディー(斎さんがつけたあだ名)には、本気で苛立ちました。こんなに患者とその家族(斎さんのお姉さんが、ひどい目にあっています)に対して、上から目線でまともにコミュニケーションを取らない、説明が足りない、しかも気分屋で無責任っぽい発言さえあるタイプって、いるのですねえ! 呆れたなあ!
自宅から通いやすいということで、その病院を選んだ斎さんですけれども、私なら行きたくないし、ダンディーみたいな医者とわかったら、治療途中でも他の病院に変わりますね。絶対に!
話を聞いてくれない、聞こうとしない主治医に、命を預けるなんて、ごめんですから。
まあ、ガンになってしまったのは、斎さんの不運でしょうが、治療がうまくないのは、ダンディーとその病院ゆえですね。ゆえに、「うん、ガン闘病のいい勉強になった」と、私は思いはしましたが、どうもやり切れない気持ちになりました。
そのようなわけで、知識になる、わかりやすい、斎さんの心意気に感動、ダンディーにムカつくと、泣ける反面、苦い味のする読後感でした。あらためて、斎さんのご冥福をお祈りいたします。それでは。
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