『修羅雪姫 修羅の因果編』(原作:小池一夫 作画:上村一夫 主婦の友社)の感想
漫画『修羅雪姫 修羅の因果編』(原作:小池一夫 作画:上村一夫 主婦の友社)の感想を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。
こちらが最終巻です。収録されているお話は、次のとおり。
外題之十二 青春白衣涙断譜二
外題之十三 露骨写真館懺悔一、二
外題之十四 儀四郎反撃録
終章 竹の涙
あらすじとしては、十二は全巻の続きで結末。十三は、卑劣な脅迫によって、セレブ夫人を苦しめる写真師と雪の対決。写真師の正体に、驚きの展開があります。『修羅雪姫』って、なかなか女性同士の絡みが多いような? これも、エロス&バイオレンス!
外題十四と終章が、本題と申しましょうか、雪の復讐に決着のつくお話です。十四で、仇の一人、塚本儀四郎が動き、宮原外骨を拉致して、雪を誘い出そうとしますが、雪の方が一枚上手で、というもの。今までのお話でも見ましたが、雪は自分を世話してくれた人には、甘えるような感情を示し、相手がピンチの際には、命がけで助けようとして、復讐者にしては温情を持っていますね。
終章は、最後の仇、竹村伴蔵のお話。しかし、竹村は病床に伏せており、一人娘がけなげに世話をしていました。そのような弱々しい仇にも、雪は、「さあ 死出の旅路の仕度をしておくれ」。娘に対するフォローをしていたのが、雪らしいというか。
どのような形で、雪の復讐は果たされたのか。その後、雪はどうなったのか。これらはネタバレ防止のため、あえて伏せますが。
一匹狼の女殺し屋というのは、古今東西の物語で、ゼロではないでしょうが、かなり珍しいのではないでしょうか。
恐らく、掲載誌が男性向けっぽいので、エロチックな場面は多いですが、下品に流れなかったのは、作者様の特性だと思います。
ほぼ無敵のはずの雪が、次第に痛々しく、気の毒に感じられるのは、私だけではないはず。
悪人がすべて滅び去ったから、読者としては、ある程度、胸がすきますが、ありふれた幸せや平穏から無縁になってしまった、女殺し屋は、やはり痛ましい。
割とシンプルな筋立てながら、奥深い物語を提供していただいた作者様に、あらためて感謝いたします。これからも、上村一夫作品は読んでみるつもりです。それでは。
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