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2023年7月24日 (月)

『奢灞都館刊行 全書籍目録 コンプリート・コレクション』(エディション・イレーヌ)の感想

 書籍『奢灞都館刊行 全書籍目録 コンプリート・コレクション』(エディション・イレーヌ)の感想を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。

 いつもと異なるスタイルで、感想を記します。
 まず、「奢灞都(サバト)館」とは何かというと、フランス文学研究者で翻訳家の生田耕作氏が中心となって、最初は私家本のように発行され、装幀や挿絵等に強くこだわり抜いた、実に美しい本を発行するようになった出版社のことです。
 この本によれば、1972年死者(バタイユ)から始まって、2003年7月ベル・フィーユ アルフォンス・イノウエ銅版画集にて終了されているそうです。
 私が初めて手にした奢灞都館の本は、マンディアルグの『満潮』でした。失礼ながら、古本なのに高額だったため、買うのをあきらめ(今では、ものすごく後悔しています)、別の機会に入手できた、バタイユ『マダム・エドワルダ』だけを持っています。
 これまた、ハンス・ベルメールの挿絵が、グロテスクにエロく、シンプルな短編小説なのに、爆発的なパワーを感じられました。
 そのため、私はずっと、奢灞都館と生田耕作氏の名前を覚えていて、よさそうな小説やエッセイ集などがあれば、今度こそは購入してみたいものだと思っていたところ、この本に出会えたわけです。






 正直言って、私のコレクションの資料になってくれればいい程度の、軽い気持ちで、午睡書架様にて入手させていただきました。
 これまた、購入してよかったです!
 装幀がきれいな本ばかりと、前知識で知っていましたが、写真で見ると、その美麗さが、くっきりはっきり、わかりますから。
 加えて、巻末の生田かをるさんのインタビュー記事で、生田耕作氏の人となり、好きな食べ物、美学などを知ることができました。
 美意識の強く誇り高い、京都の方というイメージです。
 かをるさんのお話によれば、生田氏は服装に無頓着だったそうですが、ふだんが和服であるあたり、私は日本のダンディズムの代表だと、思いました。
 惜しむらくは、生田耕作氏も、かをるさんも、すでに逝去されていることです。
 ご冥福をお祈り申し上げます。
 同時に、日本で他に見られないような、繊細優美な書籍類を世に送り出していただき、ありがとうございました。
 奢灞都館ファンの方はもちろん、美しい本と装幀に興味がおありの方にお勧めいたします。それでは。

ご協力お願いします。

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