『軍師 黒田官兵衛伝』6巻(重野なおき・白泉社)の感想
四コマ漫画『軍師 黒田官兵衛伝』6巻(重野なおき・白泉社)の感想を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。
重野なおきシリーズも、今回で終わりです。こちらの本は、『殺っちゃえ!‼ 宇喜多さん』1巻の次に、私的にはおもしろかったです。
簡単なあらすじを記しますね。羽柴秀吉軍軍師として、官兵衛は総勢十一万を率いて、四国の長曾我部元親軍と対決します。元親は三方向に分かれた秀吉軍のうち、讃岐方面軍へ奇襲を仕掛けますが、すでに官兵衛は見抜いていて、先に逃走していました。四国各地の城が、圧倒的な秀吉軍の前に次々と陥落し、元親は降伏せざるを得ませんでした。
天正13年11月、徳川重臣の石川数正が秀吉側に寝返ったのをきっかけに、徳川家康との決戦準備に入っていたのですが、大地震のために中止。九州の島津征伐に向かいます。
ところが、島津家長男で当主の義久、次男の義弘、三男の歳久、四男の家久、彼ら四兄弟は全員英傑と言われ、雑兵さえも死を恐れずに連帯して攻撃する、鬼のような強さを持っていました。四国攻め同様、数にものを言わせて圧勝するはずでしたが、何と、戸次川の戦いで、仙石秀久+長曾我部元親軍は、島津家久に敗北してしまいます。
けれども、秀吉が十八万の大群を連れてきたことにより、島津が苦手な攻城戦に変えていきます。砦を柵で囲み、休みなく、膨大な鉄砲を撃ち続ける、この根白坂の戦いで、島津義弘・家久軍は柵を乗り越えられず、義久はついに、降伏を決定しました。
九州征伐後、官兵衛は、秀吉の論功行賞によって、豊前六郡を与えられましたが、どうやら、元の城主が黙っていない様子……。
この作者様は安定のおもしろさなのですが、今回ばかりは残念な点が一つ。長曾我部元親、島津四兄弟と、彼らだけでドラマができてしまう傑物そろいで、官兵衛の策と活躍が、薄れています。加えて、あらすじでは省略しましたが、秀吉の重臣で理解者でもあった、蜂須賀小六が病死しており、私は、後の秀吉の寂しい晩年の予兆のように思われてなりませんでした。
官兵衛と、小早川隆景との共闘? 同盟? のような策の練合も、もって見てみたかったです。
九州から秀吉に援軍を求めてきた、キリシタン大名の大友宗麟、島津軍の猛攻から立花山城を守り抜いた、立花統虎も、おもしろかったです。
日本史オンチの私としては、長曾我部元親と、島津家をあまり知らなかったことが、大いに後悔されます。
私は頭脳派、もしくは、強靭な肉体の持ち主といった男性が好きなので、読んでいて、とてもワクワクしました。
前者は、長曾我部軍の谷忠澄、後者は島津義弘です。
島津四兄弟は、個性はバラバラなのですが、全員が長男で当主の義久に従っているところも萌えました。
そういわけで、私的ベストシーンは、64ページ、第106話上半分。
義久が、「九州統一を目指しつつ……やがて来る秀吉とも戦うという構えでよいな?」と、問いかけた直後に、義弘・歳久・家久が、「応!!」と、そろって叫ぶところです。
さあ、官兵衛の活躍に、大いに期待しています。お勧めですよ。それでは。
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