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2023年8月 5日 (土)

『絢爛たるグランドセーヌ』16巻(Curvie・秋田書店)の感想

 コミック『絢爛たるグランドセーヌ』16巻(Curvie・秋田書店)の感想を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。

 また、予想の斜め上をいかれてしまいました(うれしい悲鳴)!
 閉鎖的な感じのキーラは、奏とはまた異なる、すぐれた才能の持ち主で、しかも、性格のいい少女でした!
 やはり、ロイヤル・バレエ・スクールで学ぶ彼女達は、皆、半端ないテクと根性を持っています。
 反面、経験が浅くてメンタルも繊細なのに、大人と変わらないバレエという、厳しい勝負の舞台で、常時、インターバルなしの真剣勝負を強いられているような?

 簡単に、あらすじを挙げましょう。奏はロイヤル・バレエ・スクールのロウアー・スクール10年生に編入留学し、言葉の違い、一般的な勉強の大変さ、食事の味の相違を痛感させられます。
 また、モナコに留学中の翔子は、一人ぼっちでいるために心が折れそうになりますが、奏と電話で話して、互いに元気を取り戻します。
 学友との会話から、奏は、キーラが振付コンクールで、去年、一位に入賞したことを知ります。さらに、彼女はダンサーのよさを引き出す能力の上、面倒見がいいことも。皆が驚いているうちに、キーラ本人が何と、次の新作のダンサーを、奏とエヴリンに依頼するのでした。
 キーラはメジャーなギリシャ神話より、北欧神話をテーマにしたがっており、ふだんは無口っぽいのに、話し始めると、無我夢中になってしまい、周囲が呆気にとられるのを恥じ入って逃げ出すという、繊細な性格の持ち主。けれども、奏は、初めてバレエを知った時の感動を話し、キーラと近づけそうになるのでした。
 ロイヤル方式のレッスンに戸惑っていた、奏とエヴリンでしたが、ピラティスによって、いっそう磨きがかかります。そんな折しも、二人はニコルズ先生の特別レッスンを受けて、エヴリンは有頂天でしたが、奏はかすかな違和感を覚えます。寮へ戻って来ると、エヴリンと不仲だったレベッカが、ポスターの破れを修復しようとしていました。エヴリンは抱きついて喜びます。
 

 前と違って、後味がいいお話になりましたね。
 しかし、本当にキーラの才能、情熱には驚かされました。
 あと、省略させてもらいましたが、マルセイユで、言葉の壁があると大変だと承知していた奏が、英語のニュアンスで苦労しています。奏はそれに対して、(頭の中さえも)日本語禁止でのぞみます。すごいなあ。根性、ありますね。
 ニコルズ先生、実は、「ついて来て」と、するけれども、自分達を見てくれていないことに、奏はとうとう、わかってしまいました。もしかして、これは重要な伏線になるかもしれませぬ。私は、とてもいやな予感がします。
 おもしろいことに、奏に対して、やたらと挑発的というか、批判が多かったエヴリンでしたが、同じ留学生という立場であるためか、奏のコミニュケーション能力ゆえか、その両方か、すっかり互いに仲良くなっています。ほほ笑ましいくらいですよ。
 最後に、16巻の名言です。日本とかなり異なるロイヤル・バレエ・スクールのレッスンと生活に翻弄された奏が、膨大な一般勉強用テキストを抱えて、途方に暮れるどころか。モノローグで叫びます。

『前途多難!!!』
『面白い どんとこい!!』

 年齢、立場が異なっていても、私は奏のこういうポジティブさが大好きです。ぜひとも、こうでありたく願います。お勧めいたします。それでは。


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