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2024年2月に作成された記事

2024年2月18日 (日)

『絢爛たるグランドセーヌ』18巻(Cuvie・秋田書店)の感想

 コミック『絢爛たるグランドセーヌ』18巻(Cuvie・秋田書店)の感想を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。

 18巻は、何と、奏の友人兼ライバル的な栗栖さくらが、思いがけないピンチに見舞われるという、本編と異なる別エピソードに、私は目を奪われてしまいました。上昇志向の強さゆえに、日本人らしくない、さくらですが、メンタル的に……だったとは。
 奏は、くるみ割り人形のねずみ役に、学内振付コンクールの準備と、両方のレッスンにと、多忙ながらも、青春を満喫しまくっている感じです。こういう、毎日が驚きと発見、感動の連続って、すばらしいものです。

 あらすじを説明しましょう。初めて、ねずみの被り物を使用した奏ですが、その重さと視界が狭くなることに、戸惑ってしまいます。けれども、ねずみの王役のファースト・ソリストが前面に出たのに引っ張られ、パワフルに動き回れたのでした。その話を、奏は電話でさくらに語ったところ、ドイツのさくらは、「シンデレラ」の主役を踊ることになったと、告げます。
 奏には打ち明けなかったものの、実は、さくらは、シンデレラが、ヒロインの性格、ストーリーとも、大嫌い。ライバルまみれのスクール内で、その葛藤を口に出せず、相談もできません。体調まで崩すほど悩むのですが、そのような時、母の栗栖先生から電話でアドバイスされ、さくらは、「私とは似ても似つかない」と、割り切り、演じることができたのでした。
 そして、奏は振付コンクールに。他の友人の演出の違いに感心させられながら、ニコルズ先生、振付のブキャナン先生らの前で踊ります。結果、その作品「ENCOUNTER(エンカウンター)」は、ファイナル出場が決定します。
 ついに、「くるみ割り人形」本番。プロ達と同じ舞台に立てるという、バレエを始めた幼い頃の夢が、少しだけでもかなったと、奏は、うれしい興奮が止められません。ねずみ達が活躍する場面で、「夢の世界に 私はいる」と、実感します。
 ニコルズ先生の補習を受けるなど、いっそう忙しくなる奏でしたが、夢に近づく希望に胸をふくらませます。うっかり、スミス校長先生と廊下で鉢合わせするのですが、先生は以前と違って、好意的にほめてくれます。が、「卒業まで頑張ってくれ」の一言に、奏は固まります。

 

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2024年2月15日 (木)

『マップス』2巻(長谷川裕一・メディアファクトリー)の感想

 コミック『マップス』2巻(長谷川裕一・メディアファクトリー)の感想を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。
 1巻以上に、仰天! 驚愕! 動転! の連続でした。2巻の新キャラ達は、全員、リプミラを圧倒する存在感です。

 2巻に収録されているのは、次のとおり。

 プロローグ
 生贄砲計画編
ACT.9  プロジェクト生贄(サクリファイス)
ACT.10 前兆・来たる
ACT.11 パドズマの火
 六人の幽霊船編
ACT.12 銀河障壁
ACT.13 天使の末裔
ACT.14 接触(コンタクト)・∞
ACT.15 伝説の終焉
ACT.16 カミオの受難
ACT.17 幽霊船の宴
ACT.18 空気 風になる!

 では、あらすじを説明いたしましょう。
「プロローグ」は、メインキャラクターの紹介です。
「生贄砲計画編」では、ガッハ・カラカラは、生物の断末魔をエネルギーに変えて破壊するという、とんでもない武器を完成させました。それが、生贄砲。ガッハは手始めに、惑星パドズマで生贄砲を発射して、リプミラ号を撃破。星見とエイブはガッハの元へ捕らわれてしまい、リプミラは船と同調しているため、ひどく負傷してザッハの追手から逃げきれず、突然に現れた武装した謎の人物によって拉致されてしまいます。

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2024年2月11日 (日)

『ラブレター フロム 彼方』(早見純・太田出版)の感想(追記)

 コミック『ラブレター フロム 彼方』(早見純・太田出版)の感想の追記を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。

 前回の記事では、各話のストーリーというか、あらすじの紹介が雑でしたので、もう一度、しっかり記してみます。

「閉ざされた扉」は、ある女子生徒に一方的な恋慕を抱く男(どう見ても、その学校の教師のようなのです)が、彼女を監禁した挙句、その体の扉を強制的に閉ざして(具体的には、とても書けません)……というもの。思いをこじらせることが怖いのは理解できます、が、彼女の受ける仕打ちは残酷すぎ。
「肉塊16年」、出会い系(当時はテレクラか?)で、少女は男と知り合い、援助交際を持ち掛けますが、紳士的な外見のその男はラブホテル内で、彼女を切り刻みます。血まみれの少女は、自分の人生の様々な場面を、その脳裏に思い描くのでした。無残に損傷された肉体、ノスタルジックな思い出、豹変した男の醜い表情と、ストーリーはシンプルながらも、動転させられます。私的には、ラブホへ行く前の少女の言葉、「あたし ホカホカ弁当買って 中で食べよっと」に、なぜか恐ろしさを感じました。
「美奈の夏は終わった」、自宅でむごたらしく絞殺された、小学校低学年くらいの美奈。その兄はひどく悲しみますが、女装して興奮するなんて、気持ちの方向性が間違っていると、思います。

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2024年2月10日 (土)

『ラブレター フロム 彼方』(早見純・太田出版)の感想

 コミック『ラブレター フロム 彼方』(早見純・太田出版)の感想を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。

 私は乱読派なので、ノンフィクションから、漫画や官能小説を含む、男性向け創作物まで読みます。気に入ったものは、記事の文末でお勧めすると書きますし、そうでなければ、スルーなのですが、この本ばかりは勝手が違います。
 一応、ジャンルとしては、男性向け成人指定漫画ですが、この収録作品を読んで、ドキワクするのはまだしも、あこがれる方は危険です。
 もう一つ、性的被害にあわれた女性の方は、絶対に読まない方がいいです。トラウマがよみがえってしまう危険があるからです。
 そうして、私を含めて、この作品群になぜか心惹かれてしまう方は、有害図書反対運動などをしている良識派の方から批判されるかもしれませぬ。
 だからといって、この作者様の本がベストセラーになって大絶賛されたら、それもそれで、恐ろしいです。
 つまり、それくらい、早見純の作品は美しいのに腐り果てていて、極上の甘さを持つ猛毒なのです。
 今回のレビューは、コメントをおことわりいたします。ご了承ください。

 収録されているのは、巻末の説明によると、1985年から2000年までの読み切り短編で、「純の本番」は完全リテイク作品だそうです。
 発行年月日は2000年9月で、私もプレミア価格で購入せざるを得ませんでした。
 収録作品と掲載順は、次のとおり。

 純の暗い情熱
 閉ざされた扉
 肉塊16年
 美奈の夏は終わった
 窓のない部屋
 午前四時まで
 極悪バナナ
 真夏の震え
 涼子・夏に……
 ボーナス・トラック(単行本初収録) ラブレター フロム 彼方
 復活祭
 純の本番

 あとは、解説と、作者様のロングインタビューが載っています。

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2024年2月 4日 (日)

『新九郎、奔る!』15巻(ゆうきまさみ・小学館)の感想

 コミック『新九郎、奔る!』15巻(ゆうきまさみ・小学館)の感想を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。

 帯カバーによりますと、「新九郎三十一歳、てんてこ舞いの文明十九年!」ということです。

 簡単に、あらすじを説明いたしますと、伊都の息子、新九郎の甥にあたる龍王丸が、領地である駿河へ戻れるよう、準備を始めるのですが、姪の亀が正親町三条実望と結婚するにあたっての手配もしなればなりません。さらに、新九郎の妻、ぬいも体調不良? と思いきや、おめでたで、無事に男の子を出産しました。
 けれども、龍王丸は十五歳ながらも虫に夢中で、家臣への態度も落ち着きなし。龍王丸と対立関係にある、今川新五郎範満を推す家臣達と、範満の養子で跡継ぎの徳寿丸(十四歳)は、「龍王殿はうつけ」と、騒ぎだします。龍王丸と一緒に、駿河へおもむいた新九郎も、危うく殺されかけそうになる始末。
 一方、細川政元からの書状を持って、堀越公方の足利政知の元へ参った新九郎でしたが、彼から現将軍の義尚に後継者がいないことを指摘され、その候補として、自分の子が入ることを知らされてしまい、新九郎は、今後の将軍家の跡目争いに巻き込まれそうな、いやな予感がします。 
 また、温厚であったはずの範満も、何やらたちの悪い病気にかかった様子。加えて、徳寿丸改め孫五郎が、かしこくて武技にもすぐれているため、大いに心が乱され、自分達に有利に働くように動きます。代官の交代も、書状にてことわってきたため、ついに、新九郎は激怒。武装して、代官を力ずくでたたき出そうとするのでした。

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2024年2月 3日 (土)

『絢爛たるグランドセーヌ』17巻(Cuvie・秋田書店)の感想

 コミック『絢爛たるグランドセーヌ』17巻(Cuvie・秋田書店)の感想を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。

 いよいよ、奏のロイヤル・バレエ・スクール、学生寮、ルームメイト達を中心とした生活が始まります。これは、日本ではあまり触れられていなかった、奏の、青春物語と呼んでいいでしょう。

 あらすじを簡単に説明いたしましょう。
「くるみ割り人形」の配役を決定されることになり、奏は、ねずみ役に。発表会デビューだった頃と違って、ピーター・ライト版なので、被り物をつかうわけです。さらに、奏は下級生をリードする役目も負うことになり、伝説のマーゴ・フォンティンのすばらしさをも知るきっかけも得たのでした。
 一方、奏のルームメイト、キーラは、振付コンクールにエントリーするため、がんばっています。振付は、知識の量、教養、音感と、幅広い能力が必要であり、加えて、各ダンサーの持ち味を生かせるよう、観察力もなくてはいけないことに気づき、奏は改めて彼女に感服します。
 そのような多大のレッスン、習得しなければならないバレエ作品のストーリーや本質、歴史といった背景(バックグラウンド)と、奏は好きなバレエの世界ながら、必死になっています。エヴリンとは親友っぽくなっていますが、こだわりが強く、自分の世界に埋没しがちなキーラとは、小競り合いも起こしてしまいます。
 そんな時、アンドレアから、突然の連絡。週末に、バレエ団で踊ると告げ、見事なコンテをスマホで見せてくれます。いったん、寮を飛び出したキーラは、ひどく落ちこんでいましたけれども、奏はアンドレアの、言葉を使った踊りの話をした途端、吹っ切れてしまったようでした。
 男子も交えて、皆、朗読内容や衣装について、熱く語り合うのでした。さあ、これから、どうなる?

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